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河合雅司 / PHP新書 (16件のレビュー)
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いちみとうがらし
高度経済成長を遂げ、経済大国と呼ばれた日本は過去の話。現代の日本人の多くは、その余韻に未だに浸っており、今後急落する崖っぷちに立っていることに気づいていない。日本の人口減少幅は年々確実に大きくなり、2…050年には1億人を下回ることは間違いない。将来に危機感を覚え、これまでの考え方をアップデートし、これから確実に訪れる状況に対し、柔軟なアイデアを持ち、自分に何ができるのかを真剣に考える時が来ている。続きを読む
投稿日:2024.01.08
つー
子供の出生率低下に伴って、確実に日本に襲いかかる人口減少と少子高齢化。最近は特に長寿化にともなう長期高齢化という言葉もよく聞く様になった。昔なら会社を引退して退職金を持って悠々自適な老後を送る事を誰も…が夢見た。だからいつか楽するために、若いうちは頑張ろうという気になれたものだ。今は違う。高齢者の人口の割合は昔より遥かに高いし、街を歩いていると若者よりも中高年層が圧倒的に多い。将来への見通しが立たない、老後はいくらかかるんだ、そもそも現在と同じ様な公共サービスを受けられるのかも疑問だ。 本書はそうした人口動態が変わり続ける日本において、今後どの様な戦略を持って生きていくか、様々なケーススタディを用いて解説していく。 判りやすいところで言えばニーズ・嗜好性の変化だ。若者と中高年では体力も体格も変わってくるから、ファッションへの嗜好性は変わる。また、若い頃は平気で食べることのできた脂っこいラーメンやファストフードも年齢がかさむと中々体が受け付けない。そしてしょっちゅう体のあちらこちらが痛んで不調を来す。だから病院にはしばしば足を運ぶし、待合室に溢れるお年寄りの姿を見ながら、自分もいつかあの輪の中に居るだろうとの予想は容易にできる。こうした変化に今後の社会が対応していく必要がある。そこが変わらず、いつまでも同じ世代のファッションばかりを追い求めていたらモノは売れずに余っていく。社会は変化を求められている。 それに対する国家・自治体などの対応も見誤ってはいけない。海外からの労働力の受け入れには我が国は言葉の壁がある。介護労働力については近隣の中国や韓国と奪い合いにもなっている。安易に海外労働力を受け入れれば大丈夫だという幻想は捨てなければならない。実際に受け入れた後の社会もそうした人々が暮らしやすく、安心して働ける様な住居や職の提供も必要だ。日本人が考えている以上に宗教による食事の制限は厳しい。 本書2章ではそうした社会変化に対するどうにかなるだろうという淡い期待を否定し、技術的にも制度的にも変わることの必要性を説いている。 後半は過疎化が尋常でないスピードで続く地方の問題に触れる。地方で問題が顕在化している空き家問題なども早期の対策が求められているが、地方都市の在り方そのものの見直しが必要だ。鍵となるのは、減っていく人口をいかに効率良く支えていくかになるが、減るなら集めるという考え方を用いている。要するに総量的に減ったとしても集めることができれば、公共サービスも効率化され、現状と同じ様な維持費にすることができる。水道や下水、電気、郵便、輸送の提供労働力が減ることはそのまま価格に跳ね返ってくるが、その防止につながる。 直近の世界は新型コロナに直面した。店は閑散とし、ものは売れず物流も滞った。ワクチン接種によりなんとか社会は復活の兆しが見え始め、元の世界に戻りつつある。これも悪いことばかりではなく、将来の日本にとって良い影響・変化も沢山もたらした。今や会社に行かずとも仕事はできる。リモートワークは高齢者や移動困難な地域に住む労働力を確保することに大いに有効だろう。ただ一方で、これまでの会社の様に頑張って残業してる姿は見えないから、プロセス評価から成果による評価、実力主義に変わるのは間違いない。当然残業代という考えもいずれは無くなっていくだろう。この様な変化に一人一人が対応していく必要があるし、何もしなければ人口減少で沈んでいく社会と命運を共にしてしまうだろう。 本書はそうした未来の日本を想像し、自分がその中でどうなっていく必要があるのか考えるきっかけになる。戦争においても強大な敵に囲まれた際の撤退戦は重要だ。いかに被害を抑制し戦略的に撤退できるか、日本が戦略的に縮小するためには強力なリーダーも必要になるだろう。続きを読む
投稿日:2023.07.14
show5
特に目新しいことはない。 「自治体間の人口の綱引きは,次回の選挙戦に向けて成果をアピールしたい政治家たちにとっては重要なことかもしれないが,日本社会全体で捉えたらならば,”勝者”なき,不毛の戦いなの…である。」 「各自治体の枠組みを超えて「居住可能なエリア」と,そうではないエリアを区分けし,居住可能なエリアでこれまで通りか,これまで以上に快適な暮らしが実現できるようにしたほうがいい」 これらの指摘・提言は,世界規模で見たとき,もはや,日本という国を維持する必要性がないという議論につながりはしないだろうか?人口減少と高齢化ででインフラも行政サービスも維持できない国を,「居住可能な国」として残す必要があるのだろうか。特定の地域を居住不可能として切り捨てることは,究極的には,この国自体を切り捨てることと同義であるような気がする。 もちろん,それが悪いというつもりはない。この国は急速に沈んでいっており,それを回避することに労力を割くよりは,発展的解消の方が,効率的という発想もありうる。ただし,土地に根付いた国民感情はそうそう合理的な発想には馴染まないだろうとは思う。続きを読む
投稿日:2023.05.11
Ogawa Koichi
超人口減少社会が加速していくのは確実な未来なのだ。本当に時間がない。戦略的に対処しないと不幸を生む。 こんな日本に誰がしたと犯人探しをしてもしょうがない。 我々世代にも責任はあると自覚している。当然に…責任を放棄するつもりはない。 それよりも、この状況を捉えて今後どうするかを検討する方が確実に前向きだということだ。 ポジティブなマインドになれればよいが、本当にそこは一旦ここで立ち止まって考えたいところだ。 本書では改めて数字を示し、警鐘を鳴らしている。 さらに著者なりの対処方法の提案も示してくれている。 私はすべての提案に賛成という訳ではないが、やはり数字という事実を見ながら多面的に検討し議論することこそが必要なのだろうと思った。 同じように「戦略的な縮小」を謳っているもので、最近「資本主義の見直し」もテーマになっている。 資本主義とは言わずもながだが、資本が投資され、利潤を生むことでさらに再投資され、永遠に拡大し続ける中で、格差はドンドンと開いていくというもの。 何十年も前から「いつか限界が来る」を言われているにも関わらず、未だに代替できる案が出ずにそのままになっているという課題だ。 ここに来て「新しい資本主義の形を目指す必要があるのではないか?」という話が出てきた。 文脈的には「持続可能な社会にならないと意味がないだろう」という、価値観の転換を促す話である。 結果的にたまたま「行き過ぎた拡大路線を見直し、戦略的に小さくいく」という話も含むことになっている。 日本がこれから拡大路線でなく、戦略的な縮小を目指すことは、行き過ぎた資本主義を見直す点でも合致していると思う。 そもそも人口数千万人しかいなかった江戸時代の日本は、優れたリサイクル社会で持続可能な社会だったはずだ。 江戸時代の生活に戻れとは言わないが、もっと自然に優しく、人間同士も優しくなれる社会を目指すことは間違っていないと思う。 日本の人口は減少し、1億人を切るのが2050年頃と言われている。 その頃は相当に高齢者ばかりだと思うし、その時に自分自身も80歳という高齢者になっている。 (迷惑かけずに元気でいたいものだ) それでも人口は1億人いる。 ヨーロッパのそれぞれの国だって、今はドイツが最も多くて8千万人超という状況。 2050年までには東南アジアとアフリカが人口爆発しているので、日本の人口は確かに相対的順位が下がる。 しかし、それでも人口は1億人いるのだ。 その時の世界情勢を考えながら、単純な縮小ということではなく、国内をどうやって効率化していくのかということだろう。 「拡大」については、やっぱりこれだけの人口増がアジアとアフリカであるのだから、やっぱりそこは取り込んでいきたい。 単純な縮小だけでなく、世界の中でのポジションをどう獲るかは真剣に考えていきたいところだ。 (本書では世界的ポジショニングについてはほとんど言及していない) 日本の生き残る道はあると思うのだ。 そうでなければ座して死を待つのみとなるが、そんなことは考えられない。 我々の世代が責任を持って次の世代にバトンを渡していかなければならない。 その為には大胆な発想で生き残りを図るということだ。 今までのやり方を否定することもあるかもしれない。 そういう意味で大きな血が流れるような改革が必要なのかもしれない。 緩やかなソフトランディングをしている余裕はないと思っている。 我々世代がどれだけの覚悟を持って実行できるかが大事だと思う。 素敵な日本という国を後世に残していきたいと思っている。 (2022/8/24)続きを読む
投稿日:2022.08.29
Tomota
日本の人口減少は止まらない。そんな状況下で求められるのは、古い価値観を捨て、発想を切り替えること。人口問題の専門家が、変化をチャンスに転じるための思考法を示す書籍。 日本の2019年の人口減少幅は、…前年比51万人超だった。この減少幅は、今後さらに拡大すると見込まれる。 少子高齢化と人口減少は、働き手世代の減少につながる。働き手世代は、同時に消費者の中心層でもあるため、その減少は顧客数の獲得が困難になることを意味する。 人口減少社会の経営の手本は、ヨーロッパにある。同地には大量生産・販売を追わず、自社の商品を高く売るべく、他にはない商品価値を付加することに注力する企業が少なくない。 日本は、もはや内需の拡大が見込めない。従って、企業は質の向上により価格を上げ、利益高を増やすモデルへと転換すべきである。 自分たちの「強み」を生かすべく、捨てるところは捨てる。つまり、「戦略的に縮む」ということだ。 少子高齢化が進む中、企業は高齢者の行動様式などを把握し、そのニーズを汲み上げることが必要である。例えば以下のようなもの。 ・高齢者は、缶や袋の開封に手間取ることが多い。商品の内容よりも、容器の開けやすさが選ばれるポイントになる。 ・身体機能が衰えると、自動車への乗り降りにも苦労する。乗り降りを補助するような機能を標準装備すべきである。 ・高齢者は、価格よりも融通が利くことを重視する。今後は、量販店よりサポートの手厚い街の商店が評価される。 コロナ禍は「人口減少を前提とした社会へのつくり替え」の契機となりうる。 消費の消失など、コロナ禍における課題への解決策の多くは、人口減少対策としても有効だからだ。続きを読む
投稿日:2021.11.01
だいち@マンション•ゲーム好き
上司から貸してもらって読みました。 ハウスメーカー社員としての立場から読むと、安易に郊外の分譲地を売るのってどうなんだろうな…と感じました。
投稿日:2021.08.06
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