【感想】松坂世代、それから

矢崎良一 / インプレス
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 5.0
3
0
0
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • すぎもったん

    すぎもったん

    このレビューはネタバレを含みます

    98年の甲子園で日本中を一世風靡した松坂大輔率いる横浜高校の快進撃。その周りにいる松坂世代についてそれぞれの甲子園からその後の足跡と松坂大輔に対する想いや同世代への想いなどを綿密な取材に基づいて書かれた一冊。

    先日今シーズン限りでの引退を表明した松坂大輔を中心とする同期の高校生当時の想いやそれからの足跡を約20年前に書かれた前著で感動した思いから再び読むことができて感謝の一言しか無いです。
    監督、コーチとプロ野球に携わる者から高校、中学の野球指導者の道に進んだ者、マネージメントやアナウンサーなど裏方からプロ野球に関わる者、競輪選手・プロレスラーと違うスポーツのプロとなった者、アナウンサーや飲食店経営など全く違う道に進んだ者と様々な道へと進んだ15人について綿密な取材に基づいて書かれていて前著と同じく幾多の感動を味わせてもらいました。
    当事者の心理まで伝わってくる当時の試合の描写、野球以外の違う道も詳細な説明によってそれぞれの方の人生を深く感じることができました。
    選手としての引き際や野球との決別などそれぞれの方の決意の瞬間、そして新しい道でのそれぞれが輝く姿を通して希望を感じ、いいセカンドキャリアを歩まれていると感じました。

    田中将大、大谷翔平とその後も甲子園を彩った名選手は幾多も誕生していますが、本書を読んでその後のルールの改正などもあり、劇的な試合の連続だった松坂世代は特筆すべき世代であることやその中心にいる松坂大輔のスター性そして偉大さを世代の方の語りによって改めて感じることができました。
    現時点でプロの選手としては和田選手1人だけとなりましたが、これからの松坂世代がどのような形で活躍をするのか楽しみになった一冊でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.08.16

  • Y.K

    Y.K

    1980年生まれの松坂大輔投手と同い年で活躍したプロ野球選手が非常に多いことはよく知られています。彼らを”松坂世代”と呼ぶようになったのは、著者が2003年に上梓した「松坂世代」という本がきっかけかもしれません。その本は、当時20代前半というプロ野球選手としてまさに飛ぶ鳥を落とす勢いであった彼らが、松坂大輔氏といかに関わり合って影響を受けてきたのかを鮮やかに描いていました。採り上げられていたのは、和田毅氏(ソフトバンク)、木佐貫洋氏(元巨人)、平石洋氏(元楽天)、久保康友氏(元横浜)、寺本四郎氏(元ロッテ)などでした。当時、甲子園で繰り広げられた最早、伝説とも呼べるような熱闘を繰り広げた選手たちの証言やエピソード満載の素晴らしいノンフィクションでした。
    本書はその松坂世代が40歳となる節目に出版されました。前作に登場した選手もおられますが、多くは松坂氏とは直接対決はしていないけれども、高校野球に関わった人、中にはプロ野球に進んだ人も入れば、大学・社会人で野球にはピリオドを打ち、新たな人生を歩んでおられる様々な姿が描かれています。プロ野球の現場スタッフ、大学・高校の指導者、スポーツマネージメント事業の社長、競輪選手、レストラン経営者、プロレスラー、アナウンサーなどその経歴は本当にさまざまです。
    野球のキャリアで結果を残せなかった(と自分では思っておられる)方は「自分は”松坂世代”と呼ばれる資格はないです」とおっしゃる方もおられますし、「注目されるのはグランドにいる選手たちでいい」とおっしゃる方もおられます。
    しかし、最終章で松坂氏が『野球では僕が勝ったかもしれない。でも、最終的な勝負は”どんな人生を送れたか”じゃないですか。野球が終わった後の人生の方が長いんだから、”まだまだ勝負は終わってないぞ”って。僕のこの野球人生も含めて、どっちが良い人生を送れるかが勝負だぞ、って。それはみんなに言いたいことですね』と述べられているように、グランドに立つ人も、グランドを去った人も、意識のどこかで松坂氏を意識して懸命に生きておられる様子が伝わってきます。
    必ずしも有名な選手だけを追うわけではなく、多くの人に根気よく取材され、取材対象の人たちへの愛情が感じられるような、読み応え十分のノンフィクションです。野球好きの方、ぜひ読んでみてください。
    本書を読み終えて、2003年出版の「松坂世代」を改めて読んでみたくなり、本棚から取り出しました。私自身、30代前半で読んだ本を、今読み返してどう感じるか興味があります。一つ残念なのが、この2003年出版の「松坂世代」が絶版となっていることです。文庫でもよいので、是非再販されればと願います。
    続きを読む

    投稿日:2020.12.06

  • 臥煙

    臥煙

    松坂世代も40歳、次々に引退。松坂大輔という太陽を中心に光る人々それぞれの人生。今この時期だからこそ読みたい一冊。

    ちょうど本書を読むタイミングで藤川球児、渡辺直人の引退のニュース。松坂世代の現役も数えるほど。

    過去に「松坂世代」という良著を書いた筆者。松坂世代の2020年現在を描く。

    前著と比較して野球以外の道を選んだ人選が目立つ。スポーツマネジメント、介護事業、ユニホームクリーニング、鉄板焼き屋店主、競輪選手、プロレスラー、アナウンサーなど。

    自分はプロレスはほとんど興味無いが、明徳義塾出身の関本大介というプロレスラーの話が面白かった。そうあの明徳義塾。PL との延長17回の熱闘の翌日の準決勝。さすがに先発できない松坂が9回リードされた場面で登板する。マウンドに立った瞬間の5万人の絶叫、大歓声。ヒールとなった明徳義塾、控え選手としてスタンドから観戦する関本の原風景。
    「あのときの松坂のように、会場の雰囲気を一瞬にして変えてみたい」

    社会人野球の名門、日本通運の監督を務める澤村幸明。松坂世代とは知らなかった。1996年夏の甲子園の決勝。松山商業の1点リードで9回ウラも2アウト。追う熊本工業、最後の打者として打席に入り同点ホームランを打った1年生が澤村である。松坂世代で最初に名を挙げた澤村だが皮肉も皮肉も最初で最後の甲子園となる。

    プロ入りを果たせなかった選手、プロで活躍出来なかった選手。指導者としての道、裏方の道、全く違う世界。松坂世代の選手たちのその後、また松坂大輔の存在がじっくりと語られる。スポットライトを浴びる人生も良いが、頑張っていればそれ以外の人生も悪くない、そう思える、読者にパワーを本書は与えてくれる。

    たいていのノンフィクションの良作はいつ読んでも良いのだが、本書については賞味期限つき。出来れば今年のストーブリーグが始まる前に読んだ方がいい。

    松坂世代それぞれの元野球少年の人生にエールを送る素晴らしいノンフィクションでした。
    続きを読む

    投稿日:2020.09.21

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。