【感想】時間旅行者のキャンディボックス

ケイト・マスカレナス, 茂木健 / 創元推理文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
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5
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ブクログレビュー

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  • あきら

    あきら

    初ケイト。皆一度は未来や過去に行ってみたいと思ったことがあるはず。タイムトラベルをしたことにより、心の問題があるとは思いもしませんでした…。特に死生観の欠如など、目から鱗でした。確かに、亡くなった祖父母に会ったらきっと泣いてしまうでしょう——。その他、私たちの倫理観を大きく変えてしまう可能性のある作品です。訳も読みやすく、どんな人にもオススメできます!星四つ半。続きを読む

    投稿日:2024.05.12

  • Giorno

    Giorno

    類書ではお約束のタイムパラドックスなどをあまり気にすることなく(自身がいる場に過去未来の何人もの自分が同席するのがごく当たり前⁈)殺人事件の謎解きを縦軸にしつつ、むしろタイムトラベラーたちが陥いる(であろう)精神的危機の考察を主眼としたSFらしい実験小説。登場人物たちがあちらこちらの時代と舞台に入れ替わり立ち替わりするので正直読むのが疲れるけれど。続きを読む

    投稿日:2021.12.28

  • ma1048

    ma1048

    タイムマシン・ワープは出現する場所に異物があったらと心配だがコンクレーブのやり方は安心
    タイムトラベラーが真っ当な感覚を失っていく様は不気味
    時間物らしい異質なミステリーだが神明裁判が意味不明

    投稿日:2021.08.12

  • kozakura

    kozakura

    このレビューはネタバレを含みます

    タイムトラベルが可能な世界で起きた殺人事件を追うミステリ。解説に「主人公3人はタイムトラベラーではない」とあるのを読んでなるほどと思った。タイムトラベルがなくても事件は解決してたのかもと考えると興味深い(事件自体は時間の移動が可能という設定が必要。やっぱり証拠集めにはタイムトラベル必要かな)。主要な登場人物はほとんど女性。その人生や人間関係が時間的にザッピングされて、視点の定まらない不思議な感覚を持ちながら読みました。

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    投稿日:2021.02.26

  • おこめ

    おこめ

     シンプルに面白かった~!SFを主にしてミステリ要素もあり、ストーリー展開も楽しめた。

     舞台はタイムトラベルができる1960年代のイギリス。タイムトラベルという技術を独占し、管理するコンクレーブという巨大組織は悪なのか?正義なのか?コンクレーブ内の給与体系や所得税徴収における節税方法、組織内の法律など、ディテールも面白い。
     主人公は主に三人。殺人事件(2018年1月)をめぐって未来からその発生を知らされたルビー(2017年)と、タイムトラベルという技術を開発した元祖タイムトラベラー(しかしそれにより精神に支障をきたした)バーバラ、殺人事件の死体の第一発見者となりコンクレーブに就職して内部情報を探ろうとするオデット(2018年1月~)の三人の女が奮闘する話。

     時間旅行ができるようになることによる副作用が面白い。過去に戻れば死んだ人に何回でも会えるので死生観が狂い、死に対して何とも思わなくなる。自分の記憶もそれが今思い出している自分よりも過去に起こったことなのか未来に起こることなのか、分からなくなるのも当然だろう。また違う時代に愛人を作ったり、過去や未来の自分とセックスをするという特殊プレイまで発生するという性的倒錯も見られる。
     ただタイムトラベルによっていちいち精神に支障をきたしていてはコンクレーブでは働けないため、惨たらしい教育が施され人々は感覚が麻痺していく。そうまでしてタイムトラベルしたいか…?と考えると微妙なところだが、コンクレーブに属することの特権意識も相まって辞められない気持ちも理解はできる。

     「技術的にはできるけど、やらない」という選択肢を持つことは難しいのだろうか。技術を発展させるのも人間だけど、コントロールするのも人間なんだなぁと思う。
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    投稿日:2021.02.13

  • 魚雷屋阿須倫

    魚雷屋阿須倫

      #日本SF読者クラブ 原題を訳すと「時間旅行の心理学」となる。1967年の英国で、4人の女性科学者によってタイムマシンが発明された。そしてタイムトラベルを管理するため、国家からも独立した組織「コンクレーヴ」が設立された。そして、ある殺人事件が起こるというSFミステリー。

     この架空の歴史が背景となり、過去と現在とが交互に語られる。タイムトラベルにつきものの、タイムパラドックスについては、本書では気にしなくて良い。というか作者もスルー状態。問題になるのは、タイムトラベルが人間に及ぼす心理的、精神的な作用だ。ここに注目したのは、とてもユニークだと思う。

     「コンクレーヴ」には、いわゆるタイムパトロールと呼ばれる犯罪捜査部門もある。他のタイムトラベル物にあるような高尚な使命感とか高潔なイメージ(スーパージェッターとか)は無く、普通の警察っぽい。しかし警察は「警察」ということで。
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    投稿日:2020.12.18

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