【感想】小説 上杉鷹山〈上〉

童門冬二 / 人物文庫
(59件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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  • mich

    mich

    「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」

    子供の頃から大切にしている言葉。高校受験はこの言葉を胸に勉強に励んだな、としみじみ思うところ、いまだに上杉鷹山の小説を読んだことがなかったので、今回、ようやくその活躍を知ることができました。

    米沢藩の財政を建て直したということは聞いたことがあるのですが、その実態は決して容易な道のりではなかったようです。藩のしがらみや伝統を重んじる重鎮らによる妨害、改革を主導してきた側近の堕落など、困難に次ぐ困難の連続で、いつ気持ちが萎えてしまってもおかしくない状況が続きます。しかし、鷹山は決して諦めることなく民のために行う改革を貫きます。その結果、民衆だけでなく、改革に反対していた役人らも鷹山に賛同し、藩の財政は再建の一途を辿ることに。
    単なるサクセスストーリーではなく、苦難と失敗の先に辿り着いた財政再建ですから、冒頭の言葉に重みを感じます。単にやればできる、という言葉ではないんですね。この重みを知ることができたのは、とても大事な読書体験でした。
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    投稿日:2023.10.24

  • T aDs

    T aDs

    我慢!
    ① 「敵は己」改革を成功する為は、感情に流されては、ダメ!
    ②高い志!常に現場にとってどうなのか?を考える。考え続ける。何が正しいことなのか?
    小さな「火種」
    ③スピードと変化と人。
    改革には、チームづくりが重要。
    実行力!

    なぜ?江戸の時代に上杉鷹山治憲さんは、そういった考えを持てたのか?
    時代を超えて、人の本質が見えてくる。

    この本が書かれたのが1983年。
    昭和58年。
    その後に登場する凄腕の経営者の考え方にも共通するところが多い。
    不思議だった。

    人は、繰り返す。それとも本質は、いっしょなのかもしれない。
    人の為に何が大事なのか?
    人だけかもしれない。人の為にできる能力があるのは。
    だからこそ文化が発展していく。
    人にどう伝えるのか?

    治憲さんの若干17歳にしての凄腕の経営。
    知識と学び。現実、現場にそくした学習の大切さを学びました。

    気づきがありました。
    ありがとうございます。
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    投稿日:2023.09.26

  • hanko59

    hanko59

    令和4年10月
    4回目の新婚旅行で、米沢に行くことに。
    それなら読まねば!!図書館で借りる。

    鷹山先生について、今までほとんど知らなかったけど、すごい人だ。
    今の時代、体の不自由な人、知的に病気がある人など全ての人が生きやすい世の中を目指すって、当たり前だけど、この時代ですよ。凄いです。カッコいいです。
    でも、この時代、周りの人はついていけないのは当たり前、今だってね。

    当たり前を変えるって凄いパワーが必要、自分も頑張らんと。
    では、米沢で、鷹山公の何かをもらってきまーす。
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    投稿日:2022.10.08

  • 仮面ライター

    仮面ライター

    他家から養子ながら、藩士や領民に対し愛と信頼をベースにした政策を実行し、米沢藩のの危機的財政難を凄まじいスピード感で立て直し、人々の心までも蘇らせた上杉鷹山。現代の経営立て直しにも通じる事例が江戸時代にあったことに驚きです。
    鷹山の改革の手腕はもちろんのこと、改革に対する執念や信念、真摯さ、公平さ、藩士や領民に対する感謝や思いやりなど、経営をする者としての心構えを学べる一冊だと思います。

    江戸中の商人に借金を断られ、幕府に大名家返上を本気で検討するほど危機的な財政状況。
    それを打破する具体的な手法として、以下4つを実行。

    1.可視化=財政状況の見える化、情報公開
    2.コストダウン=質素倹約、旧来のしきたりによる出費の削減
    3.生産性向上=権威付けのためだけの城内の仕事や管理のための管理などのBullshit JoBの廃止、管理職(=侍)の現場(農林業、産業)への投入
    4.高付加価値製品の開発(鯉、縮、木工細工など)

    特に、3の生産に実質貢献していなかった、労力(侍とその家族)の現場投入は、現代でも難しい課題で、財政改革にとって本質的に大切なものは何か、今手元にある資産活用できるものは何かを考えた上で、旧来の常識を覆す最大の功績に思った。

    鷹山は実際の改革にあたって、最も大切なものは、米沢の人々の心を変えることと説く。小説内のメタファーでは、燃え尽きたように見える灰の中にもまだ赤く燃えているものがある。それがあなたにあるのなら、どうか周りの人にもその火をくべてほしい途いう。実際に鷹山は、以下3つのことを行い、人々の心を変えたと思う。

    1. 共通のビジョンの制定=火種の話、領民ファースト、三助(自己、相互、公共)など
    2.自己貢献感の醸成=日々の米沢が良くなっていることに対し、藩士・領民自信が貢献している気持ちの醸成
    3.愛と信頼の政治=藩士・領民に対し、思いやりと感謝を藩主自ら率先して示す

    改革の道は決して平坦なものではなく、旧重臣たちの屈曲した改革批判や妨害行動、藩邸の家事や冷害などの災害、改革当初からの信頼する仲間の不正行為など、数々のトラブルに見舞われた。それらトラブルすべてを真摯に受け止め、決して感情に流されることなく、公明正大に藩士の意見も聞きながら、執念深く信念をもって改革を進めた鷹山の器の大きさ脱帽するばかりである。

    大きなビジョンに向かう途中、困難に当たった時、本書を読み返し、鷹山ならどうするか、そんな問いを立てるために傍に置いておきたい本です。
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    投稿日:2022.06.26

  • とりしん

    とりしん

    巷に出回るビジネスノウハウ書よりもよっぽど企業改革に応用できるなと感じた。
    リーダーは末端の庶民(従業員全員)に改革の目的を愛を持って伝え、希望を持たせるように語り続けなくてはならない。

    投稿日:2021.08.22

  • shilvio

    shilvio

    今年(2001年)読んだ80冊以上の本の中からのベストを挙げておく。これは私の記録のため。こんなに本を読んだのは生まれて初めてである。全ていろいろな本をすすめていただいた方々のおかげです。 どうもありがとうございました。(2001.12.31HPの日記より)
    【文庫】
    1.「マイカラー・マイナンバー」ルイーズ・L・ヘイ
    2.「代表的日本人」内村鑑三
    3.「小説上杉鷹山」童門冬二
    4.「新時代の悟り 目覚め」高嶺善包

    ※2001.11.23購入@読書のすすめ
     2001.11.29読書開始
     2001.12.1読了
     2011.12.11売却済み
    続きを読む

    投稿日:2021.08.19

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