【感想】南極で心臓の音は聞こえるか~生還の保証なし、南極観測隊~

山田恭平 / 光文社新書
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • 星野 邦夫

    星野 邦夫

    自分も含め多くの人にとって未知の世界の南極を観測隊として生活体験したルポタージュ。過酷な世界を想像していたがそう感じさせず、思ったよりハードルが低く行ってみたいと感じさせるのは筆者の文章力の高さ故か。未知の世界を生活感を感じさせながら読み切ることができ楽しい一冊だった。続きを読む

    投稿日:2023.08.21

  • 臥煙

    臥煙

    高校生の時、OBの「南極は静かで自分の心音が聞こえる」との言葉から憧れた南極。研究者となって実現した体験とは。

    20世紀初頭のイギリス。南極探検のメンバーを募集するための新聞広告。
    「男子求む
    至難を極めし航海
    薄給、極寒、続く暗黒、常なる危険
    生還の保証無し
    成功時には名誉有り」

    当時より交通機関、装備は発展したが危険であることは変わらないだろう南極。第59次南極地域観測隊の一員として約1年4か月の南極滞在記。

    閉鎖された空間で過ごす男たち、ほかの作品でも描かれる奇天烈な人々が本書でも描かれる。その分新鮮味は薄い。ただ筆者は研究者のはしくれ、真面目でかつ詳細時に詩的な記述は良かった。中途半端にウケ狙いの部分が自分には雑音に感じられた。せっかくの素晴らしい内容、どうにかな、なかったのだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2021.02.16

  • かおり

    かおり

    あれ?南極ってユートピアなんだっけ???
    読んでいる途中から自分の感覚がおかしくなってくる。
    越冬隊においてはメンバーが一人何役をもこなし、それぞれが瑣末な仕事にも責任を持つ。しかも、意見や価値観の相違をどうにかこうにかすり合わせしながら。さらに言うなら、物資(主にビールやコーヒー、ソフトクリームなど、謂わば不要不急の嗜好品)窮乏の折には規制が設けられ、メンバーはそれに不満を言うでもなく受け入れている(これは一種の計画経済?)。施設の除雪は基本的には使うメンバーで行うが、みんなが使う場所は協力して行う(ここには「共有地」がある!)。それもこれも、すべては生存のため。
    うーん。
    ここは『ナウシカ』の風の谷なのか??
    どう考えても「健全なコミュニティ」なんだが。

    でも、このユートピアの成立条件は極めて厳しい。
    ひとつは期間限定であること。最長でも1年4ヶ月程度でこのコミュニティは解体される。筆者も書いているが、昭和基地は閉鎖社会だ。それが陰惨な空気に陥らずに済むためには(いや、実際には陰惨なのかもしれないけれど、そういう空気は読み取れなかったので)必ず終わる、という条件が欠かせないように思う。リアルの村は実に息苦しい。
    もうひとつは成員が全員健康かつ優れた知性の持ち主であり、コミュニティにとってなんらかの有益なスキルなり知識なりを備えているということ。
    さらにいうなら、潤沢なエネルギーと食料が外部から供給されるので、生産活動は行わなくていい、といういうことだ。これが一番大きいのかな。
    だから、越冬隊にはかつての全寮制の男子校みたいな空気感が漂っているんだろう。生産から切り離されたエリート集団であるという点で、両者はとても似ている。メンバー(全員とは言わないまでも)が男性ばっかりなとこも含めて。

    だから、南極の昭和基地ってユートピア的。
    というのは、ユートピアの原義としては正しいかもしれない。
    南極はどこの国でもない。
    ユートピアはどこの国にもない。 
    続きを読む

    投稿日:2021.02.07

  • elephanta

    elephanta

    南極は自分の心臓の脈打つ音が聞こえるくらい静かな場所なんだ、という話を高校生のときに聞いた日からずっと南極を目指して、ついにはそれを実現。専門的な部分は難しかったが、その他の南極生活部分はわかりやすくておもしろい。南極料理人を観てから読んだからか生活をイメージしやすかった。続きを読む

    投稿日:2020.12.09

  • tomtomusc

    tomtomusc

    1年4ヶ月に及ぶ南極観測隊のルポ。ユーモア中心のエッセー風だが、生涯をかけてそこを目標にしてきた割に、淡々と述べており、南極観測なんて本当は暗くて寒いところに閉じ込められるだけの面白くないものかもしれないが面白がれる。続きを読む

    投稿日:2020.11.30

  • sagami246

    sagami246

    第59次南極地域観測隊に研究者として参加した筆者の、1年4ヶ月に及ぶ南極での体験記。
    よく言えば諧謔味ある、あるいはユーモラスな文体で書かれたもの。一見ふざけているようにも思えるが、さすがに科学者、南極での生活のディーテイルを、こちらの目に浮かぶように記録している。
    研究者として参加しているということは、いくら南極という極端な場所であったとしても、普段の生活は研究のためにある。多くの時間を観測、あるいは、観測をするための予備的な作業に費やす。しかし、そこは南極。冬の内陸部の山地では、マイナス60度にも達する。観測・研究も命がけだ。
    そういった、研究者としてのどちらかと言えば日常的な側面と、南極という、そこでしか体験できない極端な側面が描かれていて、興味深く読んだ。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.16

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