【感想】ラ・ボエーム

アンリ・ミュルジェー, 辻村永樹 / 光文社古典新訳文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • RT

    RT

    プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』の原作。オペラとはだいぶストーリーは異にするけれど、オペラにも登場する人物たちによる貧困にあえぎながらも芸術や哲学、食に恋に生きる19世紀のボヘミアンたちの生活を楽しむことができる。登場人物たちが成功しブルジョワになったのちに登場するセリフに上流の味を知ってしまったというセリフがあるのだけれど、一度成功したらもはやあそこに戻ることはできないけれど、やはり可能性はそこにあるのだというノスタルジーでもある。同様に、ボヘミアンたちが時計や測ることを敵視しているのは資本主義的な論理とは測ることであるとしたら、そこから逃れるべきという本能的な防衛感覚なのだと思う。
    全面的に戻ることはできないけれど、少しずつは取り入れ、思い出すべきものそれがボヘミアンなのかもしれない。
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    投稿日:2024.05.07

  • 重度積読症

    重度積読症

     rボエーム芸術家の自由放埓な生活と恋愛模様を描いた23話から成る連短編集。

     正直、ボエームのハチャメチャな生活振りにはあまり共感を覚えない。もっともそのような堅実を尊ぶのは彼らからブルジョワと軽蔑されるだろうが。
     芸術に身を捧げるということは金銭的な苦労を厭わないということなのかもしれないが、社会的に成功する者はほんの一握りであろう。本書では、主要登場人物のボエームたちは一応社会的にも評価される形で終わっているが、「十八 フランシーヌのマ、フ」に出てくる彫刻家ジャックのように、悲惨な最期を迎える者も多かったのではないだろうか。

     もっとも、いかに借金返済を先延ばししたり人に借金を頼むか、なけなしの金でどうやって飲み食いするかなど、彼らの貧乏暮らしさえも楽しんで生活する様や固い友情の描写などは読んでいて楽しいし、また恋人との度々の別れに苦しみ悩む場面はメロドラマを見ているようで、ボエームたちの恋愛の真面目さには心打たれるものがある。


     本書はプッチーニ「ラ・ボエーム」の原作ではあるが、ミミの印象はずいぶん違った。舞台では構成を分かりやすくするためだろうか、ミミは恋人に一途なt女性のように見えるがが、本書のミミは移り気で自由奔放に生きている女性として描かれている。おそらく舞台のミミは、本書の一挿話にのみ登場するフランシーヌに近いのだろう。
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    投稿日:2024.02.09

  • アン

    アン

    軽快な文体で軽く読めた。オペラの予習のために読んだが、実際鑑賞したオペラでは原作のコミカルさが伝えられておらず、かといって別の楽しみ方ができる作品かというと…ミミとの悲恋も原作でのいい加減な恋模様を知っていると白けてしまう。続きを読む

    投稿日:2023.07.17

  • Tama

    Tama

    ザ芸術家って感じの裕福ではないが自由奔放な暮らしがイイですね。解説があるので読む分には支障はないのですが、しれっと衒学的な言い回しが多くて教養のなさを痛感させられました(恋のペルトラン将軍とか)人間の不合理な感性を美しく描き出すという点においてフランスの作品に勝るものはないと思います。
    それにしても、"信じて裏切られるのと裏切られるのを恐れて何も信じないのは、どちらがマシだろうか"ってルドルフのセリフは結構わかるかも笑笑
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    投稿日:2020.04.11

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