【感想】忍野さら 写真集 『 浪漫 』

このレビューはネタバレを含みます

「贖罪のケツ！ホントの彼女と繋がった…、ファインダー越しの意思疎通こそ『浪漫』！」
東京都出身、芸能事務所ワンエイトプロモーション所属のグラビアアイドル、忍野さらちゃんの通算2作目となる写真集です。販売元はワニブックス、撮影は橋本雅司さんです。
懇意であるはずの某週刊誌にカレとのデートをキャッチされ、リーチマイケルよろしく「ボコりたい」と写真を提供した友人の下へ乗り込んだ挙げ句、青アザ作った自身の姿をあろうことかtwitterに投稿するという、何から何までトホホ臭半端ない初スキャンダルが記憶に新しい我らがエース・忍野さら。本作はその顛末以降初めて発表されたグラビア作品であります。
贖罪の念がケツ意を招いたか、本写真集は端的に言って意欲作となっています。正統派グラドルの戦法は概ね「イメビはソフトに、写真集は大胆に」というのが一般的になりつつあるのですが、加味してもおいおい大丈夫かと目を凝らしてしまうショットが多数掲載。また1stと見比べると大きく変化を伺わせる所もあって、ただただ素養に恵まれたグラビアモデルから艶やかな大人の女性へといよいよ花開いた印象を覚えます。
裏帯にて「『リアルの自分、そして自分の中にいる別の自分』を表現」と威勢よくブチ上げ。大それた事言うじゃねぇかと裏表返し頁を捲ると荒波に揉まれ虚無になった御姿から始まって、旅館や賃貸部屋の一室、どんより雲の高原に寂れた都会のお散歩コース迄。ドメスティックな場所へと身を置いた彼女はいつもの朗らかさが控え目…、というかむしろ冷ややかですらある態度を表出。
ピーカンのハワイを舞台にハジけた姿を見せていた1stよりもはるかに湿っぽく・艶っぽく、揺らめく程の感情表現で佇む「リアルの自分」。にこやかな王道グラドルを演じた姿よりも素っ気ない位に取り澄ました姿の方がより自分らしいのだとするならば、ホントの忍野さらは今まで見てきたよりももっとずっと芯があって・凛として・美しい。
そしてもう一つのテーマ「自分の中にいる別の自分」は、一糸纏わぬ姿を過ぎ行く内に明らかになって行きます。浴衣を脱いで寒空の露天風呂へ、手足かじかみ我先にと湯船へ向かう彼女の肢体を遮る物は無し。浸かり暖を取りながら腰を浮かばせる悩ましい仕草、白く熟れた膨らみの間を湯が滑り落ちてゆく。
湯上がり。布団敷かれた和室。佇む彼女の乱れた浴衣から紅潮した首筋と胸元が覗く。婀娜なる肌の薄紅色。
伏せ。思いの儘に浴衣を拡げる。髪が乱れる、手足が乱れる、昂り背筋が浮き上がる。哀切を微かに滲ませていた相貌はやがて湧き上がる想いに苦悶し、崩れ、…。

先のスキャンダルは本人的には色んな意味で傷を負う形にはなったでしょうが、一ファン的にはその機会に彼女を知った方々に是非真価を発揮した本作、そして愛嬌いっぱいのイメビまで手に取って頂いて、「忍野沼」へと引きずりこまれてしまえばいいと陰ながらに願う次第であります。

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