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緑川聖司, 紅緒 / 集英社みらい文庫 (1件のレビュー)
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母親と喧嘩し家を飛び出した朱里。知らない道を歩いていると、古い屋敷が目に入る。初めて見るはずの屋敷に懐かしさを感じ朱里が門をくぐると庭に大きな倉が建っていた。吸い寄せられるように中に入ると暗がりの中に謎の少年が佇んでいた。 子供向けの怪談本を多数執筆している作者の作品。ポプラ社から色の本シリーズ、怪談収集家シリーズが出ているのは知っていたが、集英社みらい文庫から出ていたのは初めて知った。表紙の妖しさに惹かれて買ったがこの作者の本は好きなので純粋にうれしいところ。さて、こちらの本も怪談本である。いろはにほへとで構成される諺の「いろはカルタ」を捩った読み札にまつわる怪談を、表紙の少年が朱里に紹介していく。色の本シリーズや怪談収集家シリーズに比べると恐怖度は低いが、それでも怖い話が何作か。特に「化けの皮に取り憑かれる」は怖かった。生きている人間の負の感情に怪異がつけこみ、人を思うように操る様がおそろしかった。最後に木にたくさんぶら下がったくだんの物を脳裏に想像してぞーっと鳥肌が立つ。いろはカルタはまだまだ枚数があり、話を広げる余地がありそうだったが、どうやらこの話はこれで最後のよう。もうちょっと、この少年の正体を知りたかったし、今後主人公と少年の関係がどうなるかが気になっていたので残念。
投稿日:2020.09.22
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