【感想】紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ

二宮敦人 / 新潮社
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
5
3
1
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • がらがら

    がらがら

    大学で競技ダンス部に入った主人公の話。

    競技ダンス部という未知の世界を主人公と共に追体験できる。

    入りたてのダンスの世界に夢中になり、実は体育会系なノリにドン引きしつつ、ダンスに取り組む姿に熱くなる。大学の部活の楽しさと狂気が垣間見える作品。

    後輩達のパートナーを先輩が決める「固定」文化を始めとした、様々な伝統が悲劇を呼ぶ。

    正直狂ってるとしか思えないし、実際こういう体育会系の伝統ってカルト集団や軍隊の洗脳手段に近いものがあると思う。でも、そういった大学競技ダンス部の苦い部分に特に焦点を当ててるからこそ、この本は面白い。

    また色鮮やかで可愛らしい表紙が良い。ここしばらくはKindlePWで読むことが多かったから、折角買っても白黒の表紙しか見ないことが多かったんだけど、久しぶりに紙の本で読んで表紙デザインの美しさとか、本の実物感みたいなのを堪能できた。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.29

  • 読書好き太郎

    読書好き太郎

     勉強ばかりして、やっと入った学校の入学式でめちゃくちゃ勧誘されて、いい気持ちになって、酒飲まされて、褒められまくって、体験させられ、褒められまくって、突然厳しくされて、突き放されて、でも、優しくされて、プチ達成感みたいの感じさせられて、って行ったことないけど、自己啓発セミナーってこんな感じかな?
     巻末の作者紹介が、ALL 一橋大学体育会競技ダンス部卒になっていましたが、自分も授業は寝てばかりで、人生に必要なことは全て部活で教わったばりに思っていました。
     アイデンティティが部活と一体化してしまい、試合に勝てたら死んでもいいわくらいに、のめり込む始末。ホントに卒業という区切りが合って良かった。

    そんな気持ちを代弁してくれる良作です。

     
    続きを読む

    投稿日:2021.07.25

  • rosymidlife

    rosymidlife

    読みすすめるとダンスがとても身近に感じられて、ストーリーにのめり込んでしまった。今になって振り返ると戻りたいような戻りたくないような青春の1ページ。

    投稿日:2021.06.18

  • 瑠璃花@紫苑

    瑠璃花@紫苑

    東京芸大に関するルポ小説をお書きになった二宮敦人さんのお作。学生競技ダンスについての1冊だ。

    身内に競技ダンスの選手がいる。踊りが好きで好きで、バレエにシアターダンス、ジャズ、様々経験して、幼い頃からの踊る生活の後、学連から競技ダンスを始め、ここに書かれている、悲喜こもごもを味わい尽くして、卒部後、アマ戦に進み、現役で踊っている。

    身内は一橋大ではないが、学連の競技ダンスというのは、そこに携わる選手の方たち、全部が大きな『競技ダンス選手部』とでも言いたいような、連帯があるように見える。ここに書かれていることは、誇張ではない。勉強や仕事があるにも関わらず、皆さん4時間、7時間、と練習する。睡眠を削り、毎日ウェイトをチェックし、技術を学んで、他のやるべきこともやって、なおかつ踊る。

    軟弱なんて、イチャイチャなんてとんでもない。いかに激しい運動量か。互いに泣いて笑って、信じてぶつかって、感謝して。美しい本番に向けて、ひたすらに踊る。
    悩んだ時の相談役だった私は、濃密なこの世界の様を、身内を通してずっと見てきた。

    「悩みも、苦しいのも、色々嬉しいのも、時期が違ってもよく分かる。他大も自大も関係ない。卒部の時の幸福感と、それでもダンスが好き、ここで踊って来て良かったって思うのは同じなんだよ。」とのこと。そうだろうと思う。

    固定カップル制度のことも、勝てた勝てないも、その正否いかんより、その中で打ち込んで悩んで、輝く様が、尊く思え、卒部の時期が全く違う二宮さんの心にも、それは残っているのだろうと思った。芸術スポーツ、あるいはアートとしての舞踊は、どんなものでも、どこか日本では、失笑と共に軽く見られている。でも、もしそうなら、なんで学連の方たちが寝る間も惜しんで、しのぎを削るものか。プロ・アマ共に、こんなにも幅広い年齢の表現者・競技者がいようものか。

    興味を持った方が、競技を見たり、実際に踊ったりなさったら、どんな感想を持たれるだろう。チョロくないことに、驚かれるだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.29

  • きぼりねこ

    きぼりねこ

    私はこれまで一度も体育会系の部活に入ったことがないので、出来ないことを教師やコーチではなく先輩に叱られるとか、先輩の言うことは絶対とか、人生を捧げる勢いで部のため!という空気がよくわからなかった。
    りたいことをそれぞれ行い、その集まりが部だと思っていたが、そうではないようでその熱量に呆気に取られる。

    だが読んでいくと、先輩たちがなぜ厳しかったのか、なぜ部のために尽くせるのかが、少しだけわかった気がした。
    それでも、自分やパートナーと向き合いひたすら練習するのはともかく、誰にも選ばれないという地獄のようなシャドーになる恐怖や、部のために成績を残すプレッシャーには耐えられそうにない。
    真剣に取り組みすぎて、みんなが罪悪感を持っているのもしんどすぎる。

    もし人生をやり直すことになっても、残念ながら部活動として社交ダンスは私にはできないと思った。
    ダンス自体は楽しそうなので、趣味で習うくらいが楽しいのだろうな。
    続きを読む

    投稿日:2021.03.23

  • Giorno

    Giorno

    「部の運営でも、試合の勝ち負けでも、出口が見えない。悪夢のような現実を抜け出して、別の場所に行きたい。残りの日数を指折り数えるなんて、思ってもいなかった。」
    10年後、当時の仲間たちを巡る旅に出て、挫折感と後悔の念と共に押し入れの奥にしまい込んだ四年間がよみがえり、やがて昇華する。続きを読む

    投稿日:2020.10.28

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。