【感想】学校に入り込むニセ科学

左巻健男 / 平凡社新書
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
6
7
9
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ブクログレビュー

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  • shinichiro

    shinichiro

    水の似非話やEMはともかくとしても、右脳左脳やゲーム脳、あるいは腸の長さの話なんかは、文字通り学校という教育現場に入り込んでしまっている。近年の大規模言語モデルとのチャットでも感じることだが、それっぽくてモワッと分かった気になる文章が出てきたとき、それを論理的に正していくことは簡単ではない。それゆえに、知的かつ専門的な見解がむしろ鍛えられる。逆に言えば、単にそれっぽい感じだけを持つ文章の方が誤解とはいえ分かりやすい(気がする)という点で広がるスピードは桁違いに速い。SNSのデマもしかり。発言・発信する方が悪いのに、騙される方もまた悪いという、人生の不都合な真実がまたここにも。続きを読む

    投稿日:2024.03.19

  • moonpearl

    moonpearl

    この著者が以前に書いた本、「水はなんにも知らないよ」も読んだことがあります。当時、けっこう流行っていた「水はなんでも知っている」とかいう本に対する批判の内容で、実は勤め先で、この「なんでも知っている」の方を読んでいる人、正しいと信じている人が結構いるのに驚いて、両方を合わせ読んだのでした。
    今回の本は、その内容も含めて他のニセ科学についても取り上げ、かつ、それが学校という教育現場で先生の手により正しいと、子どもたちへの教育効果があると信じられ教材に取り上げられてきたことを合わせて取り上げているところに興味を惹かれました。

    取り上げられていたテーマは、「水からの伝言」「EM」「TOSS(Teachers' Organization of Skill Sharing)」「ゲーム脳を始めとしたニセ脳科学」「食育教育」「原発教育」、その他多々。一つ一つのテーマの内容、ニセ加減、などは個々に知っていることが多かったですが、それが実際に、教えるための指導要領案がTOSSによりサイト公開され、学校で先生たちに取り上げられ、正しいと信じられて教えられてきたこと、授業展開に活用されてきたことが驚きでした。

    が、そういえば実際に子どもが小学生のころ、学校にPTAの用で行ったときに、職員室前の廊下に堂々と、水に、植物に良い言葉をかけようという掲示がされていたのでした。当時、見てすごくびっくりしたのでした。

    大元の考えを広めた人達は、本当にそれを心から心底信じてのことなのか、それとも内心ではその怪しさを認識しつつ、隠しているのか、そこはわからないのですが。少なくとも、先生たちは子どもたちのためになる、「科学的」に正しい内容と信じて教えているところが、なかなか厳しい。一つ一つを、正しいかどうかファクトチェックするのは大変なことではあるし。正直なところ取り上げられているテーマのうち、「天然」「無農薬」あたりは、自分もこだわってきたものだし。

    現状でも「コロナ」「ワクチン」「マスク」などや、「スマホ脳」「AI」など、科学的に正しいかどうか、根拠があるかどうか、きちんと調べ尽くしたりはしていないのが我ながら実情です。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.07

  • hamakoko

    hamakoko

    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00032394/

    投稿日:2022.09.07

  • ヤッシー

    ヤッシー

    水からの伝言などのニセ科学について、めちゃくちゃ詳しい本です。
    考え方云々以前に、
    「こういう危険な実践があるのだ」
    ということを知るだけでも意味があると思います。
    教育に関わる全ての人に読んで欲しいです。続きを読む

    投稿日:2022.08.15

  • hokkaido

    hokkaido

    理科教育の専門家として、中学校教員を経て大学研究者としても活躍した著者が、日本の理科教育、ひいては科学教育を歪ませる”ニセ科学”の実態を明らかにする警鐘の書。

    取り上げられているのは
    ・水に対して乱暴な言葉を浴びせれば結晶の形が乱雑になる、という「水からの伝言」
    ・有用微生物の働きで健康増進など様々なメリットがあるというEM菌
    を始めとして、親学、ゲーム脳など広範な”ニセ科学”の数々である。

    名前は聞いたことがあるものばかりであるが既にブームを過ぎたものが多いということもあり、こんなものが義務教育の中で実際に教えられた学校があった、という点に素直に驚愕する。

    特にこれらのうちの一部、例えば「自らの伝言」が顕著であるが、授業で教えるのが難しい道徳的な概念を一見科学的に見えるように糊塗することで、現場の教師たちが道徳の授業などで使えるツールとして用いられた
    、という点には特に留意する必要がある、と感じた。確かに他人に対して乱暴な言葉遣いをしない、というのは学校教育で教えるべき概念であることは否定しないが、その目的が正しいからといって、手法がこのように”ニセ科学”に依拠するものであるのは許されない。公教育においてはそうした現場の教師ニーズから、”ニセ科学”が忍び込んでいく、という悪しきプロセスには今後も気を付けなければならないのだと思う。
    続きを読む

    投稿日:2021.12.12

  • sugar41

    sugar41

    「ニセ科学を学校に入り込ませてはならない」という、ある種、当たり前の主張をしているだけの本ですが、そう主張しなければならないほど、科学リテラシーの低い先生が多い、ということだと思います。
    その一方で、巧妙なニセ科学もあるので、科学リテラシーが低くない先生も、ニセ科学に騙される危険性をつねに頭の片隅に置いておくことは大切かと思います。

    科学リテラシーの低い先生、ということでいえば、少し前に、仕事の関係で、中学校の先生からいろいろと問い合わせを受ける機会があったのですが、数学や算数に関するリテラシーの低さを感じる問い合わせがたくさんありました。
    先生の研修にはいろいろなものがあると思いますが、科学リテラシーの向上に関する研修は必須かも、と思いました。

    とくにこれからは、統計に関する知見は必須だと思います。
    科学に関する基本的な知識と、統計に関する基本的な知識があれば、見破れるニセ科学の種類・範囲は、ぐっと広がると思います。
    続きを読む

    投稿日:2021.11.15

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