【感想】資本主義はいかに衰退するのか ミーゼス、ハイエク、そしてシュンペーター

根井雅弘 / NHK出版
(1件のレビュー)

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  • koochann

    koochann

    20世紀前半に活躍したウィーン大学出身の3名の経済学者たち。彼らが、社会主義に反対の立場だったことは良く知られているが、いずれも資本主義の成功のゆえに、精神の形骸化による衰退を論じていたということは驚きである。イノベーションという概念で起業家精神を主張するシュンペーターも、そして右寄りのイメージが強いハイエクも資本主義の末路を心配していた。それが民主主義と自由主義を標榜する日本においても現在進行していることを改めて痛感し、彼らの慧眼に恐れ入る次第。経済学だけではなく、政治哲学ともいうべき領域に彼らが踏み込んでいることは全く未知の領域だった。
    シュンペーターの「資本主義・社会主義・民主主義」は一度読んでみたいものだ。
    ハイエクの「自由主義」の中の言葉は正に今の政権を予言しているかのようで驚き。引用したい。「余りに広範かつ複雑なために多数決によっては効果約に処理できない任務を政府が背負い込むとすれば、事実上の権力は、民主主義的統制からますます独立する官僚制的装置に継承されるであろう、というのが不可避的なところと思われる。それゆえ、民主主義による自由主義の放棄は、結局、民主主義の消滅に導くということは十分にありうる。とりわけ、民主主義が向かいつつあると思われる種類の統制経済は、その効率的運営のために、権威主義的権力をそなえた政府を必要とする、ということはほとんど疑問がありえないのである。」これは保守の論客佐伯啓思が書いている言葉とも一致する。「民主主義も同様です。 民主主義そのものが大事なのではなく、民主政治で国民の意思を吸い上げることによって、 国民の中にある文化や価値の重要なものが政治の場に表現されるこ
    とが大事なのです。したがって、日本人がいかなる文化を重んじ、いかなる価値観を持つかがある程度了解され、ハッキリしてこなければ、自由も民主主義もうまく機能しません。」
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    投稿日:2019.10.05

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