【感想】奇異太郎少年の妖怪絵日記 11

影山理一 / マイクロマガジンコミックス
(1件のレビュー)

総合評価:

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  • 『黒犬』の優樹(2)

    『黒犬』の優樹(2)

    このレビューはネタバレを含みます

    この(11)も、最高に妖怪だった
    面白可笑しく、人間と妖怪の交流が描かれているんだけど、内容が浅くなく、異なる種族が強い絆を紡ぐことの難しさ、その壁を越える意味がしっかり描かれている
    絵柄の好みで言うと、私としちゃ、藤田和日郎先生やみなぎ得一先生、楠桂先生くらい、濃いめの方が好きなんだが、影山先生の絵柄は、ストーリーが重くなりすぎるのを良い具合に阻止してくれているので、上手いな、と感じる
    やはり、ストーリー、絵、キャラの調和が取れている漫画は読みやすいし、面白さが増す

    この(11)のメインは、表紙を見ただけでも判ると思うが、河童
    ソウルメイトであるカッパの、「ここにいたい」、「奇異太郎たちと素敵な時間を過ごしたい」、その純粋な願いを叶えるべく、奇異太郎が仲間と共に、「カッパ相撲五番勝負」に挑んでいる
    河童と言っても、色々な奴がいるのだなぁ、と思わせるのは、さすが、影山先生
    ガラッパを始め、実に個性的で、キャラが濃い
    奇異太郎とカッパの仲を裂こうとするガラッパだが、彼は決して、悪いヤツじゃない
    彼には彼の通すべき筋と、守りたいモノがあるだけだ
    もちろん、奇異太郎にだって、譲れないものがある
    どちらも引く気がないのならば、もはや、言葉は不要、拳で語るのみ
    ガキっぽいと言われるかもしれないが、男ならば、こういうシンプルな熱戦にはテンションが高まるもんだ
    相撲だからと言って、バカにしちゃいけない
    むしろ、相撲だからこそ、面白いのだ
    ほぼ裸で、素手、蹴りは使っちゃならず、足裏以外が地面に着いたら負け、そんな制限が多いルールの相撲が、今日まで廃れていないのは、力士同士がぶつかり合い、全力を出し合う姿が、見る者の魂を打ち、感動を与えるからに他ならない
    人間と人間の相撲でもグッと来るのに、相撲好き妖怪の代表格と言ってもいい河童と相撲勝負をするとなったら、つまらないはずがない
    滝霊王vs水虎、芝天vs九千坊、妖狐vs禰々子、カッパvs荒川弾正、どれも素晴らしい一番だったが、やはり、大将戦の奇異太郎vsガラッパは凄かった
    それこそ、これ、相撲としてアリなの、とツッコみたくなるレベルの名勝負だった
    全力を出し切って、なお負けたガラッパが潔く、敗者としての筋を通した姿も、またカッコよかった
    この経験が、奇異太郎を、どう成長させたのか、今後が楽しみだ
    にしても、どんどん、人間離れ化が進行していくな、奇異太郎は
    まぁ、だからこそ、女性型の妖怪にモテまくってるのだろうが
    次巻では、どんなヒロインをメロメロにし、ハーレムの一員に加えるのか、そこも期待できる

    この台詞を引用に選んだのは、奇異太郎のカッコ良さが特に際立っているな、と感じたので
    大切なモノを守りたい勝負に挑むからこそ、自分の持っている一番の価値あるモノを、敗北した時には捨てる覚悟を持っていなければならない
    奇異太郎のこれは短慮ではなく、勇敢さから来る大胆さだろう
    もちろん、奇異太郎の覚悟を真正面から受け止めたガラッパも、雄だ
    こういう不敵さは見習いたいものだ
    「お前の言う『離れの主』と、俺が言う『離れの主』は意味が違うのだったな? だが、そう名乗ること自体を、お前が気に入らないと言うなら、・・・・・・それで、カッパを連れ帰るのを諦めて、納得してくれるのならば―――OK、賭けよう。こちらが負けたら、俺はもう、『離れの主』とは名乗るまい。他の妖怪たちにも、俺をそう呼ばないよう、徹底させよう。・・・・・・それで、どうだ?」
    「いいぜ、上等だ。イヤ・・・・・・極上だぜ!」(by奇異太郎、ガラッパ)

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    投稿日:2020.10.25

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