【感想】京大変人講座

酒井敏, 小木曽哲, 山内裕, 那須耕介, 川上浩司, 神川龍馬, 山極寿一, 越前屋俵太 / 三笠書房
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • 郁恵

    郁恵

    東大にはない気風がちょっと羨ましくなる。学問って、こういうものだよね、みたいな感じ。別に変人とは思わない

    投稿日:2023.05.07

  • lisainu

    lisainu

    このレビューはネタバレを含みます

    "変人だよね"と言われることがむしろホメ言葉だという京大の先生たちが、常識を飛び越えたことで見えてくるものを熱く語った本。
    面白い!
    そして、変わり者、主流に馴染めないことを気にやんでいる人はこれを読めば元気をもらえる。

    大学に対して、競争的研究費をどれだけ取ったか、インパクトのある成果が出たか、といったことに目が行きがちな世知辛い世の中だけど、京大の伝統といおうか校風といおうか、変わった研究、変人養成を奨励する雰囲気を大事にしてほしい。

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    投稿日:2022.12.03

  • シニョン

    シニョン

    変人と言われて悩んだことがある人はこれを読むとポジティブになれます。変人こそが世界を変えると考え方も変わるかもです。本の内容も難しい内容はなく、日常生活の中にある疑問から発展するお話が多いので、非常に気軽に読むことができます。続きを読む

    投稿日:2022.06.02

  • syamada

    syamada

    多様性を持つことの重要性を教えてくれる本です。
    「変わっている」という言葉は、あまり褒め言葉とは受け取られないことかもしれませんが、京大では褒め言葉となるようです。
    そもそも人類をはじめとする生物は、環境の変化が起こった際に、変化に対応できた「変わった人」が生き残ってきました。
    社会の変化が激しくなる中、「変わっている」≒多様性を持つことが重要視されていますが、多様性を受容(歓迎)する意識を高めるために役立つ1冊だと感じました。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
    「サービスにおいて、提供者側が客を満足させようとすると、かえって客は満足しなくなるというパラドクス(逆説)が起こる。サービス側の気持ちが透けて見えてしまうと、上下関係が生まれ、提供者は従属する側となり、立場が弱くなり、価値が低く感じられ、客は満足しない。」
    「『不便』は、自発的な工夫やチャレンジを許してくれる、度量の広さを持っている。『便利』だと、何でもやってくれるが、ユーザー側の工夫を許してくれない。不便さには、ものの価値を上げ、モチベーションを上げる性質がある。楽(ラク)だと、楽しくなく、プロフェッショナルが育ちにくい。」
    「誰にでも平等に、不平等はやってくる。世の中には不平等なしくみが数多く存在するのは仕方がない。いったんこの世に生を受けてしまえば無計画で何も決まっていないから、チャンスは存在する。無計画さはムダ、無節操、無責任、身勝手ではあるが、強いネットワークを築ける。」
    →不便さ(不平等)がチャンスを作り出すということを覚えておきたいです。なぜ鮨屋のおやじは機嫌が悪いのか、なぜ遠足のおやつは300円以内なのかを考えることから、ビジネスで重要なことを導き出せるということも非常に面白いと感じました。身近な「なぜ」を考えることで学べるものが多いことを教えてくれています。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ○“変人”がいるから人類は発展してきた
    ・「違う道を一緒に歩む」。同じ道を一緒に歩いたら、どこかで煮詰まってしまう。議論する、話す、語らう中で、孤独を恐れず個を深堀りする。
    ・地に足をつけているだけだと、行動に移せない。大学は、ちょっと世間と浮いている人が行動しながら生きていける場所であるべき。

    ○地球の教室-毒ガスに満ちた「奇妙な惑星」
    ・地球に酸素がない時代の生物は、酸素を必要としなかった。彼らにとって酸素を取り込むことは自らの身体を燃やすことを意味し、酸素は猛毒であった。酸素を必要とする人類が今の地球上で繁栄できているのは、その“猛毒”にたまたま適応できた“変わった生き物”が生まれてくれたからにほかならない。
    ・人類、地球の未来を考えると、差し迫る問題ばかりにとらわれがちだが、すべてがあってこその「今」。誰かがそうしようと思って、現在の地球環境ができたわけではなく、起こってきたことにひたすら対応してきた結果。未来の地球に生き残るのは、意外な“変人たち”。そう信じて、「変な生き物」として堂々と生きていくべき。

    ○経営の教室-なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか(「お客様は神さま」ではない)
    ・サービスの基本的なしくみは、客と提供者が一緒に参加して価値をつくっていくもの。一方的に与えられるものではなく、“人と人の間にある”。寿司やフレンチなどが高級になればなるほど、「笑顔」「情報」「迅速さ」などの「サービス」と呼ばれるものは提供されなくなるのも、それに基づく。
    ・サービスにおいて、提供者側が客を満足させようとすると、かえって客は満足しなくなるというパラドクス(逆説)が起こる。サービス側の気持ちが透けて見えてしまうと、上下関係が生まれ、提供者は従属する側となり、立場が弱くなり、価値が低く感じられ、客は満足しない。
    ・おもてなしは、必ず経済的な循環の中に取り込まれているが、「見返りを求めていないように見える」という部分に値打ちがある。提供者が一方的に客を満足させる、次から次へと顧客のニーズに応えて新商品を提供し興味を引きつける、客の好みに寄り添って「いいね」をもらおうとする、というサービスのあり方は限界が来ている。
    ・「作法」とは、非常にややこしく、合理的で効率のいい物事の対極であろうとするもの。わからないことが大事。一握りの人にしかわからないからこそ価値が生まれる。「合理的で効率がいい」という方向性をよしとするのは「労働」、「労働者」。

    ○法哲学の教室-人間は“おおざっぱ”がちょうどいい(安全、安心が人間を滅ぼす)
    ・世間一般に認知されている「安全・安心」に違和感があるのは、①「安心」と「安全」がいつもセットで扱われている、②人任せ、国任せにしてしまいがち、③キリがない、という3つのポイントがある。
    ・安全と安心をひとくくりにしてしまうと、非常に危険な状態でも無理やり危険を見ない、安心できるまで安全を追求してしまう、安心できないと人に頼ってしまう、という3つのパターンで有害になりうる。
    ・一つひとつの不安が小さくても、積み重なると大きくなる「不安カスケード」が引き起こされることがあるが、要素として、まず、不安の種(不安な気持ちにさせる原因)があり、それが一定の条件がそろって「畑」ができてしまうと、そこに根付いた「不安の種」があっという間に芽吹き、成長していく。
    ・不安の種はなくならず、無限に生まれる。不安を消すには多大なコストがかかるし、躍起になるほど、矛盾も増える。広く世間を見渡せば、そこまで極端な自体にはなっていないが、それは「本当に気になること」と「どうでもいいこと」の取捨選択を自然にやっているからで、これが悩みを解決するカギになる。
    ・すべての判断を国など他者に委ねるのではなく、自分の感覚を信じ、育てることをもう少し大事にしてもいい。考えるべきは、未来が予測と違う方向へ転がり始めたとき、起きたことをどう受け止めるか。受け止めた瞬間に、それがおもしろく楽しいものに転じる可能性が生まれる。

    ○社会デザインの教室-なぜ遠足のおやつは“300円以内”なのか(人は「不便」じゃないと萌えない)
    ・「不便」は、自発的な工夫やチャレンジを許してくれる、度量の広さを持っている。「便利」だと、何でもやってくれるが、ユーザー側の工夫を許してくれない。不便さには、ものの価値を上げ、モチベーションを上げる性質がある。楽(ラク)だと、楽しくなく、プロフェッショナルが育ちにくい。
    ・自動化は便利になるが、いざというときの問題解決法まで理解が及ばない「ブラックボックス化」、任せてもらえないことによりモチベーションが低下する「タスクの変容」という問題がある。

    ○生物の教室-ズルい生き物、へんな生き物(“単細胞生物”から進化の極みが見える)
    ・生物の世界はまだわからないことだらけで、知識・認識は日々変化する。多様性は、発見して、訂正しながら、少しずつ正しい理解を進めていくもの。社会が生物に対して認識している「多様性」はごく一部、確実に知っているのは「まだすべてを知らない」ということだけ。
    ・カテゴライズ、グルーピングしようとするほど、「例外が多すぎる」「わかっていることが少なすぎる」という現実に直面するが、わからないことをすべて知ることができたら、完璧なカテゴライズが可能になるかもしれない。わからないからできないということは、裏を返せば、わかればできることになる。
    ・環境が、生物の生き方や生物そのものを変える進化を引き起こすことがあると考えられている。人間の生き方も多様化した。他の生物と同じで、変わり者だからこそ、新しく生きる場所を見つけられる生き物がいる。人と違うことは、他の多くの人が真似できないとっておきのチャンスを手にしたと思ってみる。

    ○予測の教室-「ぼちぼち」は最強の生存戦略(未来はわからないが、なるようになっている)
    ・同じところに入れたつもりが、どんどん離れていってしまい、どこに入っているかわからなくなるのが、典型的な「カオス」。それは日常的な動作の中に潜んでいて、特殊な条件で生まれるわけではない。
    ・一方、世の中は小さな図形が集まって大きな形が形成され、「全体」と「部分」が限りなく同じ形をしている「フラクタル図形」があらゆるところに見られると言われる。そこから導き出されるのは、世の中はどうがんばっても予測できないものだということ。同じことをやっても、出てきた結果はちょっとずつズレていく。
    ・現実のネットワークには「普通」という概念がない。例えば、自分にそれほど友人がいなくても、もっと友人が少ない人はたくさんいるので、なんとなく安心できるバランスを保っている。普通がないので、1つの関係が途切れても、別のバイパスがつながり、全体としてバラバラになることはない。
    ・誰にでも平等に、不平等はやってくる。世の中には不平等なしくみが数多く存在するのは仕方がない。いったんこの世に生を受けてしまえば無計画で何も決まっていないから、チャンスは存在する。無計画さはムダ、無節操、無責任、身勝手ではあるが、強いネットワークを築ける。
    続きを読む

    投稿日:2021.11.03

  • kumakubon

    kumakubon

    変わったこと(誰も手を出さないようなこと)を究める人がいるから、新たな発見・見方が生まれ、私たちの生活が色鮮やかになっているということを実感できる本でした。
    本書では6人の京大の先生が、私たちにも身近なテーマをすごく分かりやすく説明してくださっており、目から鱗の話も多かったです。
    個人的には、高級鮨店の板前の無愛想さが生むサービスとしての価値の話が面白かったです。
    お金になる研究に国は重点的に投資したいんでしょうが、京大には「何か変な研究やってるな」って言われるような面白い研究を続けてほしいなと思います。
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    投稿日:2021.10.17

  • O

    O

    ★ なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか
    これがめちゃくちゃ面白かった。サービスってこう捉えられるのか!!!

    ★「不便なモノ」が社会を豊かにする!?
    鮨屋のおやじの話にも通じる。
    最近私はアナログ回帰にハマっているので、共感するところも多かった。


    巻頭対談も面白い。やっぱり山極先生の考え方は自分の好み。


    ★「安心・安全」が人類を滅亡に導く
    は実に「常識を疑って自分の頭で考える」ことを実践している文章だった。
    続きを読む

    投稿日:2021.08.01

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