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渡邉義浩 / 集英社新書 (29件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
キングダムを絡めた発想は良かったと思うが、タイトルの「キングダムで解く」ほど内容がリンクしているとは感じられなかった。 そもそも、著者の熱意が伝わってこない感じを受けた。 秦の行った体制の変革は特異な物で、その後の2000年以上(著者によれば現代でも)にわたって中国を支配したものであり、秦による統一がなければ、中国は南北で分かれていた可能性すらあることをもっと強く(熱く)語っても良いのではないかと思った。 記載されている内容は高校世界史の枠を出ない内容で、知識として真新しい物は一切無いと言ってよく、また、支配制度に関しても、「後続の漢王朝により継承され、洗練・周知されたことが大きい」という当初の印象を変えるものではなかった(むしろ強まったとも言える)。 より深い内容がないのであれば、秦前後の体制を比較することで、秦の制度改革が特別なものであったかや、(統一への原動力らしい)周辺異民族の侵入についてまとめを行ってもよかったのではないか。 また、封建制度の崩壊に食料生産の大幅な向上があるとのことだが、食料生産量の増大は人口の増大に直結する。商、周王朝の時期と秦が統一を果たす時期では、支配地域が大きく拡大しているはずでもある。秦の統一前後(〜より後の時代までも)の人口の変化や支配地域の変化に着目して、図を用いて示せば、秦が現代中国の礎となったことをより強調できるのでは無いかと思った。 農機具や農作物の変化による食料生産量の増大は、中国に限ったことでは無く、ヨーロッパなどでも何度も起きていたはずであり、それだけで封建社会が崩壊していくという理論は乱暴なように感じる(他国では起きない)。他に理由があるのではないかと思ってしまう。 本書の論旨からはみ出そうだが、他の地域との比較(中国の”異常性”の強調)があっても良かったのでは無いか。
投稿日:2024.03.04
Limei
キングダム大好き キングタムの時代背景や社会の仕組み、考え方の理解も深まり、今の中国が中国である理由もなんとなくわかる気がします キングダムの時代から今に続く中国の歴史の壮大さが心に響きました
投稿日:2024.02.21
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
NDC分類 124.5 【『キングダム』から、2000年間、中国を「影」から支配してきた原理を読み解く! 】 ・秦の統一は400年早かった。秦を「異常な国」に変えた法家の思想 ・媧燐も李牧も呉鳳明…も、なぜ「他国を滅ぼして中華統一する」と言わないのか? ・なぜ鄴の城主は難民を受け入れたか? 背後にあった氏族制社会 ・李牧の「七国同盟」は、既得権者たちの抵抗の象徴 ・2000年間、中国大陸を規定してきた国家モデル「古典中国」 ・中国人はなぜこれほど「自信満々」なのか? 「現代中国の力の源泉は、十四億という膨大な人口にある。では、なぜこれほどの人が暮らす広大なエリアを、中国の歴代帝国は何度も統一し支配することができたのか?そのような場所は、人類史上、中国大陸以外に存在しない。答えは初の統一帝国・秦にある。秦が採用した「法家」の思想と統治のノウハウが二千年にわたって引き継がれたために、中国は繰り返し統一されたのだ。では、法家とはどのような思想なのか。漫画『キングダム』では法家改革後の秦が見事に描かれている。本書では、『キングダム』に流れる地下水脈を、二十五点もの名場面を引用しながら縦横に解説する。」 【目次】 第1章 『キングダム』前夜 ‾春秋・戦国時代はなぜ550年も続いたのか? 第2章 法家と秦の大改革 第3章 中華統一と空前の権力 第4章 始皇帝はなぜ儒家を憎んだのか 第5章 理想のゆくえ 【著者略歴】 渡邉 義浩(わたなべ よしひろ) 1962年、東京生まれ。筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了。文学博士。 現在、早稲田大学理事、文学学術院教授。大隈記念早稲田佐賀学園理事長。三国志学会事務局長。専門は古代中国思想史。 『三国志 演義から正史、そして史実へ』(中公新書)、『三国志事典』(大修館書店)、『春秋戦国』 (歴史新書)など著書多数。続きを読む
投稿日:2024.01.20
つー
中国は国土が広大かつご存知の通り人口14億を抱える巨大な国だ。清の乾隆帝の時代がその最も広い版図になり1470万㎢にも達する。日本ではインスタントラーメンのコマーシャルで中国4000年の歴史というのが…定着してしまったが、夏王朝の時代さらに、それ以前に在ったと言われる、三皇五帝(さんこうごてい)時代(古代中国の神話伝説時代で8人の帝王がいたと言われる神話時代)を足すと中国には4600年の歴史 =凡そ5000年前の話になる。だから実際には5000年の歴史を持つと言われる所以だ。その後、西周や春秋戦国の時代、秦、漢などの様々な国が誕生し、世界史を勉強した人なら中国の王朝の流れを漢字で追いかけると同じ音読みなども影響し覚えるのが非常に面倒だった(個人的にはインドの王朝の読みづらさ覚えづらさはそれを上回ったが)。 中国の歴史は「三国志」や「項羽と劉邦」、マンガ「キングダム」などで扱わた事が多く、男女問わず読んだ経験を持つ人が多いから、意外とビジネスシーンでも役に立つ。特に中国の歴史を扱った映画などが公開されたタイミングで社外交流パーティーに参加した際の共通話題として話のネタになる事もある。いつも怒ってばかりの上司がこの辺りの歴史が好きなら読んでおくと仕事以外で会話が盛り上がる。 本書はそうした読み物の中から、前述のキングダムという漫画を題材に、如何に広大な中国を時の覇者達が治めてきたかを探る内容だ。個人的にはキングダムを読んだ事が無かったが、ベースとなる中国の歴史自体は世界史の勉強を始めとして書籍などで触れていたので内容はすんなり頭に入ってくる。ただし人物名は難解な漢字を使ったり、日本人に馴染みの無い(当たり前だが)名前が多く流石に覚えるのは難しい。マンガを1巻から読んでいけばそうでは無いと思うが。 本書は広大な土地と人口を抱える中国が如何に統一が難しく、多くの戦いと権謀術数の中で纏められていったかの理解に役立つ。日本の様に海に囲まれて外敵を意識する必要がない国とは明らかに違い、中国は自国内だけでなくユーラシア大陸の外敵との関係性も重要になってくる。現代でもチベットや新疆ウイグルなど漢民族とは文化も歴史も言葉も異なる異民族を纏めようと無理する共産党体制が見て取れる。現代社会にも繋がる統一の考え方は、中央集権である。地方に自治権を与えれば必ず統治における脅威になる恐れがあるから、中央が強権的に従わせるのは中国にとって自然な考え方だ。キングダムの中でも地方出身の権力者同士が群雄割拠し国が荒れたり安定したりを繰り返している。こうした歴史の中でも重要な存在が法家の存在だ。秦の孝公に仕えた商鞅や韓の王族である韓非を筆頭に厳正な法律により人民を統制する手法だ。現代社会では当たり前ではあるが、遥か紀元前の時代から中国で発達してきた考え方・思想になる。戦国の七雄の秦に仕えた商鞅は郡県制を敷き中央集権による統治体制を整える事で秦を大国にした。 また、韓非は結果主義や能力主義など現代ビジネスシーンで当たり前となっている信賞必罰の考え方を確立すると共に、完全なる職務分掌をルール化し臣下を統制する。巨大な中国だからこそ早くにこの様な考え方が必要となり、長きに渡って洗練され、思想として現在まで残っている。 この様な歴史をキングダムというマンガの1シーンを組み合わせながら解りやすく解説していくのが本書の狙いの一つであり、読者にとって山川出版の難しい教科書を読むよりは遥かに頭に入ってくる(私は山川教科書に育てられ、未だ山川を崇拝する1人ではあるが)。マンガよりは専門的に教科書よりも手軽に学べる点で非常に優れた本である。続きを読む
投稿日:2023.12.15
るゐ
キングダムが好きなので読んでみました。「『キングダム』に流れる地下水脈」という表現のとおり、この本では政の代に至るまでの秦がしっかりと説明されています。なぜ秦が中華統一を目指し実現できたのか、他の6国…がそれをできなかったのかがよく分かりました。 秦を一方的に評価するスタンスではなく、滅びた他国の事情にも触れ、また秦が短命に終わり続く漢王朝が長期存続した理由も説明しているのが良かったです。 キングダムを読んでいて、「合従軍とか無能すぎない?」「秦の主人公(国)補正に納得できない」と思う人にぜひ読んでほしいです。 なお、ポッドキャスト「コテンラジオ」のキングダム回と諸葛孔明回もあわせて聴くと、より理解が深まるのでおすすめです。続きを読む
投稿日:2023.05.11
ドラソル
秦の始皇帝とその周辺の歴史について分析した一冊。 『キングダム』はあまり関係ないものの、登場人物の実像について知ることができた。
投稿日:2022.07.17
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