【感想】Xと云う患者 龍之介幻想

デイヴィッド・ピース, 黒原敏行 / 文春e-Books
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
4
5
2
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • かんすけ

    かんすけ

    小説、久しぶりに読みました。

    購入します、面白かった、また読みたい(あっ、借りた本なので)。
    芥川龍之介作品で1番好きなのは、「白」。

    投稿日:2023.12.23

  • 蓮子

    蓮子

    芥川龍之介の作品とその人の生涯を織り交ぜた12編の物語。芥川龍之介の作品が持つ精緻で端正な美しさ、彼の言葉遣いをそのままに、デイヴィッド・ピースの音楽的な文章へと練り上げてるのは素晴らしい。全く新しい芥川龍之介文学と言っても差し支えないだろう。作中には夏目漱石、久米正雄、斎藤茂吉、川端康成、内田百閒なども登場。作品ひとつひとつが迷宮的な幻想性に包まれており、幻惑される。芥川龍之介が好きな人はきっと好きだろうし、それ程彼の著作を読んだことがない人は本書を読むと芥川文学を読みたくなること請け合い。とても素晴らしい本でした。続きを読む

    投稿日:2023.01.16

  • solala06

    solala06

    芥川ってほんとに病んでるのが滲み出てる文章書いてたんだよな…
    病んでる文章っていうか、病んでるのが伝わってくる文章…

    投稿日:2022.11.30

  • がと

    がと

    芥川龍之介が書いた作品と伝記的エピソードをコラージュし、この世という地獄を彷徨う作家の姿を描いた〈芥川版ドグラ・マグラ〉のような幻想怪奇小説。


    日本在住のイギリス人作家が英訳された芥川作品を使って書いた小説の邦訳、というひねった成り立ちで、発売当時から気になっていた一冊。とにかく黒原敏行の訳文が格好良すぎる! この小説は芥川をそのまま引用してるところも多いけど、だからこそ芥川とピースの文体をつなぐ役割を見事に果たしている訳文に痺れずにいられない。
    そしてやはり語りの声こそ、この小説の肝だ。芥川の文章を切り貼りしたコラージュが、いつのまにか呪詛のような、読経のようなグルーヴを持つピースの声に変わったかと思えば、また芥川に戻っている。描きだされるのは芥川が幻視したのかもしれない地獄の世界。そこは、幽界と二重写しになったこの世そのものなのだ。
    物語は、「蜘蛛の糸」のカンダタを芥川に入れ替えた「糸の後、糸の前」から始まる。蜘蛛の糸を離した芥川は地獄へ戻り、次の章「地獄変の屏風」では、虚も実も取り混ぜた芥川の前半生が語られていく。ということは、これも地獄の続きなのか? 以降の章は一応時系列どおりに芥川の生涯をなぞっていくが、常に死と滅びの予感が満ち、幽霊はすぐ触れられるところにいる。いや、これはむしろ幽霊の芥川がふらふらと現世を彷徨いながらみている半透明な夢なのかもしれない。だから読んでいて『ドグラ・マグラ』を、胎児がみている夢を書いたあの小説の面影を感じるのだ。
    芥川だけでなく、ポーのモチーフも繰り返し現れる。特に名前がでてくるわけではないが、私の頭には『大鴉』のイメージが何度も浮かんできた("ネーモー"にも通じている気がする)。もちろん、漱石をはじめとして、菊池寛、斎藤茂吉、内田百閒ほか明治大正の有名人たちも登場。芥川の創作キャラクターも現実世界に侵食し、ドッペルゲンガーを演じる。
    オブセッションに駆られたような"騙り"の呪力が漲る「地獄変の屏風」、漱石のロンドン留学時代とジャック・ザ・リッパーを絡めた「切り裂きジャックの寝室」、〈芥川のキリスト教〉を描いた「黄いろい基督」「悪魔祓い師たち」は特に好きだった。
    2年前に初めて芥川作品にしっかりと向き合ったにわかの私には、下敷きになっている作品のうち本当に有名どころのものしかまだわからないが、だからこそ芥川の魔力とピースの魔力のミクスチャーに幻惑され、その暗黒世界にどっぷりと酔い痴れる体験ができたと思う。好き嫌いだけで言ったら、今年読んだなかでは一番好きな小説だ。こんなふうに私好みの地獄に出会いたくて、私は小説を読んでいるのだ。
    続きを読む

    投稿日:2022.06.20

  • MURAKMISYUGISYA

    MURAKMISYUGISYA

     このおじさんにはまってしまった。沼だなあ!3部作では1の『TOKYO YEAR ZERO』が好き。読者にプレッシャーをかけてくる。
     しかし、宇野浩二は一時精神に異常をきたしたが、復活し70歳まで生きた。
     龍之介は痛く心配してたが、宇野が入院中に自殺したんだ。35歳。
     宇野浩二の後の活躍を知ったらなんと云うだろうね。
     なんともいいがたい作品だったなあ。俺は好きだ。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.10

  • aban

    aban

    このレビューはネタバレを含みます

    これは凄い。芥川を愛する著者の二次創作的な作品集かと思っていたけれど、それだけではない。さらに芥川の生涯を追い、死に至るまでを描いていく。
    この描き方が半端ではない。その時代、その場所で見てきたのではないかという位リアルでありながら美しく幻想的。
    「本当にこうだったのではないか」と思わされてしまう。
    彼が魂を擦り減らしながら小説を書いていくのを身をもって感じ、特に終盤、こころを病んでからは剥き出しになった神経を持て余して苦しむ感覚が身に迫ってきて、乾いた筆致でありながら辛くて堪らず、死によって解放される感覚までも追体験してしまった気がした。
    断片的に知っていた彼の人生をここまで見事に、彼の小説や彼を取り巻くものを使って描く技は圧巻。とてもきつい読書体験だったけどこういうのが読みたかった、これからモチーフとして使われた作品をまた少しずつ読んでいきたい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.08.22

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。