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横溝正史 / 角川文庫 (9件のレビュー)
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おびのり
文豪きょうは何の日?横溝正史の亡くなった日。 鬼気迫る美少年「真珠郎」の悲しき出生の秘密。 由利麟太郎シリーズ。 だったけど、登場は後半のみ。 序詩 真珠郎はどこにいる。から始まる怪奇ミステリー。こ…の一文が、物語を総括しています。 友人に誘われた旅先で、遭遇した殺人事件。その猟奇的な手法。怪しげな老婆達の登場。 読んでいたつもりでしたが、初読でした。 美少年真珠郎は、その媚態を見せない。 彼は、何処に隠れているのか。 この装丁の絵は、ネタバレになるのでは? 孔雀屏風 六曲一双からなる屏風。半分に裂かれたまま。 屏風とともに引き裂かれた恋。 出兵士の夢ある想いと共に 裂かれた屏風が呼び合い、過去の恋が成就する。 と思うのです。続きを読む
投稿日:2023.12.28
ohanamama
表題作は、ちょっと怪奇的な感じなのか? と思いきや探偵由利徹が出てきてきっちり解明してくれた。 由利徹は金田一耕助とタイプが違ってスタイリッシュな感じ。 もう一編はファンタジックな感じを受けた。
投稿日:2023.09.30
レモン
殺人鬼になるべく育てられた美青年の物語。金田一シリーズより読みやすかった気がした。途中でそういえば由利麟太郎シリーズだったかと思い出すほど、由利先生は中盤以降に登場し今回影も薄い。以前も『夜歩く』だ…ったかで、死体の首を切り落とすことの意味を説いていたので真相には見当がつくが、湖畔の洞窟シーンなど恐ろしい雰囲気は迫力満点。 同時収録の『孔雀屏風』は横溝正史のイメージと全く違う時代を超えた恋愛ロマンスといった様相で、意外だが素敵だった。 読了後にじっくり眺めると、表紙でちゃんとネタバレしていた。続きを読む
投稿日:2022.09.19
アリサカユキ
まず文章がとてもうまい。情景描写(怖いの含めて)、もそうだし、そして読みやすくどんどん進める。真珠郎、残忍な殺し方でホラーだったけど、最後に行くとその構成のまとまりのきれいさに驚いた。主人公、釣り込ま…れて……!続きを読む
投稿日:2022.01.07
nt
表題作は1936(昭和11)年から1937(昭和12)年に発表。 横溝正史を読むのは、実は初めてだ。横溝正史といえば金田一耕助探偵の『八つ墓村』などが続々と角川から映画化されたのが私の小中学生の頃…で、「八つ墓村のたたりじゃ〜」などと言うのが友人たちの間で流行った。そのくらいの世代の日本人の多くは、だから横溝正史の作品世界を知ってはいるのだが、実際に原作を読んだことのある人はそう多くはないのではないか。しかし、現在も書店には角川文庫の横溝正史が幾らか並んでいるから、今でも読んでいる人はいるのか。 本作は金田一耕助探偵の出てこない単発作品と思って買ったのだが、実は由利麟太郎という、横溝正史のもう一人の探偵シリーズに属する作品だった。 極めておどろおどろしい、怪奇幻想趣味に満ちた小説だ。エドガー・ポーの『アッシャー家の崩壊』の構成法と同じような手法で書かれており、もちろん横溝正史は江戸川乱歩と同様にポーを耽読しただろう。と同時に、ムカシの紙芝居ような、ケレン味に満ちた庶民的な物語の系譜にも連なっているように思える。たぶんこの大衆文化(サブカル?)は江戸時代から始まっている。泉鏡花も最初期、1890年代あたりにはこの路線の探偵小説を多く書いている。ちなみにポーの和訳は1887(明治20)年以降のようだ。 非常に不気味な本作は、怪奇小説であると同時に推理小説でもあるが、この時代の探偵小説の多くがそうであるように、いささか現実離れした事件推移、トリックに満ちている。だから現代の読者はこれを読んで鼻白むだろうか。しかしそれは、単に時代の様式の相違というものだ。数年前にみんなが着ていた服装が今はダサいと烙印を押されるようなものだ。現在はもっと「現実っぽい」書き方が要求されるが、しかし映画などを見ると陰謀論的な設定がメインストリームを形成しており、虚構の位相がちょっとずれただけのようにも考えられる。たぶんこのようなフィクション世界における虚構性の変化は、時代の文化的変容と軌を一にしている。 とりあえず「鼻白む」のをおあずけにして読めば、本作は十分に楽しめる内容だ。登場人物の欲望(恋愛要素)も絡んで心的表象が幻想的に揺らいでゆくのも優れている。 私は人々が何に恐怖し、何を欲望したかということに興味があるので、白黒の怪奇映画などもよく観る。だからこの作品も大いに楽しんだ。何よりも、ポー的な構成法のほとんど完全な体現という点で、一つの優れたモデルとして、私は本作を高く評価する。続きを読む
投稿日:2021.08.19
深川夏眠
(短めの)長編「真珠郎」(1936~1937年)と 短編「孔雀屏風」(1940年)の二編を収録した文庫の 改版(2019年5月)を購入、読了。 旧版で2~3度読んだが、もう一度。 2020年にドラマ『…探偵・由利麟太郎』がツボッて 関連本を買うついでに入手し、積んでおいたもの。 「真珠郎」は《由利麟太郎》シリーズに属するが、 由利先生は後半まで登場しないし、 相棒・三津木俊助も出て来ない。 しかし、ムズムズするくらい好き過ぎるので、 グダグダ感さえも許せちゃう(笑)。 同じ大学に勤務するが分野も違い、 さして親しくはない乙骨三四郎から声を掛けられ、 避暑地で共に夏を過ごすことになった椎名耕助。 二人は長野県N湖畔の、 かつては遊郭で春興楼と呼ばれた鵜藤邸に投宿し、 主の姪である美女・由美の世話を受けるうち、 蔵に何者かが軟禁されているのではないかと察し……。 聡明で穏やかな大学講師が 猟奇的な事件の目撃者になってしまう。 実直かつ一途である故に、 明晰な頭脳を持ちながら犯人の目眩ましに翻弄される悲劇。 謎めく美貌の殺人鬼のイメージと、それを憎みつつ、 どこか憧れに近い気持ちで見つめてしまう、 ごく普通のいい人――というコントラストがかなりツボ ……って、旧レビューと同じ文言しか出てこない(汗)。 だが、構わない(笑)。 多分これから先も折に触れて読み返す(キリッ)。 おまけの「孔雀屏風」は 戦場から届いた従弟の手紙が発端の、 二つに裂かれた屏風を巡る奇譚。続きを読む
投稿日:2021.01.15
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