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平岡聡 / 角川選書 (1件のレビュー)
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キじばと。。
インド、中国、日本の三国における浄土思想の展開を概観している本です。日本にかんしては、大きな発展の見られない近世は省略される一方で、近代における動向についても簡単にではあるものの説明がなされています。… もちろん浄土思想を紹介することが本書のねらいですが、大乗仏教の成立や日本における仏教の受容についても一通りの説明がなされており、仏教についてなにも知らない読者が、とりあえず浄土思想にかんする全体像を把握することができるように書かれています。おおむね仏教学の研究者らしい客観的な解説とみなすことができますが、「はじめに」で著者が述べているように、法然によって理解された浄土教の「選択」の思想が、大きなターニング・ポイントになっているという見かたが採用されています。 またその一方で、現代を生きる人びとにとって、浄土思想や仏教そのものがいったいどのような意義をもっているのかという問いに対する、著者自身の考えも盛り込まれています。そして、曾我量深や金子大栄らが「異安心」を弾劾されたのに対して、現代の宗門からは「異安心」が問題にならない現状は、宗門の伝統に挑戦するようなあらたな思想的立場が生まれていないということではないかという問いを提出し、現代における浄土思想の停滞を打ち破るような、浄土思想およぶ仏教の活性化が実現されることへの期待を語っています。続きを読む
投稿日:2024.03.18
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