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高殿円, 白浜鴎 / 角川ebook (55件のレビュー)
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総合評価:
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史織
1番好きな小説のひとつです。どれから読んでも話はわかります。個人的は、他の方もあげられた2番目のプリンセスクタニの話が好きです。 江戸時代の前田藩のお姫さまが江戸に嫁いできての話→これは後でwiki…を読んで知ったのですがかなり史実が入っているのですね。てんさいの君(てんさい糖=甘い)と呼ばれた夫との関係や、江戸時代の奥の女性に求められた役割など… 明治大正の小松藩のお姫さまが2話目の主人公です。 パリ生まれで、生まれの小松藩には足を踏み入れたことのない万里子が、九谷焼を万博に売り込んでいく現代のお仕事小説のようなストーリーです。 ちなみに、私はこの話を読んでからどうしても九谷焼が欲しくなりそれなりに高価なものでしたが、金沢にいき購入しました。笑 3話目は昭和の没落華族令嬢が主人公です。 高殿円さんも2話目が創造ならば3話目が破壊だと表現していましたが、2話目の前向きな明るい話とは打って変わって退廃的な、耽美的な雰囲気の漂うストーリーです。 家も失い新宿の劇場で歌手としてレビューに立つ花音子、段々と迫ってくる戦争の影響。 花音子がステージで客の投げ入れた生の薔薇を踏み潰すシーンが、大好きです。 3話目がはまった方にはぜひ高殿円さんのグランドシャトー(戦後の大阪キャバレーのお話)もすすめたいですね。 またハードカバー版の3主人公の表紙のデザインも美しいです。続きを読む
投稿日:2024.02.10
あやこ
江戸から平成、それぞれの時代の移り変わりの中で人生を翻弄された3人の女性の物語。 その中心にあったのは、かつて藩主であったという家柄。ある者はそれを守り、ある者はそこから飛び立ち、ある者はその呪縛から…逃れる、そのために生き抜いた。 普段家柄なんてもう気にせずに生きるようになっている今、時代錯誤に感じるかもと思ったけどそんなことなく、その時代時代を生き生きと生きる彼女たちの人生が愛おしかった。 最後まで象徴のように顔を出す九谷の皿がとてもよかった。 駿河屋よりも甘いのは 加賀の落雁 九谷のとのさま続きを読む
投稿日:2023.08.15
ゆいこ
おもしろかった。 脈々と受け継がれていくものと、変化していくもの。 それぞれの時代ごとに、それぞれの生き方がありその人の人生がある。 現代から見れば古臭い習慣やしきたりだったり、風習だったりしても…、そこに誇りを持っていたり生きる拠り所としていた人もいるわけで。 価値観は人それぞれだから、たとえ理解はできなくても否定はしたくないと思った。続きを読む
投稿日:2023.02.13
emsorange
江戸末期・明治大正・昭和、百二十年の間に女性の生き方はこう変わった! 金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略) 早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで…、 大名の子の結婚はすべて政略結婚、 祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。 私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。――第一章「てんさいの君」より 不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。 聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン! ――― 加賀藩主前田斉広(なりなが)の三女・勇(いさ)は、生後半年で加賀大聖寺藩主前田利之(としこれ)の次男・利極(としなか)のもとに嫁ぐことが決まっていた。やがて生まれ育った金沢を離れ江戸へと嫁いだ勇は、広大な屋敷のなかの複雑な人間関係や新しいしきたりに戸惑いながらも順応し、大聖寺藩になくてはならない人物になっていく。だが、石高十万石を誇る大聖寺藩の内実は苦しかった。その財政を改善させるような産業が必要と考えた利極と勇が注目したのは――(「第一章 てんさいの君」)。 加賀藩の分家・小松藩の子孫である万里子。パリで生まれ、ロンドンで育った彼女は、明治41年帰国し、頑なな日本の伝統文化にカルチャーショックを受ける。やがて家とも深い縁のある九谷焼をアメリカで売る輸出業に携わることとなり、徐々に職業夫人への展望をいだくが、万里子の上に日本伝統のお家の問題が重くのしかかる。日本で始めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオンガールになった女性は、文明開化をどう生きるのか――(「第二章 プリンセス・クタニ」)。 貴族院議員・深草也親を祖父に持つ花音子は、瀟洒豪壮な洋館に生まれ育ち、何不自由なく暮らした。だが、花音子が幼稚園に上がるちょうどその頃、昭和恐慌によって生活は激変。すべてを失った花音子と母・衣子は、新宿の劇場・ラヴィアンローズ武蔵野座に辿り着く。学習院に通いながら身分を隠して舞台に立つ花音子は一躍スターダムにのし上がるが――(「第三章 華族女優」)。続きを読む
投稿日:2022.08.11
minako2009
表紙が可愛くて気になってた本でした。 それぞれの時代を精一杯生きた女性の話です。 流されるように生きているけれどその中で自分にできることをしていて素敵。
投稿日:2022.06.06
柳。
このレビューはネタバレを含みます
ブクログさんの献本でいただきました、ありがとうございます~! 加賀藩前田家の勇が加賀大聖寺藩主に嫁ぐところからスタートし、江戸、明治、大正と繋がっていく女性たち三人のお話です。 お家のために好きでもない男性のところに嫁ぐ悲喜こもごもが描かれたお話かと思いきや、描かれているのは女性であるが故の不自由さとか、大名家や華族の家に生まれ落ちたが故の伝統やしがらみ。 大名家にとってお家を断絶させないことがどれほど大切か、主人公たちの実体験もふくめてきちんと書かれているので、まあ、不自由なのも子供産むために存在しているみたいな扱いになるのも仕方ないのか、とは思いつつも、昔の女性たちが本当に本当に不自由で息苦しくなってしまう。 好きでもない人に嫁いで、子供を産めなければ家に居場所がなくて、どうにか産めたとしても病気ですぐ死ぬ。旦那が死ねばその後自由に再婚とはもちろんいかず、髪剃り落としてお家のために奔走しなくてはならぬ。 勇という女性は旦那さんがてんさいみたいに甘くて優しかったから、恵まれてたんだなあとは思うんだけど、やっぱり何でこんな扱い受けなきゃいけないんだよ、と思ってしまうんだよなあ。 第2話は1話の女性は結婚してこそ自由になれる、という流れを踏襲しつつ、家柄の良い男性との縁談が進むので、ああ、ここでも女性は不自由なのか、と思っていたら、これまで家が大切にしてきた伝統は大切にする、という姿勢を保ったままちゃんと好きな男の人と結婚しよったので、とても爽快でした。 好きな人と結婚する、でも、今まで先祖の人たちが連綿と繋いできた伝統はないがしろにしない、という姿勢がとても良かった。 最後に、浮雲のように自由な人、と例えていた人と、お釈迦様の手の中にいる孫悟空、と例えていた自分が結婚できた時に、「筋斗雲を手に入れたよう」って言ってたのは世界がぱーーーっと広がっていくみたいですごく良かったな~~~ 第3話は、劇場の支配人さんが年端もいかない主人公に、人の気持ちがこめられたバラを踏みつける快感を覚えさせるシーンで「お前、まだ年端もいかない子の性癖をこんなにしちまって……」という印象が強い……。 花音子は最後まで結婚せず、華族という身分からも解放されて物語が終わります。 1,2話が血縁の話だったせいか、3話はちょっと繋がりが弱い印象。九谷焼もあんま出てこないし。 でも前編通して女性がしなやかに活き活きと描かれていたのがとても良かったです。 他の作品も読んでみたいな~。
投稿日:2022.01.30
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