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斑鳩サハラ, 石原理 / 花丸文庫 (1件のレビュー)
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彩波(いろは)
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その美貌とクール過ぎる性格から「アイスドール」と呼ばれる私立稜嵐学園2年の高宮樹。一方、高宮と小学校からの友人である土岐恭一は、付き合った人間の数は、数知れず、男女問わずの遊び人で、高宮の目の前で告白した下級生の男子生徒とつき合い始めたばかり。 そんな土岐の様子に、冷静を装っている高宮だが、クラスメイトの右近将治に土岐への執着を指摘され、動揺を隠せない。そんな中、右近に想いを打ち明けられ、キスされた高宮は……!? 実は、高宮の中には母親に愛されず、虐待されて育ったという生い立ちがあって、なかなか自分が「他人に愛される」ということを理解できずに、受け入れられずにいるという気持ちがあったから、自分が「他人を愛する」という気持ちに蓋をしてしまっていたんですよね。 そういう、トラウマを抱えた主人公の話は結構好きです。 で、高宮は右近に指摘されたことで段々と自分の気持ちがわかってくるんですが、今度は自分は「愛されない」と思っているから、土岐を突き放してしまう。そして、二人はお互いを避け始めるんですが、高宮が酔って夢だと勘違いして、土岐に告白したことから、二人の関係は変わり始める……という感じでした。 結局、高宮が母の本当の気持ちを知って、人を愛することを、愛されることを信じられるようになる……というので、ハッピーエンドになるんですが、それが母親が自分への愛情を書いた日記を見つけたから……という、あまりにもご都合主義的展開でちょっと萎えました。 別に愛してくれたからって暴力を振った事実がなくなるわけではないし、それで全てがチャラになるわけではないと思うんだ。人間の言葉ほど上辺だけのものはないんだよ……と、言いたくなります。 こういうオチでなければ、高宮の切ない想いが丁寧に書かれていたので、もう一段階評価を上げるつもりだったんですが、ラストが納得いきませんでした。 途中、土岐は本当は、高宮に避けられるようになり始めてから、夏休み中高宮を監禁しようと思ってたようなんですが、個人的にはそっちルートでドロドロになってしまうのも見たかったかなぁ……と、思います。
投稿日:2011.10.11
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