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呉座勇一 / 角川新書 (50件のレビュー)
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ピッピ
日本史の中世時代といえば戦国時代の信長や秀吉などにスポットが当たりがちでその他はよく知らず、それ故にあまり興味も持てない私でしたが、一昨年の大河ドラマの“鎌倉殿や個人的な調べ物から「観応の擾乱」などに…行き当たり、この時代の目まぐるしい展開に底知れぬ物を感じたのでした。 ですから、王族に貴族と武士が入り乱れ覇者を争う時代の流れにおいて、「応仁の乱」を上梓した作者には陰謀というテーマは、無視できないテーマだったようです。 作者が言うように事件の裏に陰謀論が必ずと言っていいほど渦巻いています。(最近では大谷くんの元通訳の銀行詐欺問題でも!) かの有名な本能寺の変などでも陰謀論があり、それらに飛びつく輩も多いという状況の中、歴史学者はまともに取り上げず検証も当然なし。それ故にトンデモ説が大手を振ってまかり通っている現状に“釘を差したい”という歴史学者としての作者の矜持が見受けられます。 歴史小説や以前の歴史書から悪いイメージのある足利尊氏や日野富子などは歴史資料を読み解くと実際はどんな人物だったのか。様々な争乱はどんな背景、経緯があったのか、作者の丁寧な検証から答えが導かれます。 「結果から逆行して原因を引き出す」 「最終的な勝者が全てを予測して状況をコントロールしていたと考えるのは陰謀論の特徴」… 各章で有名な陰謀場面を挙げ、太字で強調し陰謀論のテクニックを明かしていきます。 これを読むと、確かに私たちにはわかり易く面白い陰謀論を鵜呑みにしてしまう前に、待てよ!と胸に手を当てる賢さが求められます。続きを読む
投稿日:2024.04.28
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
NDC分類 210.4 「ベストセラー『応仁の乱』の著者、構想三年の書き下ろし! 本能寺の変に黒幕あり? 関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者? 俗説、一蹴!『応仁の乱』の著者が史上有名な“陰謀”…をたどりつつ、“陰謀論”を徹底論破する。 史実とフィクションは明瞭に違う! ◆本能寺の変に黒幕あり?→いない。光秀をバカにしすぎ ◆関ヶ原は家康の陰謀? →違う。家康も追い詰められていた ◆義経は陰謀の犠牲者? →誤り。義経の権力は砂上の楼閣だった 他、 ■足利尊氏=陰謀家説は疑わしい ■後醍醐天皇は黒幕ではなく被害者だった!? ■富子はスケープゴートにされた ■騙されやすかった信長 ■「三成が家康の伏見屋敷に逃げ込んだ」は俗説 ■「小山評定」は架空の会議 「事実」はドラマや小説より面白い。陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破!!トンデモ説やフェイクニュースが溢れる世の中で騙されないために。陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!」 本能寺の変に黒幕あり?関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者?ベストセラー『応仁の乱』の著者が、史上有名な陰謀をたどりつつ、陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破。さらに陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!! 目次 第1章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた 第2章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす 第3章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった 第4章 足利尊氏は陰謀家か 第5章 日野富子は悪女か 第6章 本能寺の変に黒幕はいたか 第7章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか 終章 陰謀論はなぜ人気があるのか?続きを読む
投稿日:2024.01.20
seinimentai
保元平治の乱、源平合戦、鎌倉幕府の権力闘争、足利尊氏の幕府設立、応仁の乱、本能寺の変、関ヶ原合戦の7つについて、最新の歴史研究をもとに俗説を打破する一冊。 必ずしも陰謀論の法則性が導けているとは言え…ないが、安易にわかりやすい結論に飛びつくのを戒める意味はあるだろう。続きを読む
投稿日:2024.01.08
mimizuku0125
全ての歴史愛好家にお薦めしたい一冊。 タイトルからすると一見、日本中世が陰謀に満ち、それを紹介する一冊のように思えるが、逆に、著者は、日本中世史における数々の陰謀・トンデモ説を、歴史学の手法に則って分…析し、痛快に切り捨てていく。 中世史だけでなく、検証もされない陰謀論が氾濫する現代に警鐘をならす一冊。 終章「陰謀論はなぜ人気があるのか?」では、「田母神論文」「藤原正彦」「渡辺昇一」も俎上にあがる。続きを読む
投稿日:2023.12.15
hiromiyanase
中性から江戸前まで、様々な論を紹介しつ歴史を概観してくれます。 初学者にとっても、大きなトピックに触れつつも 様々な考え(陰謀論もあるのだろうけど)に触れることができるし、 いわゆるスタンダードや通説…というものも知ることが出来て、一挙両得の本でした。続きを読む
投稿日:2023.10.10
honmusubi
保元の乱から関ヶ原までの日本史における陰謀とされる事件についての様々な説を取り上げ自論を展開している。 かつて史実として学んだことが、今では偽説となっていたり、過去の史料の読み解き方で変わってくるこ…とがよくわかった。史料は書いた本人の目線で書かれているため、真実を語っているとは限らない。何を証拠として採用するかの難しさも感じた。 陰謀説の傾向として、 「事件によって最大の利益を得た者が真犯人である」(結果から逆行して原因を引き出す) 「加害側と被害者側との立場が実際には逆」だったりするという。 確かに、結果を既に知ってい後世の人間から見ると利益を得た者が全てを見通して行動していたかのように思ってしまう傾向にあり、たまたま偶然、当人にいい方に転んだ出来事も、きっと仕組まれていたに違いないと考えがちである。 歴史に詳しい者でなくても、その出来事についての通説を述べてから諸説を説明しているので、話の展開は分かるが、人間関係を思い返しながら読むので時間がかかった。 諸説を紹介し、その証拠とされる資料の信憑性や、陰謀説を唱える者の論理の飛躍を丁寧に突いており、歴史に詳しい人にとっては、痛快に感じるのではないかと感じた。続きを読む
投稿日:2023.08.24
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