【感想】特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

カズオ イシグロ, 土屋 政雄 / 早川書房
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • keiko

    keiko

    ノーベル文学賞をとってからもう6年か。もともとノーベル賞に興味はなかったけれど、当時、カズオイシグロの受賞を聞いたときはびっくりした。
    彼の作品は全部読んでいて、好きな作家の一人だったから。

    映画『日の名残り』を観たのがきっかけで、カズオイシグロを知り、原作を読んだ。
    そしていつものように、好きな作家の作品は出版された順番に読んでいきたいと思い、『遠い山なみの光』から順に読んでいった。
    読めば読むほどはまっていく。

    ノーベル文学賞受賞記念講演を収録した本作は、スピーチであるせいかとても読みやすい。でもぎゅっと大切なことが詰まっている。
    『日の名残り』のくだりでは、まさに私が一番好きな部分について書かれていて、本を通して作家とつながった気がしてわくわくした(カズオイシグロさんに届いてますよーと伝えたい)。

    本の存在の大切さ(というかなんというか)をあらためてかみしめた。

    ということで、次は『日の名残り ノーベル賞記念版』を読もう。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.12

  • elephanta

    elephanta

    2017年ノーベル文学賞の受賞記念講演。
    今までの生活、文章を書き始めた時のこと、ターニングポイントや自分にとっての物語とはなどが、わかりやすい英語(日本語訳も)で表されている。
    左ページに英文、右ページに日本語訳が掲載されているので、英文を読みながら日本語も確認できてとても読みやすかった。続きを読む

    投稿日:2021.10.27

  • ひーら

    ひーら

    カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念講演の日本語訳。
    毎日新聞のウェブサイトで英語・日本語訳の両方とも読めるので少し迷ったが、やはり、手元に置いておこうかなと。
    生い立ち、何に気をつけて小説を書いているか、今の時代とこれからの未来について思うこと、丁寧に語られています。
    I'll have to carry on and do the best I can.
    左ページは英語、右ページは日本語。赤いハードカバーの小さな素敵な本でした。
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    投稿日:2021.06.04

  • kei1122

    kei1122

    このレビューはネタバレを含みます

    2017年12月7日ストックホルムでの
    スピーチを左ページに英語、右ページに翻訳
    を載せた本。

    1979年秋24歳から始まり、子供時代、
    自分の心の中の日本とそれを書くこと、
    プルーストや歌手などから作品に影響を受けたり、
    人間間の関係を書くことの大切さに
    気付いたり、現在の世界の状況を憂い、
    自分がその一助となれるか、若い作家への
    期待と希望、文学は多様になるべき、など
    が語られています。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.10.30

  • およよ

    およよ

    はじめて読んだカズオイシグロ。これで彼の作品を判断するなんてできないのですが、平坦でわかりやすい文章が意外だった。作品を読んでない分、この本への理解はかなり浅くなってしまうが、最後に書かれた、未来への普遍的かつ重要な願いを読んで、ノーベル文学賞を獲るような方の思想の本質はそこにあるのか! となかなかの発見があった。未来がもっと多様になること、そしてよりよく進歩すること。凡人の私でもその理想に突き進んでいきたいと強く思ったし、世界で評価される作品の本質はこうでなくちゃと勇気づけられた。ちゃんと彼の作品も読みます。続きを読む

    投稿日:2020.08.15

  • kuma0504

    kuma0504

    極めて明確に、簡潔に、美しく、イギリスの地で創作を開始した日本人の血を持つ作家が、半生を語った。ノーベル文学賞受賞記念講演。

    始まりの2冊は日本を舞台にした英語の文学だった。次は、きわめてイギリス的な話なのに、世界的な世界観を描いた。らしい。

    私はカズオ・イシグロの小説は読むまいとしてきた。人生は短く、読まなければならない本ははるかに多い。読み始めたならば、一冊だけで済むとは思えなかった。ただ、この小さな講演記録文章によって、世界基準とも言えるかもしれない文学を見渡す地図を貰った気がした。「遠い山なみの光」と「日の名残り」と「わたしを離さないで」を読んでもいいかもしれないと思い始めている。

    最後に一つの呼びかけをー僭越ながらノーベル賞受賞者からの呼びかけをーお許しください。この世界の全体を正すことは困難です。ならば、せめて本を読み、書き、出版し、推薦し、批判し、授賞しつづけられるよう、私たちの住むこの「文学」という小さな一角だけでも、維持発展させていきましょう。不確かな未来に私たちが何か意味ある役割を果たしていくつもりならー今日と明日の作家から、それぞれのベストを引き出そうと願うならー私たちはもっと多様にならなければなりません。(95p)

    「この世界」をどう見るのか、なぜ「全体を正すことは困難」なのか、「多様」とは何なのか、は此処に簡潔に語られている。
    続きを読む

    投稿日:2019.09.03

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