【感想】シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

森本あんり / NHK出版
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • koh

    koh

    面白かった!
    読みやすく学び多い、会社員的に嬉しいコンセプトの本です。
    ニュースで触れる米国の「極端さ」を、今後は一段深く観察できそう。

    投稿日:2023.12.31

  • yonogrit

    yonogrit

    814

    シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理 (NHK出版新書)
    by 森本 あんり
    それは、アメリカという国がさまざまな側面において、宗教という 鋳型 で作られているから

    なぜいまポピュリズムがアメリカを席巻している

    人びとは思い思いに書いたプラカードを掲げ、Dump Trump, Racist, Sexist, Anti-Gay!(人種差別・女性差別・同性愛差別のトランプを追い出せ!)と、調子を合わせてスローガンを叫んでいます。子どもも老人も、白人も黒人も、女性も男性も、家族連れも同性カップルも。歩道にいた人びとも「一緒に声を上げよう」と誘われて、次々に加わっていき、デモはどんどん膨らんでいきまし

    もともと知性は権力と結びつきやすい性質をもっています。そしていったん結びつくと、それは自己を再生産するようになる。つまり、知性は固定化し、固定化すると堕落するのです。  トマ・ピケティの『 21 世紀の資本』( Le Capital au XXIe siècle)が日本でも評判となりましたが、この本が突きつけた問題も同じです。金持ちは金持ちを再生産する。上流階級は良い教育を受けて、その子どももまた良い学校に入る。すると、彼らもまた良い仕事について、良い収入を手にする。逆にそうでない者は、いつまでもチャンスがなくて浮かび上がれない。  こういう階級の固定化に腹を立てているのが、現在のアメリカなの

    いつもそのたびに候補者から福音派の願いを 叶えてくれるかのようなリップサービスを受けながら、候補者が当選し、いざ政権を担当する段になると、ほとんど恩恵はなく、裏切られてばかりでした。  そんな彼らからすると、トランプは、確かに下品で乱暴ですが、心の内にあることと口から出てくる言葉が 甚だしく違っているということがない。それは政治家としてはまずいけれども、福音派から見ると、彼こそ「正直な人間だ」ということになるわけ

    もしアメリカがこれまで「偉大」だったとしたら、それは国内だけでなく世界中に正義や人権や民主主義を普及するといった目的理念を掲げていたからです。その姿勢は、いつも独善的ではた迷惑だったかもしれません。 高邁 な理念の下には、 怜悧 な国益の計算もまた 潜んでいたことでしょう。  しかしそれでも、こうした大義名分があってこそ、アメリカのパワーとヘゲモニー(覇権)は曲がりなりにも国際的な認証を受けてきたのです。アメリカを「偉大」にしてきたのは、経済力や軍事力だけではない。それによって何を達成しようとしているのか、という目的の正統性でし

    次章で詳しく考察するポピュリズムは、陰謀論と非常に相性がいい。アメリカは、ポピュリズム発祥の地でもあり

    ポピュリズムのもつ熱情は、本質的には宗教的な熱情と同根

    政治とは本来、妥協と調整の世界です。一方的な善の体現者もいなければ、一方的な悪の体現者もいませ

    だからポピュリストの発言は、妥協を許さない「あれかこれか」の原理主義へと転化しやすいのです。   市井 の人びともこれを歓迎します。善悪二元論的な世界理解は、日頃抱いている不満や怒りを、たとえ争点とは事実上無関係であっても、そこに集約させてぶつけることができるから

    つまり多数者といっても、全体ではなくあくまでも部分にすぎないのです。そして統治者もまた、全国民の代弁者ではありません。  部分が全体を僭称するとき、正統性は内側から 蝕まれてしまいます。そしてこの構図は、宗教において正統から異端が生ずるプロセスとまったく同じです。このことは終章でくわしくお話ししましょ

    アメリカは、過去も現在も、一貫して「アメリカ・ファースト」だし、日本も一貫して「日本ファースト」です。たとえ他国への恩恵を強調して見せるとしても、その裏にはしたたかな国益の計算があり

    一般に、「正統」というと、折目正しくきちんとしていて厳格なイメージですが、歴史をふりかえると、じつは正統はいい加減で大雑把です。逆に、異端となるのは、知的にもすぐれており、道徳的にも立派な人びとばかりです。  第2章で説明した「チャーチ」と「セクト」の区別を思い出してください。正統は「チャーチ」です。いわば、誰でも入れる寛容で大きなテニス部のようなものです。それに対して、異端は「セクト」です。入会資格も厳しく、明確な目的をもった精鋭部隊です。正統は言うならばデフォルト(初期値)で、異端はそれに対するアンチテーゼ

    その先にあるのは、理念や目的を欠いた場当たり的なポピュリズムの支配です。会社で言えば、利益だけしか追求しないマネジメントということになるでしょ

    人は、金儲けのためだけに働いているのではありません。自分が社会の役に立っている。尊敬される意義のある仕事をしている。そういう意識をもっている人は、志気も高く熱心に働くことができ、結局は会社全体の評価も
    続きを読む

    投稿日:2023.07.21

  • 山登りたい

    山登りたい

    米国だけが 異質な理由。宗教史の観点からの解説。
    現世での成功を持て囃し それを軸に国家を作ってきたこと、 その裏には繰り返される平等主義からの権威への挑戦がある。それが反権威主義となって繰り返される
    ひとつの軸
    続きを読む

    投稿日:2021.04.30

  • chiro

    chiro

    宗教と社会の一般的関係を考えたくて、手に取りました(日常的に思考の基本的枠組みを提供している、ということなのかなと思いました)。土着化したキリスト教という所が面白かったです。アメリカについて、少し変わった視点から眺めることができました。続きを読む

    投稿日:2020.12.31

  • shokuzaisetto

    shokuzaisetto

    『反知性主義』と『異端の時代』のエッセンスを凝縮した講義録。ポピュリズムの視点からみたトランプ、オバマ、サンダーズの共通性など、挙げられている事例も興味を惹く。森本氏の議論に関心のある人は、まずはこの本から手に取るのがよいと思う。続きを読む

    投稿日:2020.12.23

  • mamiko0324

    mamiko0324

    アメリカを知るためには、アメリカ人の宗教観への理解を深めることが不可欠だと思う。
    その意味で、この本はアメリカという国の本質を理解する上で、とても興味深い本だった。
    アメリカの反知性主義を知ると、ヒラリーがトランプに負けたことにも合点がいくし、今年の選挙で民主党が勝つことも懐疑的になる。続きを読む

    投稿日:2020.02.15

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