【感想】ブレグジット秘録~英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで~

クレイグ・オリヴァー, 江口泰子 / 光文社
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • せるげい

    せるげい

    キャメロン首相の身近でブレグジットの一部始終を見ていた人物の回顧録。
    当たり前だが、離脱派に対して否定的で残留派に不都合なことは書かれていないと思われる。
    それを割り引いたとしても、とても赤裸々な内容で臨場感溢れ、面白い。続きを読む

    投稿日:2024.03.20

  • Mkengar

    Mkengar

    ブレグジット関係の本、日本人が書いているものもありますが、やはり英国人、しかもキャメロン首相の側近が書いた本と言うことで、本書を手に取りましたが期待以上に面白かったです。著者がキャメロン側の人間というバイアスはありながらも、登場人物のキャラクター描写など非常に興味深く読みました。シェークスピアが生きていたら絶対戯曲化していたと思います(現代の誰かが劇にしてシェークスピア劇場でやってほしいです)。現首相のテリーザ・メイがいかに狡猾で国民投票前は表舞台にほとんど出ないという作戦をとっていたことや、ボリス・ジョンソンという道化師の存在、そして本書の中では真の悪役としてのマイケル・ゴーブがいます。またキャメロン首相ですが、本書を読む限りでは政治家としては純粋すぎるというか理想主義者的に見えました。これは著者の意図的な書き方なのかもしれませんが、マキャベリスティツクな要素が全くない政治家のように見えてしまい、それは敗北するよな、という印象も受けました。

    本書で興味深かったのはメディア、特にBBCの対応です。著者が批判しているように、BBCは「公平性の原則」に間違った意味で拘束されてしまっていました。離脱キャンペーンが明らかな嘘情報を流しているにもかかわらず、その嘘を指摘せず放送してしまう、つまりフェイクニュースの拡散に寄与しているのです。裏返せば、離脱キャンペーン側が「公平性の原則」を逆手にとって嘘の情報を流しまくったということで、私はこの手法を全世界に示してしまったこと、しかも最終的に勝利を握ってしまったことこそが、”Unleashing Demons(悪魔を解き放つ)“ことだと思いました。極端なことを言えば、穏和な議論の中で国民投票が行われEU離脱派が勝ったとしても、それは悪魔を解き放ったことにはならない。むしろメディアを悪用し、民主主義を操作しようとする手法が世界中に知れ渡ったことこそが、その後のトランプ政権の誕生やフェイクニュースの拡散など世界的な現象に至ったのだと思います。

    本書は内容もさることながら翻訳も非常に良く、適時注釈も入れてくれているのでとても読みやすかったです。1つ注文をつけるとしたら最後の日本人ジャーナリストによる解説は不要です。せっかくオリヴァー氏の最後の締めの文章で十分余韻を楽しんでいるのに、無理矢理お口直しを食べさせられるようでしたので、私は意図的に読みませんでした。入れるなら本の最初にちょっとだけ背景情報を解説してもらうくらいで十分です。
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    投稿日:2023.04.30

  • aikow

    aikow

    このレビューはネタバレを含みます

    タイトルからして離脱派に対してまだまだ感情的。闘ってる当事者の書いた本だからメディアの反応に短絡的に一喜一憂している感はある。
    長すぎて本が重たかったが、政治家が失言したり、プライバシーを荒らされたり、開き直って有権者に私生活に干渉したことを気づかせたり、の細かい描写は価値があった。

    以下引用)
    そもそもこのような重要な問題をじっくり議論するために、庶民院議員が存在するのではないか

    さらに致命的だったのは、政治への関心を失い、幻滅し、2015年の総選挙では投票しなかった―おそらくもう何年も投票所へは足を運んでいない―300万人近い有権者は今回も投票しないはずだ、と私たちが勝手に決めつけていたことである。

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    投稿日:2018.12.05

  • shimu2

    shimu2

    [真に問われたものは]欧州だけでなく世界に衝撃を与えた2016年6月のEU離脱を問う英国での国民投票。その内幕を首相側近の立場から目にした人物が記す回顧録です。著者は,キャメロン政権の首相付政務広報官を務めたクレイグ・オリヴァー。訳者は,渡英を経て翻訳業に従事するようになった江口泰子。原題は,『Unleashing Demons: The Inside Story of Brexit』。

    目まぐるしく動いた国民投票の実情を知る上ではもちろんのこと,英国政府とメディアとの関係を理解するためには避けて通ることのできない作品。国民投票をめぐる残留派と離脱派のマスメディアにおける「空中戦」が生々しく記録されており,章を数えるごとに,こんなことがあったのかと驚きを覚える読書体験でした。

    〜……いちばん重要な点は,ある有権者が彼に吐露したこんな言葉だった。「EUのなかでは金持ちのほうかもしれんが,実際の英国は金持ちじゃない」〜

    非常にスリリングな作品☆5つ
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    投稿日:2018.01.15

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