【感想】兼業作家、八乙女累は充実している

夏海公司 / メディアワークス文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
1
0
3
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • isutabi

    isutabi

    ★舞踏会に呼ばれたらデスマッチでした!(p.240)
    ・結婚の準備に入っていたら相手に去られやけっぱちになっていたところで過去の夢、小説を書くことを始めてみた累さん。ただし、バリバリのキャリアウーマンである自分は捨てないまま。
    ・阿鼻叫喚の両立が始まる。無理難題を押しつけてくる会社の上司たち。そして、地獄の獄卒のような凶相の編集者、愛宕の次から次へのダメ出しとの板挟みにくじけそうになりつつも辛うじて踏みとどまりつづける累。はたしてデビュー作出版にたどり続けるのか?
    ・兼業作家の皆さんはすごいもんやなあといつも思ってます。いや、兼業だからこそすごいエネルギーが出てくるのかもしれませんね?

    ■簡単なメモ■
    【一行目】ファミレスにキメラがいる。

    【青葉策太郎/あおば・さくたろう】売れっ子作家。ミステリをベースにSF、ファンタジー要素が入りカテゴライズ困難。覆面作家で正体不明だが累は偶然出会いアドバイスをもらう。
    【愛宕信司/あたご・しんじ】神楽坂出版第二出版部。累の担当編集者。手足が長く精悍だが凶相。異端審問が始まるかのようなプレッシャーを与える。三十一歳らしい。
    【荒巻】ファイアウォールチーム髄一の石頭、ミスター・ルールブック。でもスタジオ・ミュージシャンのような副業を持っていてクビになる。ルールの方を変えさせようとしていたらしいが間に合わず露見。意外な協力者となる。
    【泉崎章子/いずみざき・しょうこ】神楽坂出版第二出版部カグラ文庫編集部シニア・エディター。要するに編集者かと。当初担当編集になるはずだったが急な異動で愛宕に変わった。
    【泉貴樹/いずみ・たかき】→タカキ
    【貝ヶ森/かいがもり】歴史小説作家。『影武者信玄』とか『真田群雄記』などを書いた。
    【会社】ここでは日本有数の通信会社JT&Wのこと。累が勤めている。
    【神楽坂出版】新宿区神楽坂付近にある。カグラ文庫大賞を主宰している。
    【キミ】広瀬君枝。会社の後輩でなついてくれている。
    【キリコの旅路】→ストロベリーフィールズ
    【黒松】本部長。
    【兼業作家】《舞踏会に呼ばれたらデスマッチでした!》p.240。森博嗣さんや海堂尊さんなど兼業作家は多いけどそういう人ほど多作だったりします。どうやって時間を捻出しているのでしょう。エッセイっぽいのに書いてたりはしますがそれでも想像しにくいです。たぶん兼業作家だからこそ作品創作へのエネルギーが強くなるものなのでしょう。ぼくならクビ覚悟で余計な仕事はしない(できない)社員となって自分の時間を作りそうやけど累さんも含めデキる人はそんなマネしないようです。
    【出版のレベル】愛宕《平たく言えば出版のレベルに達していないということだ》p.109。累はショックを受けているがよっぽどの人以外、新人の作品のほとんどがそんなもんだってことは、かつて文芸部に入っていてしかも作家を夢見たことのある人だったら知ってるような気はします。最初の頃はほとんど編集者が書いているんではないかというくらいのもんで自分の存在価値に疑問が生じるくらいだろうということは。
    【ストロベリーフィールズ】ビートルズの曲ではなく、累が第十四回カグラ文庫大賞審査員奨励賞を受賞した作品の題名。元は『キリコの旅路』という題名だったが愛宕の発案で出版時に変更。印象的な苺畑のシーンがあるのとビートルズの曲のモデルとなったのが孤児院で登場人物たちの境遇に合致する。以前バンバンのラジオ番組でストロベリー・フィールズ・フォーエバーのあらゆるバージョンを連続して聴いたことがあって刷り込まれて愛着がわいてしまいました。
    【タカキ】八乙女累が長年同棲して結婚の準備を進めていたら親の横槍で彼の腰が砕け別れることになった。小説を書こうと思ったきっかけではある。
    【楽しめ】《 楽しめ。/ 人生を、世界を、そして今この瞬間を。》p.272
    【できないって言うな】累のいる会社の合言葉のようなもの。作家としての累にとっても重要なワードではある。
    【富沢】課長。
    【ナミコ】高校時代からの友人。
    【広瀬君枝/ひろせ・きみえ】→キミ
    【プロット】累さんは応募作品を特にプロットも立てず書いて受賞したのだからけっこう凄い才能では? よっぽどその世界がよかったんやと思います。懸賞小説とかラノベとかでは絶対に必要なものでしょう。特に情報関係でバリバリに有能な営業員やし当然のように設計図作りそうなもんやけど。ターゲットの設定とあわせて。小説ならマインドマップとか、岩波新書みたいなタイプやったらマンダラチャートとか使えそうな気がする。社会人なら普通に使ってそうなんやけど。まあ、めちゃくちゃ文章が上手いとか味があるとかユニークとかやったらプロットなしでだらだら進んでなんとなく終わっても楽しかったりするんやけど。吉田健一さんとか石川淳さんとか深沢七郎さんとか、そういう特殊能力を持ってる人以外はちゃんとした商品にするためにはやっぱりなぁ(あ、吉田健一さんたちがのんべんだらりと書いてると言ってるわけではないです、念のため)。
    【八乙女累/やおとめ・るい】→累
    【累/るい】八乙女累。主人公。通信会社JT&W営業職にして小説家。二十六歳、女性。道立札幌M高校時代は文芸研究部所属。勝ち組人生だったのが不意に挫折した空白感を埋めようとしたとき小説を書く楽しみを再発見した。
    続きを読む

    投稿日:2023.01.31

  • ひるあんどん

    ひるあんどん

    作家って今のご時世食べられないから大変だよな〜、と思いつつ読んだ。でもよく考えたら今でも昔でも売れてなきゃ食べられないのは一緒か。ネットでのレビューが手軽に見られる分精神的な面では今のほうが辛いか。冒頭で主人公が作品の改稿でキリキリしているのは12月。次回作の執筆?覆面作家の青葉索太郎と編集の愛宕さん、名前が混ざっている個所発見。校閲でも見落としたのかな。続きを読む

    投稿日:2018.01.19

  • nyonboo48

    nyonboo48

    お仕事小説の展開としてはよくあるパターンかな。『なれるSE!』にも似ているような気が。でもこの感じ嫌いじゃない。

    投稿日:2017.06.27

  • 3nd

    3nd

     うーん、好きな作家だし、兼業作家の生態という興味を引く内容でもあるんだけど、「兼業作家ってこんなかんじ」という部分の説明に終始してしまって、登場人物の書き込み不足でいまいち物語としては盛り上がりに欠ける。
     
     プロットの作り方とかが書かれていたりして興味深い内容だったけど、小説としてはイマイチかな。
    続きを読む

    投稿日:2017.06.02

  • tomosaku

    tomosaku

    なにこのハードモード。

    失恋と出世断念した営業ウーマンが小説の新人賞に応募、受賞し、刊行するまでのドタバタを描いた物語。仕事しながら小説を書くとこうなりかねないよね、と多分に著者の経験も入っているのかリアリティがある。

    兼業作家の立ち位置や遣り繰りの手法も面白いテーマだが、割かれているページ数こそ少ないなりに、作中で解説される「創作の基礎」的な話もためになるし、主人公が失恋した時のパニック症候群的な心理描写なんかも身につまされた。

    そして、編集という存在の大切さをまた、思い知る。
    続きを読む

    投稿日:2017.05.30

  • メディアワークス文庫公式

    メディアワークス文庫公式

    【安定した本業に、副業の作家で印税生活!? しんどくも楽しい夢の兼業作家生活が始まる!】

     突然の婚約破棄に昇進取り消し。完璧な人生を送っていたはずの大手通信会社営業職、八乙女累は人生のどん底に沈んでいた。そんな彼女にまさかの小説新人賞受賞の吉報が!
     夢の作家生活がスタート!? と思いきや、待ち受けていたのはイケメン鬼編集の手厳しいダメ出しに山積みの本業タスク、そして容赦なく迫り来る締切だった! 覆面ベストセラー作家、索太郎の助言ももらいながら、どうにかOLと作家業の両立を目指す累だったが!? 兼業作家の泣き笑いを描く業界お仕事小説!
    続きを読む

    投稿日:2017.05.29

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。