【感想】プリマックス 9

柴田ヨクサル, 蒼木雅彦 / 週刊ヤングジャンプ
(1件のレビュー)

総合評価:

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  • 『黒犬』の優樹

    『黒犬』の優樹

    普段、単行本の感想は読んでから、間を置いて書くようにしている
    他の感想書きの方なら察してくれるかも知れないが、自分の中で感動と衝撃を反芻しつつ、書きたい事を整理したいからだ
    しかし、この『プリマックス(9)』は、すぐに書く事にした
    最終巻が来月に出てしまうってのも理由だが、何より、この胸の底から湧き上がってくる衝動は抑えきれそうにない。書きたい、と思った時に書く、それが大事。簡素で拙くなってしまうかも知れないけど、変に飾ると、言いたい事が伝わらなくなってしまう事もある
    前巻の表紙について、やや、表紙詐欺感があると書いたが、今巻にはない。「なるほど、こうきたか」とファンは納得しただろう
    アイドル大戦がストーリーのメイン戦場であるから、出場者が飾ってもおかしくない
    ただなぁ、見た目こそ華やかなんだが、本編っつーか、アイドル大戦は、かっなりエグい。漫画とは言え、アイドルにこんな事させちゃって大丈夫か!?と思うレベルの戦いが繰り広げられている
    良くも悪くも、出場者は本気で他のアイドルを蹴落とし、勝ちを掴もうとしている
    五人体制となったプリマックスは、そんなアイドル達に勝てるのか!?
    ネオ・プリマックスの前に立ちはだかるアイドルの中でも、特に強力なのは、松野月子率いるクレッセントムーン、そして、ワルコのプロデュースにより、超成長どころか大覚醒したアイサキアオ。圧の違うオーラを纏う、本物以上のアイドルに宣戦布告され、五人のシンクロ率は更に高まっていく!!
    そんなガチンコのアイドル大戦も、この(9)の見物だが、それと同じくらい、ストーリーに厚みを生んでいるのは、各キャラの恋愛模様
    モン太とニーサン先輩、竹雄とツグミちゃん、この2ペアはイチャイチャしているのを見ていて幸せな気分になれる
    その一方で、ツバメとワルコと月子、この個性強すぎな三人の関係も、どうなるんだ、と気になってしまう
    もう、お前ら、付き合っちゃえよ、と思うくらいの距離感であるツバメとワルコ、それでいて、悪女としての矜持なのか、素直になりきれないワルコの足掻きは実にカワイイ。そんな二人の仲を邪魔する月子の行動にも、カワイイがある。果たして、どんな決着となるのだろうか・・・まぁ、身も蓋もないけど、リアルタイムで読んでる私は知っている
    この(9)も、全ての話にカワイイが凝縮されており、甲乙つけがたい。その中でも、私が滾ったのは、#78「ライフ イズ カワイイ」だ。竹雄が、これまで以上に漢を魅せた、これだけで、竹雄とツグミちゃんの仲を祝福してくれるファンは理解してくれるだろう。竹雄がメインとなる回の中でも、特に人気が高そうだ、と個人的には思った
    何だかんだで、竹雄も青春を全力で楽しみたい男子高校生。彼は家庭環境が特殊過ぎて、自分には現在を楽しみ、明るい未来を想像していけない、と己を律してきた。それなのに、今の自分は現実から逃避し、暗い未来から目を逸らしてしまっている
    板挟みとなって苦しむ竹雄のありがままを受け入れ、必死になる彼を傍で全力で支える、と断言したツグミちゃん、本当に良い女。こんな最高の女性は自分にはもったいない、でも、もう、自分に嘘を吐かない、だから、彼女の人生も背負う覚悟を持って、竹雄は求婚する
    世に多くの恋愛漫画があり、プロポーズのシーンもあるだろうが、ここまで血が湧くのは、『プリマックス』くらいだろう
    こんだけ、#78について熱く語っておいてなんだが、オマケ漫画、これに関しちゃ、どう言っていいのか分からないくらいの衝撃があった
    ニーサン先輩が、常識を振り切っているのは百も承知だが、何か、非常識の先にすら行ってないか?
    この台詞を引用に選んだのは、ブワッと来たので。松野月子の覚悟を見た、と言い換えてもいい。既に、高い次元にいるのに、更なる高みを目指す彼女は、自分の限界を突き破るために、あえて、己が考える最低の行為に走る。自己嫌悪はしないに越した事はないのだけど、月子の背中を目の当りにすると、人間が壁を突き破るのに必要なハンマーになるのかも、と思ってしまう。自分を嫌いになりたくない、ファンに嫌われたくない、好きな人に好きになって貰いたい、だから、いつでも、どこでも、最高の自分でいようと努力する、か
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    投稿日:2017.04.26

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