【感想】僕の光輝く世界

山本弘 / 講談社文庫
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • 全ての本

    全ての本

    アントン症候群って実在するんだ。

    主人公は目が見えないので、実際に目の前で行われていることと、想像が一致しないことがある。それを利用したトリックになるので、ずっと叙述トリックに触れているかんじ。一般的なミステリよりも、書かれていることに対して疑いを強く持ってしまう。続きを読む

    投稿日:2022.05.04

  • mo12ino

    mo12ino

    山本弘さん久しぶり。
    オタク系に触れてるとかイジメとかまたクドいかなと最初は思ったけれど、まあミステリーでした。
    他の作品は違って新鮮に読めました。
    シリーズ化できそう。
    たけど、映像化は難しいのでは
    彼女の容姿が良くないって、どうするのか。
    続きを読む

    投稿日:2021.12.25

  • cidenon

    cidenon

    いじめられっこの光輝はある日橋から突き落とされ、アントン症候群という不思議な障害を負ってしまう。
    失明しているにもかかわらず、本人には周りのものが見えているという。
    触覚、嗅覚、聴覚によって、視覚を構成しているらしいのだ。
    そもそも、視覚というのは脳が合成したイメージに過ぎないため、目が見えなくても視覚イメージが存在する可能性があるという。
    実在する症状だそう。

    そんな少年が絶世の美少女(といっても少年が作り出したイメージの姿)と出会う。
    彼の障害は「想像力」という一つの能力であるとも言え、その力を使って少女と二人で数々の謎を解いていく。

    それにしても、文章がうまい。
    500ページ近いのにすらすら読める。
    1ページ当たりの文字数が少ないわけではないし、ラノベみたいなスカスカの文章でもない。
    なのにこんなに読みやすいのは、自然な日本語だからなのだろう。
    格好つけたり、難解だったり、回りくどかったり、不自然だったりしない。
    普通に高校生が話すような、生きた日本語だ。

    そんな文章で、きちんとテーマ性とエンターテインメント性を兼ね備えた物語を書くものだから、私は山本弘が大好きなのだが、侮っていた。

    SFだけではなくてミステリも書けるとは。
    私はミステリはあまり読まないし、本作もすごく複雑なトリックがあるわけではないが、ちゃんと文章内の情報で謎が解けるようにはなっている。
    「こんなラノベみたいな人間いるわけないだろ」とか「なんか障害者バカにしてないか?」と文中で気にかかったところは必ず真相に関わっているし、気が付かなかった伏線も出て来る。

    作中作のミステリの謎を光輝が解くというのもおもしろい。
    物語の中に空想の探偵を登場させてしまうのだ。
    設定自体は実在のものでジャンルはミステリでも、その使い方はやはりSF作家ならでは。
    その謎は、現実の事件の謎とも関係してくるのだが、米澤穂信の『愚者のエンドロール』と同じ驚きがあった。
    作中作で一つだけ気になったのは、織江はそんな危険な場所に美緒を送ったのは不自然じゃないか?ということくらい。

    脳に損傷を受けて視覚に異常をきたした世界で美少女と出会うというのは、2003年のPCゲーム『沙耶の唄』を思い出す。
    小説の中にも「沙夜の歌」が出て来て、山本弘に限ってありえないと思いつつも、何か関連があっておどろおどろしい展開になるのではとちょっとびくついてしまった。
    どうやら関係なさそうで、明るい小説だった。

    「いじめ」とか「障害」とか重たいイメージの付きまとうテーマが出てきて、恒例の著者の主張もある。
    でも受け入れやすい主張だし、1つの短編に1つくらいなのでそんなに嫌悪感は抱かないのではないだろうか。
    私が慣れてきただけか?

    全体としてのテーマは『アイの物語』や『詩羽のいる街』に比べると弱かった。
    その分連作短編形式なので話は広げられそうだし、シリーズ化に期待。
    そうそう、詩羽と言えば第2話でちょろっと出てきて感動した。
    物語は終わってしまったけど、まだ人助けしてるんだなぁと。

    アニマ・ソラリスの2015年のインタビューでは、著者が以下のように語っていて、ますます続編の期待が高まった。

    「実は『僕の光輝く世界』と『詩羽のいる街』を本格的に合体させたミステリを書きたいと思ってるんです。詩羽がらみの大きな事件が起きて、光輝がそれを解き明かす。しかも話全体が光輝の書いたミステリだというメタ設定で……ただ、構想だけ大きくて、まだぜんぜんまとまらない。書くとしても何年か先になるでしょうね。」
    続きを読む

    投稿日:2020.10.07

  • tomosaku

    tomosaku

    アントン症候群という、失明したのに当人はそのことに気付いていない実在の症状を盛り込み、それ故に膨らむ無限の想像力と創造力を軸に謎解きをするミステリーもの。最初は日常に根ざしていた(特殊ではあるが)が、最後は刑事事件にまで至った。

    SF作家の書くミステリーってどうなるんだろう……という杞憂は杞憂で終わった。読み終えてみれば、現実の延長線上のSFを書く普段の作風同様、あくまで現実と実証に基づいた中に物珍しい味付けを施した、この著者だから書ける作品になっていたと思う。話中話のミステリーも面白い。
    続きを読む

    投稿日:2017.09.19

  • mui-mui

    mui-mui

    これは面白かった。着想が素晴らしいし、この特殊な状況をきちんとミステリーとして成立させている。結構分量はある本ですが、文章のテンポがいいので、時間が許せば一気に読めてしまいそうな感じがします。
    これは映像化したら面白そうだぁ。実写だと役によってはダブルキャストが必要だから、映像化するならアニメでしょうか。続きを読む

    投稿日:2017.06.10

  • nayu

    nayu

    意外なほどに面白かった。   
    珍妙で新鮮なミステリー。  
    巧妙で斬新なミステリー。   
    面白い人間関係。  
    奇妙で不可思議な謎。   
    上手く“世界”を作っている。  
    これこそがミステリ。   
    面白かった。
    続きを読む

    投稿日:2017.05.07

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