【感想】古代研究I 民俗学篇1

折口信夫 / 角川ソフィア文庫
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    角川ソフィア文庫 折口信夫 「 古代研究 民俗学篇 」

    日本人の精神生活における古代的要素を研究した本

    神はどこにいて(常世)、祭りの何を目印に来臨し(依代)、どこを通ってくるのか(聖水信仰)を 民俗学的に紐解いた論文集。さらに 聖水信仰を 王権論につなげている。池田弥三郎 安藤礼二 の解説のおかげで 読めた

    面白い論文
    *常世の論文「妣が国へ・常世へ-異郷意識の起伏」
    *依代の論文「ひげこの話」
    *聖水信仰の論文「水の女」
    *王権論へ展開する「高御座」
    *国家神道を否定した「神道の史的価値」

    これだけ「神」を論じているのに「神」を定義していない。序文「わが魂のふるさと〜ノスタルジーのアタイズムとして現れたもの」の「魂」が「神」を意味しているのか?

    神道の史的価値
    *神虜(人間の意志でなく、人間の意志でコントロールできない神の意志)を問うことこそが重要
    *近代国民国家を統べるための「道徳」として組織された「国家神道」を否定し、近代以前の荒々しい神の力を復活させることが、折口学の課題


    「妣が国へ・常世へ-異郷意識の起伏」のアタイズム
    *人間の意識の下には、祖先たちの記憶が遺伝されている
    *過去の記憶と現在の知覚が一つ溶け合ったとき「古代」が現れる

    「妣が国へ・常世へ-異郷意識の起伏」の「妣が国」
    *母権時代の面影
    *異族結婚に見られる悲劇的結末〜其母の帰った異族の村を思いやる心

    ひげこの話
    *主題は、神の来臨の場所〜神をどこに招き寄せるか
    *最初に神がよりつく「物」は、神が肖像として認めている「物」、それを造って、神の目につきやすいところに出しておく

    *祭りの折りに依代を設けるのは、日本の神は常に国土にいないことを意味〜日本の神はどこにいるのか


    来臨する神々の故郷 常世
    *魂のふるさと
    *気候がよく、物資が豊かな、住み良い国を求めて移ろう心
    *わたつみ(神)の国
    *死の国、常暗の恐怖の国

    神=言葉は、人間世界の外に存在する。神=言葉が存在し生成される場所が常世(他界)

    人間にできることは、外の世界から、この世界に「神=言葉」が降りてくるのに耳を傾けるだけ

    まれびとは、2つの世界をつなぐ機能を表す









     






























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    投稿日:2024.01.24

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