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太宰 治 / 立東舎 (15件のレビュー)
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miyous
葉桜が印象深かったのか、今年の桜は遅く開花し、1週間ぐらいで葉っぱがちらほら出てきて緑とピンクのコラボレーション。会社の桜は老木で貧相な満開だが、今年は緑が映えてキレイで葉桜と魔笛の表紙がインプットさ…れ、来年も葉桜をみるとこの小説を思い出すのだろう。 続きを読む
投稿日:2024.04.17
紫月
このレビューはネタバレを含みます
「あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった。あたしのからだを、しっかり抱いてもらいたかった。…お悧巧すぎた。…あたしの手が、指先が、髪が、可哀そう。死ぬなんて、いやだ。いやだ。」 病気で死ぬ間際にある妹のこの言葉が胸に刺さった。若い時分に死ぬということは、したいことが叶えられぬうちに死ぬということ。人はいつ死ぬかわからない。だからこそ、お悧巧でいすぎるよりも、自分の望みを叶える行動をとっていかないと、死の淵が見えたときに後悔してしまう。そう思う前に、やりたいことをやれるうちにしっかりしたいと思った。 太宰治は、本当に人の心の奥底にある本音をえぐり出すのがうまい。死にたくない、という妹の気持ち、それを感じとる家族の気持ちが、痛いほど伝わってきた。
投稿日:2024.02.01
tomojuju
初めて読んだ作品です。 太宰治作品はあまり縁がないが縁ある作品が女性主人公多し。太宰治って女性の視点が上手いのか?情緒のある物語でした。 妹の、薄命が故の望みをこんな形で手紙に認める気持ち、そこにある…恥じらいや欲望。姉の妹の不憫さを思いやる気持ちと姉としてのプライドや羨望。いろんなものが滲み出ている作品で、それを漂わせるイラストも良かったです! 2023.12.30 205続きを読む
投稿日:2023.12.30
akitukiyuka
いつかこのシリーズを集めたい。 文章も最高だけれど、絵も最高に素敵だ。 太宰さんの文章をもっと読みたいね、と思っていたらちょうど図書館でぱっと目に付いたこの一冊。 絵のポップさに負けない瑞々しさで、甘…くて、冷たくて、かなしい。 体の弱い妹、そして家のことを考えて自分本位に生きられなかった姉の、互いにいじましい青春を弔うような、そして大切に胸に燃やし続けるような物語。 もう長くはないと言われた妹のもとに届いた手紙は、彼女が隠していた恋しい人からのものかと思いきや、、、 堅苦しい父親の、けれど愛情を信じている姉妹。 きっと愛を感じていたのだとおもう。 本当に文章がうつくしい。 こんなに絹の帯のような手触りの文章を書けるのかと。 これからまだこの人の文章を読んだことがないものがあることが嬉しい。続きを読む
投稿日:2023.07.31
チーニャ、ピーナッツが好き
太宰治と人気漫画家の紗久楽さわさんのコラボ作品。 「葉桜と魔笛」 切ない、姉妹愛を感じる作品でした。 主人公である老婦人の、三十五年前の回想という形で進む物語。 二十の主人公は既に母を亡くしていて、…中学校長である頑固で厳格な父親と十八の病弱な妹と三人暮らし。 妹の死期が迫り、ただ側で黙ってみていることしか、できない主人公は気も狂わんばかりに苦しんでしまっていた。 日本海大海戦で、軍艦の大砲の音が絶え間なく響いてくる時代の最中でも、ただただ妹の事ばかりしか考えられない状態。 そんなある日、妹の箪笥の中に恋人と文通していたらしい手紙の束を密かに発見する。 当時、自由な恋愛などできない時代なので、はじめは自分まで浮き浮きした気持ちでいたのだが、最後の手紙の内容には、雷電に打たれたときのような衝撃を受けてしまう主人公。 そしてある行動を起こす。 妹の為に…!! 途中で出てくる妹の台詞がなんとも切なかったなぁ。 「ああ、死ぬなんていやだ。 あたしの手が、指先が、髪が可哀そうー」 まだ若い女性である妹の心の叫びは…たまらない。 そして時々 姉として、女性としての主人公の複雑な心理も、垣間みれるような部分もあって… なんともいえない、切なさも感じた。 魔笛についても幾通りか考えさせられて、あとを引く読後感。 葉桜の奥から聞こえてきたという軍艦マアチは、まさに魔笛という表現で、しっくりくると思った。 魔笛の謎はどうあれ、それで姉妹はそれぞれ救われたのだといえると思う。 じんわりあったかい気持ちになった読後感は良かった。 「葉桜のころになれば、私はきっと思い出しますー」 主人公が年老いてから語るという構成も素晴らしい。 このタイトルも素敵。続きを読む
投稿日:2023.07.23
かな
乙女の本棚シリーズから、太宰治さんと紗久楽さわさんのコラボ作品の「葉桜と魔笛」です。鮮やかな表紙で、少女漫画から抜け出してきたような姉妹が描かれていますね♪って、いうか…お姉さんなのって、彼かと思っ…ちゃった(^-^;) 桜が散って、このように 葉桜のころになれば、 私は、きっと思い出します。 で、はじまるストーリー。なんともきれいで切ないはじまり…老夫人が語りだしたのは、今は亡き妹と父のことでした。35年前、妹は腎臓結核の診断にて余命いくばくもない状態…ある日妹がしまい込んでいた、恋人と思われる男性からの手紙を発見する…。妹を元気づけるために、姉は恋人になりすまし手紙を書いて妹の枕元におく…。姉が書いた手紙だといとも簡単に見抜いた妹、そのわけは…。 切なすぎる(涙)。そして、家族愛を思いっきり感じられる作品でした!!家族の思いを最期に感じとることができた妹は、この手紙のおかげでこの世での悔いをちょっと減らせたのかもしれない…きっと、そうだと思う、と解釈しました。続きを読む
投稿日:2023.07.14
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