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網野善彦 / 平凡社ライブラリー (31件のレビュー)
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Tomoki
このレビューはネタバレを含みます
アジール・無縁の原理は、人類の本質に深く関連していると筆者は考えている。アジールには3つの段階がある。まず聖的・呪術的なアジール。それから実利的なアジール。最後に、退化から終末にいたる段階。聖的なアジールは、潜在的で見出すのが難しい。いわば原無縁である。無縁の対立物として有縁、有主が登場してくるとき、そこから自らを区別する形で実利的なアジールが現れてくる。日本では古代から中世がこの時期にあたると筆者は言う。室町〜戦国期にそれは無縁・公界・楽という形でほぼ完成する。しかしながら、大名たちによる無縁地帯の取り込みは強烈で、いたるところに国家権力の浸透を見るのが織豊政権から江戸期だろう。 王権との戦いを通じて鍛えられてきた西欧の自由・平等・友愛の概念に比べれば、無縁・公界・楽の思想というのは明晰さを欠く。だが、それこそ無主・無所有の思想の日本的な現れに違いないと筆者は言う。
投稿日:2023.11.05
モリゾウ
歴史書というよりも、思想、文化論。 西洋の自由、平等、平和に対して、日本文化としての「無縁、公界、楽」を対置しているわけで、生物学で言えばドーキンスに対するグールドの論を読んでいるような感覚を覚えた。… 読みどころは本文よりも補注である。続きを読む
投稿日:2023.07.22
∴ Tribe Cälled J ä y-∵
網野氏の本を読むと必ずと言っていいほど地元が出てくる。そんな世間的に注目を浴びてる訳でも、現在社会においてにでも何かの中心とか重要とも思えないのだが。
投稿日:2023.05.15
おな兄
80年代頃の著作ということもあり、多少唯物史観的な観点はありつつも、一次史料を丹念に読み込み、中世世界の容貌を描き出している点で非常に素晴らしい。 特に面白いところは、無縁的な世界を為政者が取り込み自…身の統治メカニズムに利用しようとしてきた経緯続きを読む
投稿日:2020.08.10
きのさん
乱暴なことかもしれないが、「有縁」の代表たる武士と「無縁」の代表たる朝廷。戦国時代までは住み分けが出来ていたが、徳川幕府による朝廷や寺社への法度、さらに明治の近代化により、社会全体の「有縁化」が進んだ。現代の差別問題は、一部、この有縁化がもたらしているのでは。
投稿日:2020.05.04
komazawa-lib
2016年2月「眼横鼻直」 https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/20…16/0201-3471.html続きを読む
投稿日:2020.02.18
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