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イソップ, 中務哲郎 / 岩波文庫 (16件のレビュー)
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つる
7つの習慣に共通の原則を謳う寓話がとりわけ印象的。 例え話の有用性に触れつつ、時に失笑を誘うユーモアを含有する寓話集。 お気に入りの寓話9つをピックアップ。 井戸の中の狐と山羊・・・井戸に落ちた狐と…、口車に騙されて井戸に入り、さらには踏み台にされた山羊の話。 まず終わりを思い描くことから始める。 ライオンを見た狐・・・狐がライオンを3度目に見た時には近寄って話しかけるほど大胆になっていた。習慣化の力を暗示。 腹の膨れた狐・・・腹を空かせた狐が木の洞穴の食料に飛び込み、腹が膨れ、脱出不可。別の狐が言ったのはじっとしていれば痩せて出られる。 困難は時間が解決する。 金の卵を生む鵞鳥・・・P/PCのバランスを説く話。効果性についての暗示。 ビーバー(海狸)・・・追いつかれそうになると生殖器を切り取って投げ、命を全うする。 命>財産の暗示。 産の軽さを競う豚と犬・・・四つ足動物でお産の軽さに優れるのは自分だと主張する犬、対して「目の見えぬ子犬を産むのに」と反論する豚。 速さも然りだが、一定の完成度(質)が必要だということを暗示。 猪と狐・・・猪が木のそばで牙を研ぐ。狐がなぜ今研ぐと問うと、「危険に襲われた時には研いでいる暇はない」 刃を研ぐ(7つの習慣)の暗示。 亀と鷲・・・空を飛びたいと懇願する亀。 鷲は渋々亀をつかんで飛び立つと、上空から放してしまった。 張り合う心から我が身を損なってはいけない。 烏と白鳥・・・白鳥の白さに憧れた烏は、餌場の祭壇を去って、池や川に住んだ。 当然色は変わらないし、飢えて死にそうになった。 生き方で本性は変えられない。続きを読む
投稿日:2023.08.15
あつみ
子どもの時、絵本で出会った印象だけど、ギリシャ神話も含まれてる、と知って改めて全訳(?)を手にしてみました。 (出典はいろいろあるらしいですが) もちろん、お馴染みの動物ものも、あり。
投稿日:2023.02.13
ikawa.arise
全471話を収録し、出典として参照される版を基準に十一部に分かれている。第一部が全体の半数近くを占める。各話、最短一行から長くて4ページ程度まで。動物を擬人化したものが大半で、次いでギリシャ神話の神々…の登場回も多い。 実在も疑われるイソップは、解説によれば紀元前610~600年ごろの生まれと推測され、ギリシャのみにとどまらずバビロニアやエジプトにまで遍歴して寓話を語り伝えたとか。プラトンの時代において、すでに寓話作家の代名詞となっていたらしい。どの作品がイソップによるものか、正確には不明とされる。 道徳的教訓を伝えることを基調としており、話の前後に直接的に教訓が添えられるものも多い。なかでも何度となく繰り返し強調されるのが、「身のほどを弁えよ」「生まれもった性質は変えられない」といった教えである。その派生として、強欲による失敗、悪性は直らないこと、身の丈に合わない仕事や行為の否定といった戒めが多く、目を引く。そんななか、ときおり見られる「自由は富にはかえがたいこと(346.狼と肥えた犬)」や、「弱い(小さい)ことがメリットになりうる(282.漁師と魚)」といったメッセージを発する寓話が印象に残った。 救いのない結末や、殺人、獣姦や近親相姦といったきわどい性的な行為を扱うケースも含む。成り立ちからして当然だが、必ずしも現代における、いわゆる子ども向けの内容ではない。また、各話に添えられた教訓とは異なる教えが読み取れることも少なくなかった。 以下参考までに、一部の有名なものや、出典が異なる寓話や故事などに類似するものを挙げる。 「15.狐と葡萄」(→すっぱいブドウ) 「46.北風と太陽」 「53.兄弟喧嘩する農夫の息子」(→毛利元就「三本の矢」) 「112.蟻とセンチコガネ」(→アリとキリギリス) 「147.ライオンと熊」(→漁夫の利) 「148.ライオンと兎」(→二兎追うものは一兎も得ず) 「226.亀と兎」 「373.蝉と蟻」(→アリとキリギリス)続きを読む
投稿日:2021.05.18
tom555
「北風と太陽」など知っている話があるのに、しっかり読んだのは今回が初めて。続けてイソップ寓話集を2冊読んでみるたところ、物語の並び方が違う本を読んだおかげか記憶に残りやすかった。神々の名前の注釈を読む…たびにソクラテスやプラトンにも手を広げたくなる。続きを読む
投稿日:2018.09.26
サイトム
このレビューはネタバレを含みます
471の寓話をおさめている。イソップ(アイソポス)は紀元前630年ごろの人で、ソロンやタレスと同時代に生きた遍歴の智慧者であるが、現在残っているイソップの物語は、イソップが書いたものとそうでないものとを分類することはむずかしいとのこと。 この本は第十一部まである。第一部は1世紀の『イソップ集成』に遡り、第二部は15世紀の本、第四部はイタリアにいたギリシア語作家の本だそうだ。第五部は前100から後200年までの説話、『アヒカル物語』の借用もある。第九部はピザンツ期の四行詩などもひかれている。こういう雑多なよせあつめが「イソップ物語」なのであるが、古典だから当然だろう。 1530年にはルターがドイツ語に翻訳し、文禄・慶長(1592〜1614)には日本にも伝わっている。 内容は、「北風と太陽」「酸っぱい葡萄」「オオカミ少年」など、有名な話がある。「農夫の息子」(53)は毛利元就の「三本の矢」の話に似ているが、漢文にも同様の話しがあるとのこと、また、「木樵とヘルメス」(173)は、「金の斧と銀の斧」の話しである。こういったものも、イソップにあるのだなと思った。また、白鳥の歌(swan song)などは、現代でも、「最後の作品」という意味で使われるが、こうした諺もイソップに載っている。 アリやワシを「むかしは人間であった」とする記述があるが、こういうのはアニミズムの特徴であろう。 話についている教訓も興味深いが、現代生活で応用できるというものではなく、そもそもそんなことを考えていないのだし、作者たちに現代の目でみて正しいことをいう義務もないだろう。古典というのは、そういうものだと読めばいいのだろう。
投稿日:2016.06.24
中村裕
500近いストーリーをひたすら読む。 西洋の考え方を楽しく学べる。 教訓もたくさん学べる。おすすめ。
投稿日:2015.12.23
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