【感想】不屈の棋士

大川慎太郎 / 講談社現代新書
(34件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • smatoga

    smatoga

    AIと棋士の関係を様々な棋士へのインタビューを通じて解き明かしていく。
    あまりAI将棋に重きをおいていない方、積極的に自身の棋風に取り入れている方様々な方がいた。ただ、考えなくなってしまって棋力が落ちるという発言を何名の方がしていたのがおもしろいのと、AI将棋はそのための戦略が必要になってそこに割く時間がもったいないという発言があったのが興味深かった。年齢を重ねるにつれ、集中力が落ちてしまうのは棋士の方も同じなのだなとほっとした。
    将棋のおもしろさに、人はまだ気づいていないのかもしれないというのは、非常に奥深さを証明していて面白い。
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    投稿日:2023.02.05

  • mayun

    mayun

    タイトルを見て想像した内容とは異なり、将棋ソフトとの戦いやつきあい方を11人の棋士が自身の将棋観を踏まえて語る内容であった。私は将棋観戦を始めて一年未満で、AIが示す評価値や読み筋ありきの観戦なので、将棋ソフトのない将棋界がもはや想像できない。この本が書かれた時代はまだソフトが味方か敵かわからない過渡期で、棋士としての誇りや強くなりたい向上心や好奇心、またソフトに淘汰される恐怖などが率直に語られている。各棋士の語る信条は、私が今まで見た対局や本などから得た知識からその棋士に抱いていた人となりとほぼ同じで興味深かった。続きを読む

    投稿日:2021.04.29

  • DJ TECHNORCH

    DJ TECHNORCH

    将棋ソフトと棋士界の対決についてのインタビュー本。ここ4・5年間「どうすれば競わずに済むのか」を念頭にずっとアスリート・棋士・eSports選手達の本を読んできたけれど、本書ではもう只「勝負事って何て美しいんだろう」とだけ思うに至りました。続きを読む

    投稿日:2020.12.02

  • toshi1231

    toshi1231

    「人工知能に追い詰められた「将棋指し」たちの覚悟と矜持」。帯に書かれているコピーがまさに本書の内容です。トップ棋士が相対しても、すでに人工知能には簡単に勝てなくなっているのが現状。その中で、棋士たちは自らの存在意義をどう考えているのか、人口知能との付き合い方をどうしようとしているのか、そして、将棋界はこれからどうなっていくのか。トップ棋士11人へのインタビューで構成されています。

    どんなに人工知能が強くなっても、人間と人間の対局の魅力は失われない。人間はミスをする生き物で、そのミスで勝負が決まるのが将棋。それでも人間が知恵を振り絞って対局する姿の魅力は失われない。

    人工知能がある限り、自らの勝負に最大限役立たせようとする。一方で、人間と人間が対局するのが将棋と、人工知能から距離を置く者もいる。

    棋士という職業は、将棋の魅力を伝えていくために、無くてはならない存在。人工知能はその思考プロセスを人間にわかるように説明できない以上、その役割を担えない。

    将棋を題材にしているが、これから人類が人工知能とどのように対峙していくのか、共存していくのかを考えるうえで非常に興味深い内容でした。人工知能が得意なもの、人間にしかできないものは何なのかを、一人一人が真剣に考えないといけませんね。
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    投稿日:2020.04.09

  • BRICOLAGE

    BRICOLAGE

    他の分野より一足早く、人工知能の登場によりその在り方が問い直されている将棋界。かつてはその絶対的な強さによって価値が担保されていた「棋士」が、近年急激に進歩した将棋ソフトに勝てなくなったためだ。そのような状況の中で、棋界と関わりの深い著者が11人の棋士たちのの思いのうちをインタビューした本。

    面白かったのが、棋界の中にも正反対の意見があって、さらに棋士によって様々であること。一方には、ソフトの登場は世間の趨勢であるからうまく活用して自らの棋力を向上させるべきだと言う棋士もいれば、他方には、将棋への愛、棋士の矜恃のために、ソフトに左右される対局に違和感、嫌悪感を隠せない棋士もいる。ただ、皆が口を揃えて言っているのが、ソフトに頼りきりで自分の頭で考えなくなるのはまずい、ということ。将棋という文脈で言えば対局場にはソフトを持ち込めないのだから終盤で結局は負けるよということだろうが、結果だけを鵜呑みにすると落とし穴に嵌るというのはもっと広く一般に言えることだと思った。
    もう一つ読んでいて思ったのが、人が見たいと思うのは「人間臭い」将棋なのかもしれないなということ。自分自身指していて楽しいと思うのは苦しい将棋を粘りに粘って逆転したときだし、プロが秒読みに終われて時にミスをするのを見ると変な言い方だが親しみを感じる。逆に、将来将棋の必勝法が見つかるようなことがあっても(必勝法が存在することは証明されているはず)全然嬉しくない気がする。
    本作は2016年のものだが、それから藤井フィーバーや羽生九段の永世七冠達成などもあって将棋界はかなり盛り上がっている。勿論ソフトの問題が根本的に解決された訳ではないが、将棋界の雰囲気が大分変わった気がする(具体的には、普及活動が盛んになっている気がする)。
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    投稿日:2019.12.27

  • mogmog26

    mogmog26

    このレビューはネタバレを含みます

    文句なしにおもしろい。AIに向き合う棋士の葛藤が余すことなく綴られている。そして誰一人答えをだせていない。2015年~2016年頃、棋士は将棋界におけるシンギュラリティにいち早く向き合っていたのだ。
     そして今現在2019年、将棋界は凋落するどころかかつてなく注目を集めている。AIの脅威は部分的には杞憂に終わったかにみえる。ただ各々の棋士は自分の指す手が自分の思考によって生み出されたものか、それとも気づかずAIによって導かれたものか、茫漠とした理解の中で日々戦い続けている。

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    投稿日:2019.09.05

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