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小川彗, 藤中千聖 / 小学館ジュニア文庫 (1件のレビュー)
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もんがらかわはぎ@読書垢 児童書ホラー強化中
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花びらに強く願えばどんな願い事も叶うが、代わり見合った代償を差し出さなくてはいけないという青い花。花は願いを持つ者を引き付け、その者は対価を支払いながらも願いを叶えていく。次第に積もる欲望に自身を押し潰される恐怖も知らずに。 小学館ジュニア文庫という事で当然、読む対象は大人ではなく子供に向けた本のはずなのだが、大人が読んでも十分に面白い。「九丁目の呪いの花屋」というタイトルのためおどろおどろしい、花をもってして他者を呪う、憎しみや欲望渦巻くオカルトめいた話かと思ったが、ダークファンタジーの印象が強い。花に願い、願いが叶い、代わりに代償を支払う。最初はどの主人公も半信半疑で、小さな願いから叶えていくが、あんまりにあっさりに叶ってしまい、代償も取るに足らないもののため、次第に欲深くなり、破滅していく。気が付いた時にはもう後戻りができずその欲に溺れた様はやはり人間らしく愚かしい。花びらに、他者の不幸を望めば確かにそのものは不幸になるが、願い手もまた同じように不幸になる。人を呪わば穴二つという事だろう。だが、私はどちらかといえば、他者ではなく自分を呪って、その呪いのエネルギーで願いを叶えたという印象を受けた。ただ、願う側の感情一つで呪いはよいほうにも悪いほうにも転じ、破滅したほうの少女も他者を気遣う心がもう少しあれば、良いほうに向かったのに、やっぱり人の欲望は恐ろしいなあ。
投稿日:2020.09.22
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