【感想】Flowersフラワーズ <増補改訂版>

奥瀬サキ / バーズコミックス スペシャル
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ざじ

    ざじ

    90年代BLによく描かれていた絶望にしか向かわない刹那的な登場人物たちの織りなす人生交差点。画力に頼るスタイリッシュな描き方は当時よく読んでいた多田由美作品を読んだ時の様な感触。一読では「雰囲気」を舐めるくらいで、個々の物語が掌の指からするりと抜け落ちていく感じも酷似している。
    第1エピソードに登場する「ふゆ」は中国系マフィア風の男と肉体関係を持ち、同性愛者的な雰囲気を醸し出している。冒頭に登場するのも「カセットウォークマン」であり、レコードプレイヤーであるのを見ても、当時を背景にしているのだろう。20代になり、働き始め、自分のお金で自分の娯楽に惜しげなく給料を投資していた時代である。ノスタルジックな気持ちも湧くが、この先どう化けるのか楽しみな作品。BLと言うより当時のオリジナルJUNEで描かれていた作品に通じるものがある。
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    投稿日:2016.06.06

  • 伊吹

    伊吹

    奥瀬サキの、一種の美しさすら感じる刹那的なエロスやグロテスクを濃縮した作品。コミカル要素は一切無し。正面から真っ直ぐに掴みかかってくる。話の内容は断片的で、一度読んだだけでは理解は出来ない。孤独を抱えた世界観を踏まえたうえでもう一度、二度、と読んでいくうちに物語のパズルピースが個々に染み込んでくる。出版社の関係で続巻は出ない。だからこそ、物語のキャラクターを自分の中で吸収しイメージを増徴させてくれる。
     キャラクターは、一瞬先の未来の見える能力を持った同性愛者の青年『冬』と、撃った弾(モデルガン)は必中する能力を持ち女装しキャンディとの名で同性の客をとっている美大生の『音入』、異形の姿を見る能力を持ち義父を殺してしまってからはお金で体を売る少女『エリカ』
     物語は唐突に途切れる。だからこそ想像力の暴走が許されるのだ。
     音入が客を撃った後、満開の桜の下で慟哭するシーンの美しさ。その直前の醜悪さがまた美しさに拍車をかける。
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    投稿日:2010.08.28

  • deco

    deco

    大好きな作品だったので、増補版が出て嬉しい。でも、この作品は、全ての人物、コマ、空間、風景が孤独に満ちている。
    この方の描かれる孤独は、胸がつぶれるように切なく凄まじい。それでも自己憐憫が入る余地がないところが好き。続きを読む

    投稿日:2010.05.20

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