【感想】カシオペアの丘で(上)

重松清 / 講談社文庫
(120件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
43
42
16
4
2

ブクログレビュー

"powered by"

  • masato

    masato

    テーマは「ゆるす」こと「ゆるされる」こと。
    友情、家族愛、背負ったもの、そして生と死。
    本書は電車の中では読んではいけません。

    上巻です。

    過去に炭鉱の町として栄えていた北海道の北都という町で育った小学生の幼馴染の4人「トシ」、「シュン」、「ミッチョ」、「ユウちゃん」
    ストーリは、この4人が名付けた「カシオペアの丘」に遊園地を作りたいと夢を語るところから始まります。

    30年後、トシとミッチョは夫婦となり、トシは市役所の職員としてカシオペアの丘の赤字遊園地の園長。
    ミッチョは小学校の先生ながら、遊園地の手伝い。
    さらにトシは車椅子の生活です。
    車椅子生活になった背景は前半では語られず、何かあったと思わせる展開。
    シュンは東京で家庭を持ち、奥さんと小学生の息子と暮らしていますが、ガンと診断され余命宣告。
    ユウちゃんは東京でテレビの仕事。幼女殺害事件の取材でこの遊園地を訪れるところから、この4人が再びからみあっていきます。

    炭鉱の町だった北都を今も牛耳るシュンの祖父の会社「倉田」
    過去、炭鉱事故で下された決断と悲劇。
    炭鉱事故の犠牲者を見殺しにした祖父をゆるせなかったシュン
    シュンが突然転校していった理由。
    シュンとミッチョの大学時代の関係。
    と、4人の過去、背景が徐々に明らかになっていきます。

    いろいろ重い過去が、ガンの進行とともに語られていきます。
    幼女殺害事件の取材でしりあった「ミユ」さんがとてもいい味出しています。
    そして、やはり何か過去を持つ女性です。

    下巻に続きます。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.27

  • shunsuke

    shunsuke

    上巻を読み終えた感想は、「すごい」でした。

    正直、第七章までは、「あれ?これ散々風呂敷広げてるけどちゃんと収集つくのか?ちゃんと盛り上がるの?」って不安に駆られましたが、第八章から重松清さんが本領を発揮し始めます。(第八章まで300ページくらいかかります笑)

    主人公シュンの幼馴染、雄司が優しくて、作品の良心だなって思います。

    特に雄司が悲しみについて、語るシーンがストンと落ちてきて、ここを読むだけでもこの作品に出会えて良かったなと感じました。
    =====================
    悲しみは、二人いれば何とか耐えられるんじゃないか。
    悲しみを分かち合うとか、半分にするってことではなく。同じ悲しみを背負ってる人がそばにもう一人いれば、押しつぶされるぎりぎりのところでも耐えられそうな気がするんだ。
    絶望とは希望をなくすことじゃない。もう誰ともつながれなくなること。
    誰かのためにとか、誰かと一緒にとか、そういうのを全部奪われちゃうことなんだ。
    =====================

    非常にいい場面で下巻に続いていて、この先がものすごく楽しみです。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.16

  • 1515183番目の読書家

    1515183番目の読書家

    そうだったな。僕だってそうだった。学生時代は、おとなの存在など目に入らなかった。背広にネクタイ姿で会社に通うことが、ちょっと考えればなによりもリアルなはずの未来だったのに、それを自分と結びつけることはなかった。身勝手なものだった。人より図抜けた才能や強烈な野心があるわけでもないのに、ひととは違う人生を歩むんだと決めつけていた。ずうずうしかった。甘かった。若かった。すべてをまとめて、要するに、生きることに対して傲慢でいられたのだと思う。

    まだたっぷりと残っている手付かずの未来を前に、今日をむだづかいしているような恋人同士の笑顔は、いつの時代の、どこの街でも変わらないのだと思う。
    そんな日々は、いつか終わる。僕はそれを知っている。だが、いつか終わってしまうんだと知らないからこそ、いまがいとおしくなるんだということも、おとなになればわかる。

    ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらが悲しいのだろう。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.23

  • まる

    まる

    「ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらかが悲しいのだろう」

    投稿日:2024.01.17

  • ellie

    ellie

    上下巻ともに読了。
    読み応えあるが、感情移入してしまい、あっという間に読んでしまった。
    ページをめくる手が止まらない。涙も止まらない。

    投稿日:2023.06.16

  • ちてこ

    ちてこ

    このレビューはネタバレを含みます

    2008年(第5回)。10位。
    また北海道wの真ん中あたりにある北都(架空の町かな)。仲良し小学生4人がカシオペアの丘で星を見るところから始まる。北都の近くの都市は、札幌や旭川。
    大人になり、北都の残った者、東京で頑張ってる者。北都の大企業の孫だったシュンは、炭鉱事故の祖父の対応がイヤで、北都を離れ、東京へ。ガン告知される。北都に残ったトシとミッチョは結婚、カシオペアの丘で遊園地店長。でも今年でつぶれそう。トシは小学生の時のけががもとで車いす生活。そしてユウちゃん。この4人と、娘を妻の浮気相手に殺された川原さんが、カシオペアの丘でまた出会う。彼らそれぞれの事情があるのはわかるが、なんか冗長。ま、下巻へ続く。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.03.19

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。