【感想】縁距離な夫婦 躁うつといわれた嫁との20年日記

のんた丸孝 / 朝日コミックス
(1件のレビュー)

総合評価:

平均 5.0
1
0
0
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • 亞綺羅

    亞綺羅

    アダルトチルドレンな奥さまとの接し方を模索する旦那様の20年日記だった。
    夫婦のコミュニケーションの在り方も垣間見れ、躁うつ病?患者との接し方以外にも示唆に富んだ一冊。

    各話ごとにあるコラムに、奥さまの思考のベースになってしまった問題の解説がついている。
    そこでも奥さまのアダルトチルドレン傾向がご実家の問題――機能不全家族――にあることを指摘している。

    奥様のご実家で介護することになるが、家族が一致団結する信頼が無いとできないと自宅介護は難しく、機能不全家族はなおさら無理だった。そんなことも浮き彫りになる。

    奥様の不安が募り、助けを求めるネガティブな言葉の塊が、亡霊の塊のようになって旦那様に押し寄せる描写は的を得ている。それにほり、本来の感情を失った、拒絶した旦那さんの眼が四角く(◆)なり、まるでロボットのよう。そして言ってはいけない言葉を吐いてしまう。

    奥様はおそらく「大丈夫だよ」「貴女はがんばっているよ」と言って欲しかったのだと思う。
    ……そんなコミュニケーションノウハウを、当時の旦那様は知る由もないだろうし、仕事に逃げてしまう。
    この旦那さんにも問題がある。
    「共感する」コミュニケーションができないため、奥様を助けようとしているが、空振りに終わっている。
    実は行為そのものよりも、相手が何を感じているかに着目しないと解決しない。(水谷緑『精神科ナースになったわけ』( https://booklog.jp/item/1/4781615287 )参照)
    精神病院の通院を奥様ひとりにさせているため、奥様が薬を飲まず捨ててしまったり、カウンセリングに一緒に行くことを奥様一人の問題(自分に問題はないと思っている)と行かないでいるため、回復が遅れた気がする。何故なら対人関係――家族――の問題なのだから、同席した方がよかった。
    本の最後でそのことに気づくのだが……

    それでも離婚せず、別居という形をとりながらも連絡は怠らない。毛布を買って渡すというケア行為は、実は信頼を築く一つの方法だった。

    『縁距離』というタイトルが秀逸だった。その分、サブタイトルが惜しい気がする。
    別サイトの書評で「奥さんは躁うつ病ではない」という意見が散見されたが、読んでみると躁状態の描写が無かったためのようだった。
    奥様に躁状態があったかは、このコミックから判断できない。
    丁度、併読していた『やさしい精神医学入門』( https://booklog.jp/item/1/4047034738 )にて、医療としての治療は薬物治療が基本だとの事。また病名の判断が難しい場合、薬を処方するにあたりある程度該当する?と判断した病名が採用されているのかも知れない。一昔前は「アダルトチルドレン」というと、大人になれない子供じみた人という誤解があったため、それを回避する意図もありそう。

    結局、奥様は実のご両親と関係を改善(対決も修復も)出来ず、ご両親が他界してしまう。
    できれば、それ故に、両親のイメージを心の中で改善するかあきらめるかできて、旦那さんとの関係で癒されることを切に願う。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.31

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。