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弓月あや, 北沢きょう / B-PRINCE文庫 (1件のレビュー)
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▼あらすじ 「きみの過去も、私の現状も、どうでもいい。きみが愛おしい」 仁礼子爵家の車に撥ねられ記憶を失った青年に、当主の賛は、彼の着ていた着物から浅葱と名付け、彼を保護する。浅葱は、自分を大事に扱ってくれる賛の眩しい潔癖さに惹かれ、ずっと一緒にいられることを願ってしまうのだが、浅葱を知るという近衛公爵が現れ……。過去を暴かれ、自分が穢れた蝶であることを知らされた浅葱は、賛と結ばれない運命に嘆き――!? *** 表紙の美しさに惹かれて購入しました。初読みの作家さんです。 途中で中断する事もなく、一気に最後まで読んでしまうくらいには面白かったんですが、ちょっと引っ掛かる部分もあったりして、何というか「惜しい!」って感じの作品でした。 主に引っ掛かりを感じたのは恋愛の部分と浅葱の性格ですかね。 まず最初に恋愛の部分ですが、これと言った特別性が無いといいますか、あなたじゃなきゃ駄目なんだ!っていう決定的な理由が欠けているので、二人がくっ付いても何だかサラッとした印象で。 浅葱なんて割と直ぐ、賛に恋愛感情を抱いている感じでしたが…まぁ、彼の場合、過去に置かれていた境遇の事を考えれば生まれて初めて見返りの無い愛情を注いでくれた王子様のような賛に対してときめくのは当然の事のように思えますし、コロッと落ちちゃっても「あれだけ優しくされればね…」と多少、納得出来たりもするんですが。 ただ、賛はなぁ…。正直、そこまで浅葱に夢中になる理由が分からないかも。 だって、許嫁を裏切るだけじゃなくて身分や地位までも捨てる覚悟で、浅葱を選ぶって相当な愛が無いと難しいと思うんですよ。 そこまで浅葱の事を愛せるようなエピソードってあったっけ?って感じで。 何か愛情と言うよりも庇護欲に近いような気がしなくもないんですよね。 これで、実は過去に浅葱と運命的な出会いをしていて…とかなら、賛が浅葱に執着する気持ちも分かるんですが。寧ろそっちの設定で読みたかったかな(笑) あとは浅葱の性格についてですが…。 後半、近衛に対して浅葱の態度がガラリと変わるところで、良い意味でも悪い意味でも少しゾッとしてしまいました。 記憶が戻っていた事にも驚きでしたが、純情に見せかけて実は攻めを手の平で転がすような計算高いタイプの受けが個人的に少し苦手でして…。 もしかして浅葱もそういうタイプの受けかと思いヒヤヒヤしたのですが、結局、ああいう生意気な態度を取るのは近衛の前だけで、賛の前では浅葱は浅葱のままだったので少し安心したのですが…。 でも、揚羽として近衛と会話をしていた浅葱も浅葱である事は事実なので、賛の前でひたすらピュアになる浅葱を純粋な目で見れない気持ちもあって…。 猫被りって訳じゃないと思うんですが…うーん…。 でも先述した通り、途中で中弛みする事なく一気読みしてしまうくらい面白かったですし、多少モヤッとしたものは残りましたが、正直、終わりよければ全て良しって感じなので、これはこれで良いかなと(笑) 双子ちゃんや水瀬、二礼家の使用人達など脇役にもきちんと個性があって読んでいて楽しかったですし、時代背景や作中の雰囲気なども好みでした。 あと、やっぱり賛の紳士っぷりに何度も萌えさせられましたね。 甘いだけじゃなくてちょっぴり厳しい面もあるのでハラハラする部分もありましたが、基本的に甘い人なのでとても魅力的に感じました。 特に印象的だったのが、浅葱の前で跪いて告白するシーンで、突然の敬語に不覚にもキュンとしてしまいました。あそこで敬語は狡い(笑) 北沢きょう先生の挿絵も美しくて文句無しに素晴らしかったですし、決して悪い作品ではないので、続編があるなら読んでみたいかも。
投稿日:2016.03.10
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