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フェルディナント・フォン・シーラッハ, 酒寄進一 / 東京創元社 (23件のレビュー)
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ゆまち
罪とは何か。これがシーラッハ文学の中心テーマだ。 …「罪」という漢字を分解すると「目に非ず」と読める。「現実」を把握するのに「百聞は一見にしかず」というが、こと「罪」に関してはこれが通用しない。なぜな…ら「罪」に見入る者は心の闇を覗くことになるからだ。 ー訳者あとがきより ブラック・クリスマス、タダジュンさんのおどろおどろしいながらも目が離せない絵に惹かれて読んだ。 たった三遍が載った100ページにも満たないお話。 けれど読みやすい比較的短い文章で綴られた罪に満ちた三つの物語は、その主人公たちの末路はどれもじわじわと衝撃的で、けれど、ああ、これは私たちの物語だ。と思わされた。 主人公たちはカオスに魅入られて、罪を犯してしまう。淡々と描かれる文章に、タダジュンさんの大胆でこちらが飲み込まれそうな黒の挿絵が、不思議なカオスと禍々しさを生み出していた。 そのカオスは、いつ我が身に降り注いでもおかしくない。そのことに戦慄し、その事実を淡々と印象的に描くこの物語たちにゾクゾクした。 どの話を特にピックアップするのは無理というか、三遍とも全て同じくらいゾクゾクするので、甲乙つけ難いのです。 シーラッハの書く物語を、網羅したい気持ちに駆られた作品。 そう思わせてくれるのに、作品そのものはもちろん、充実した訳者あとがきが何役もかってくれたので、ぜひこの本の全部を読んで欲しい。 目次 パン屋の主人 ザイボルド カールの降誕祭 訳者あとがき続きを読む
投稿日:2023.03.28
sousou
フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), タダ ジュン (イラスト), 酒寄 進一 (翻訳)
投稿日:2022.05.20
cinejazz0906
実直な人間と思われていた人が、突如にして殺人犯となり、人生の終焉をむかえる悲劇が語られています。ベーカリ-ショップを経営する男が日本人女性に恋憧れる『パン屋の主人』、ベルリン裁判所の裁判官を務める生真…面目な男『ザイボルト』、伯爵家御曹司の狂気を描いた表題作『カールの降臨祭』、いずれの三篇も底知れぬ恐怖感に縛られます。続きを読む
投稿日:2020.12.20
toriaezkore
初シーラッハです。殺人犯たちの殺人にたどり着くまでのエピソードやその背景が淡々と描かれています。まるで、モノクロの短編映画を見るように、自然と映像が浮かび上がってきました。挿絵もすばらしい。物語を盛り…上げる重要な要素になっています。続きを読む
投稿日:2020.05.06
winder
人生が劇的に変化する様を観てきた著者だからこそなのかな?独特の読後感が味わえる三篇の短編集。面白かったです。
投稿日:2018.12.25
マッピー
このレビューはネタバレを含みます
目次 ・パン屋の主人 ・ザイボルド ・カールの降誕祭(クリスマス) 短編が3作。 ぜんぶ合わせても100ページにも満たない。 そして犯罪が3つ。 そのうち殺人が2件。 しかし悪意をもった犯罪者はいない。 悪意をもたずに起こす殺人。 それは、犯人にとってはやむを得ない行動であるのだが、第三者からすると、行為に手を染めてしまうその一線が、壁の薄さがうすら寒い。 もう一人の犯罪者は…彼の犯した罪は、本当に社会悪だっただろうか? しかし信念を持って起こした行動を、彼がずっと守ってきた法律が犯罪と断じた時、彼の中の何かが壊れてしまった。 彼の充実した人生は、一体どちらにあったのか? 短い小説ばかりだけれど、読んだ後に残されたものはとても重い。
投稿日:2017.08.04
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