【感想】巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

永幡嘉之 / ブルーバックス
(16件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • hamakoko

    hamakoko

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057320

    投稿日:2022.09.05

  • raizox

    raizox

    主に昆虫と植物への影響を調査したもの。東北太平洋沿岸のトンボの生息地、復活を願っていますが、なかなか難しいのが現実のようです。

    投稿日:2018.10.09

  • 深夜

    深夜

    このレビューはネタバレを含みます

    ほんとうの「豊かな自然」とはどういうものか?
    震災後の秋、三陸の河川を多数遡上したギンザケはメディアなどに「生命のたくましさ」などとして好意的に取り上げられた。しかしギンザケは外来種であり本来そこにいるはずのない生物だということを、本書を読んで初めて知った。他にも様々な例が提示され、自分が知っているつもりだった「豊かな自然」はただのイメージでしかなかったのだと気付かされた。
    筆者が吐露する「こんなときにこんなことをしていていいのだろうか」という煩悶は、その時その場で「命を救うこと」に関わらない学問や職業に就いている人間なら誰しもが感じることだろう。でも、胸をはってほしい。その土地の表情を守るための活動は、必ず、その地に根付く人々の精神的な豊かさを守ることに繋がると思う。そしてそれは、その地の人々を世代を超えて守ることになると思うからだ。
    被災した東北の、動植物の生息地を調査し続けて目の当たりにした破壊の痕に打ちのめされそうになったときもあっただろう。これからいくつもの絶滅を確かめなければならないだろうと筆者は書いている。状況は全く楽観できるものではない。けれどそれでも調査を続け、豊かさとは、復興とは何かを問い続ける筆者に敬意を表したい。

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    投稿日:2016.04.18

  • 講談社ブルーバックス

    講談社ブルーバックス

    東北を襲った巨大津波は生き残った動植物の生息地も激変させた。震災直後から生きものたちの消息を追って奔走した著者が問う「真の復興とは」。

    投稿日:2015.12.25

  • たまどん

    たまどん

    読み進めるにつれて、著者が被災地に配慮してあえてオブラートに包んでいる“本当の意図”がいろいろな行間から滲み出てくるような気がしてならなかった。

    東北地方の海岸線には、防風や防砂、そして景観維持目的でクロマツが多く植えられていた。緑が濃いその景観は、一見、豊かな自然が残されているように見える。しかし、本当の自然界-東北地方に本来生息すべき動植物の眼から見た場合、クロマツだけが勢力を広げ繁殖するのは「人間の作為」によるしかありえず、ある意味自然に反した姿だ。

    「多くの動植物の絶滅が心配される状況は、津波だけによって引き起こされたものではなかった。『この程度なら大丈夫』という小さな開発が重ねられた結果、池や湿地の孤立が極端に進んでいたからこそ、津波による生態系への影響は深刻なものになったのだ。」(本書P33)

    つまり、東北の自然や生態系の破壊は2011年3月11日の巨大津波によって激変的にもたらされたのではない。護岸壁、道路、水路などのコンクリート化といった“完全破壊”のほか、湿地の水田化や砂浜へのクロマツ植樹などの、一見自然が残ってるように見える“ニセ自然”も含めた、人間の手による自然環境の変化(=破壊)が手を変え品を変え進められてきた結果で、津波は単なる1つの契機に過ぎないと言えないだろうか?

    もちろん、著者は人間の生活実態を無視してまで動植物を守ろうとする、よくペット愛好者とかで見られる生類憐みの令的な生き物偏愛主義者ではない。著者が生息地に入って写真を撮る行為すらも、一種の生息環境の破壊行為にほかならないはずだし。

    しかし、人間が自分の生活を維持するために犯している「生態系の破壊行為」という事実を直視せずに、津波による破壊の事実に驚いてるだけでは、もし津波が起きていなかったとしても、遅かれ早かれ人間の手によって生物たちの生きる場が失われてしまうという恐れから目を反らす「楽観論者」に陥ってしまう。

    「いま、…津波跡地に大規模な公園や施設、植樹による森つくりなど、新しいものを作る計画が次々と耳に入ってくる。だが、新しいものを作ることでもたらされる「物質的豊かさ」と、生まれ育った場所の自然の風景に懐かしさを感じる「精神的な豊かさ」とは、必ずしも共存するとは限らない。…復旧あるいは復興の名のもとに進む開発によって、土地の個性ともいうべき地域の自然環境が失われ、画一的な公園に変わりゆくとすれば、地域で暮らしてきた人々の生活から失われる「精神的な豊かさ」もまた大きい。」(本書P206)

    これを読んでも、著者は人間の生活を脇に置いて生態系を守れとは言ってないのがわかる。著者が求めるのは豊かな生態系と、それによってもたらされる人間生活の豊かさだ。
    この本に収録されたトンボ、カエル、ハマナス…の写真は本当に私の心を豊かにしてくれた。
    (2013/1/27)
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    投稿日:2015.11.08

  • kayakingbird

    kayakingbird

    東北の自然は豊かと言われるが実は残っていたのは「わずか」であり細々と生き残り孤立していた
    津波の塩害でとどめを刺され、避難できる淡水が近くになかったならば生き残ることは難しい
    「油」は流れ去ったが「塩」は水に溶けいつまでも残った続きを読む

    投稿日:2015.04.18

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