【感想】蒼海に消ゆ 祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯

門田隆将 / 角川文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ゆき

    ゆき

    このレビューはネタバレを含みます

    アメリカ国籍を持ちながらも、日本海軍の少尉として特攻に加わり、戦禍の中でその命を蒼海に散らした松藤大治のドキュメンタリー。

    まさに外交官になるべき生まれ育ちと、その思想。
    本人もそのために文武に励み次々と結果を残していきます。
    エリート中のエリート。
    その上、朗らかで面倒見もよく、偉ぶったところが一切ない。

    時代が違えば…と思わずにはいられません。

    しかし、戦争中はこのような大きな志を持った有望な若者が、使い捨ての駒のように最前線へ送られて行きました。

    彼らが生き残っていたら、戦後の復興はまた違ったものになっていたかもしれません。

    歴史に『たら』『れば』はありません。
    わたしたちにできるのは、志半ばで祖国のために命を落としていった方に想いを馳せ、同じ過ちを繰り返さないことだと思います。

    彼らが文字通り命を掛けて守ろうとした、かけがえのない平和のために。

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    投稿日:2023.07.26

  • デイジー

    デイジー

    終戦の数ヶ月前、零戦パイロットとして米艦艇に特攻して亡くなった、米国籍をもつ日系2世の青年、松藤大治。彼の家族や親戚、友人からの聞き取りをもとに、彼の足跡を辿るノンフィクション。

    この本を手に取ったのは偶然だったけど、あとがき・文庫版あとがき・解説という、普段読まない部分まで読破してしまうほど、心を揺さぶられる読書体験だった。

    例えば442連隊のように、当時、日系米国人たちがアメリカ人、米軍人として誇り高く戦ったという記録がよく知られているが、彼らとの対比で松藤氏に思いを馳せずにはいられなかった。
    どちらも、米国や日本が憎かったわけではないのだろう。どちらも、戦わずにいたいと思えば逃れられたのだろう。松藤氏に至っては、日本が戦争に負けることを予感していたはず。何が彼らを米軍人・日本軍人として戦うことに駆り立てたのだろう。
    答えはまだ見つからないけど、その問いが私の心の中に残った。

    また、松藤氏に限らず、当時の若者たちの生き様も沁みた。彼らがみんな20代前半だったなんて。。。
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    投稿日:2021.04.10

  • heresince

    heresince

    戦争の時代、多くの若者が亡くなった。日本にとってどれほどの損失であったかと思い、悔しくてたまらない。彼らはそれがその時代の逆らえない現実ととらえ、特攻に行く前日にも文句ひとつ言うことなくその目的に向かうことだけを考えていた。強い精神力を備えていた。こんな時代を二度と迎えてはいけないし、また今自由に意見の言える世の中であり、それはないと思いたい。ただ、当時の日本人の精神的な強さや何かに真摯に取り組む姿勢には感心する。ある意味忘れてはいけないことかもしれない。主人公の松藤大治さんの強さや正義感、人間的大きさを思う時、小さなことに悩む自分が勇気づけられる思いだ。続きを読む

    投稿日:2018.05.26

  • 風太郎

    風太郎

     祖国アメリカへ特攻した日系2世の海軍少尉「松藤大治」の生涯を描いたノンフィクション。

     特攻を描いた名作といえば、「永遠の0」がありますが、あくまでもフィクションであり、今作が大きく違うのは、真実に迫ろうとしたノンフィクションであるという点です。

     筆者は、戦争への怒りを極力抑え、あくまでも主人公を知る貴重な方たちから聞いたことを冷静に描き、真実に迫ろうという姿勢でこの作品を書いています。

     そして、この作品の主題である、なぜ主人公は祖国へ特攻して死んだのかということの答えをあえて描かず、読者にその答えを委ねています。

     そのことを戦後70年を生きる自分たちがしっかりと受け止め、これからの日本と子供たちのために平和を保ち続けなければならないと感じました。
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    投稿日:2015.07.27

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