【感想】乱紋(上)

永井路子 / 文春文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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5
3
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ブクログレビュー

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  • ktakeuchi

    ktakeuchi

    上下巻合わせて。
    面白かったけど、永井路子の他の小説に比べるといまいちな感じがした。
    浅井三姉妹の末のお江が主人公なのだが、結局主人公の性格というか何をどうしたいかというのがよくわからなかった。その文だけ狂言回しの侍女や「ちくぜん」が饒舌になりすぎている。
    思うに、永井路子さんは戦国時代に向いていないのではないかと思う。
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    投稿日:2018.04.24

  • nakaizawa

    nakaizawa

    (2016.10.05読了)(2010.12.12購入)(1981.11.05・第7刷)
    2011年のNHK大河ドラマ「江 姫たちの戦国」が放映された際に読むつもりだったのですが、他の関連本を読んでいるうちに放映が終わって仕舞い積読になっていました。
    2016年の大河ドラマ『真田丸』は、「おごう」が生きた同時代なので、この際に読んでしまうことにしました。「おごう」と真田一族の直接の接点はありませんが、「おごう」の最終的な夫・徳川秀忠は、真田一族と闘っています。そういう意味で最後の方の話題として真田一族の話が少し出てくるような気がします。
    大河ドラマ「真田丸」では、徳川秀忠と二人の場面でおごうが、チラッと出ていました。もう一回ぐらい出番があるのでしょうか。

    題名からは、誰の話かは分かりませんが、浅井長政とお市の方の間に生まれた三姉妹、茶々、初、ごう、の三女ごうの物語です。
    柴田勝家が秀吉に敗れ、お市の方も勝家とともに亡くなって、三姉妹が秀吉に引き取られます。引き取られたのちに安土城で過ごしているあたりから、物語が始まります。
    主人公は、おごうなのですが、お姫様で無口と来ているので、主な語り手は、侍女の「おちか」です。
    おごうの最初の嫁ぎ先は、尾張大野の城主・佐治与九郎一成・18歳です。与九郎の母は、お市さまの姉、お犬さまです。お江のいとこになります。お江は14歳です。(19頁)
    尾張大野は、織田信雄の配下ですので、秀吉による懐柔作戦だったのでしょう。
    おちかは、清州の街で、博多の商人・ちくぜんと知り合いになる。時代劇でよくある情報屋の役割が割り当てられている人物です。おごうもおちかも、それほど自由に動けないので、ちくぜんが、舞台進行に必要な情報を与えてくれます。なぜ博多なのか? 秀吉の九州攻めや朝鮮半島への侵攻がありますので、博多と行き来ができるのは、好都合というわけです。
    清州の信雄に挨拶して大野へ旅立つ前に信雄はおごうの遊び相手にと「おたあ」という15歳の娘を引き出物とした。
    おたあももう一人の情報屋として物語を盛り上げてくれる役割を担ってくれます。
    秀吉が、家康のもとに妹の旭姫を送り込み、母親を人質として差し出すことによって、家康は秀吉の配下に入った。
    東の方は安心できる状態になったので、秀吉は、九州の平定を行い、小田原を攻め滅ぼし、天下統一は、完成する。
    小田原城降服の後、家康は江戸へ移封となる。徳川の支配していた東海五カ国に信雄が移封となることを言い渡されたとき、信雄が不満を述べたため、下野の烏山に蟄居させられてしまった。
    信雄配下の佐治与九郎も領地召し上げとなったので、おごうは、秀吉の元へ戻された。
    初は、京極高次に嫁いでおり、茶々は、秀吉の妻となり淀城に住んでいたので、おごうは淀城へ行く。
    茶々が、秀吉はお江にも手を出すのではないかと恐れたので、おごうは、秀勝のもとに嫁ぐこととなった。秀勝は、秀吉の姉の子である。秀勝は23歳である。
    住む所は、岐阜城である。秀勝の生母は、おともさまというかたです。
    おともさまは、息子が嫁に寝首を書かれるといけないと心配して、夫婦の寝所を毎晩のぞき見しているとか。
    秀勝は、朝鮮出兵に参加したが、かの地で亡くなった。おごうのおなかには、秀勝の子どもが宿っているという。

    【目次】
    裲襠
    清州にて
    花嫁の船
    博多ねりぬき
    流星
    海燃え
    招かれざる客
    岐阜御前
    高麗だより

    ●朝鮮出兵(371頁)
    秀吉は朝鮮や中国に対して、全く認識が足りなかった。国内の小田原攻めや九州攻めとひとしなみに考えていたらしい形跡がある。社会のしくみ、言語、風習の差などについて、彼は何ひとつ予備知識を持っていなかった。
    ●お江の特技(388頁)
    おごうは、ひとりでいるとき、何もしないでいられるという特技の持主だ。ふつうの人間だったら、本を読むとか、縫いものをするとか、何かせずにはいられないのに、おごうは放っておけば、いつまでも、ひっそりと黙って座っている。

    ☆永井路子さんの本(既読)
    「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25
    「流星 お市の方(上)」永井路子著、文春文庫、1982.09.25
    「流星 お市の方(下)」永井路子著、文春文庫、1982.10.25
    「銀の館 上」永井路子著、文春文庫、1983.12.25
    「銀の館 下」永井路子著、文春文庫、1983.12.25
    「一豊の妻」永井路子著、文春文庫、1984.04.25
    「姫の戦国」永井路子著、日本経済新聞、1993.11.13
    「山霧 上」永井路子著、文春文庫、1995.11.10
    「山霧 下」永井路子著、文春文庫、1995.11.10
    「絵巻」永井路子著、角川文庫、2000.08.25
    「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら-」永井路子著、文藝春秋、2008.03.01
    ☆関連図書(既読)
    「江-姫たちの戦国-上」田渕久美子著、日本放送出版協会、2009.10.30
    「江-姫たちの戦国-下」田渕久美子著、日本放送出版協会、2010.01.30
    「江の生涯-徳川将軍家御台所の役割-」福田千鶴著、中公新書、2010.11.25
    「江史跡紀行」小和田哲男監修、新人物往来社、2010.11.25
    「淀どの日記」井上靖著、角川文庫、1964.05.30
    「徳川秀忠」百瀬明治著、PHP文庫、1999.10.15
    「千姫様」平岩弓枝著、角川文庫、1992.12.10
    (2016年10月9日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた―。おごうの生涯を描く長篇歴史小説。
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    投稿日:2016.10.09

  • 杏理

    杏理

    大きな文字の新装版、っていってるだけあって、読みやすくていい。浅井3姉妹の末妹を書いたお話で、姉妹仲がすごく悪いのがちょっと珍しい気がする。

    投稿日:2012.12.07

  • misaoyama

    misaoyama

    今年の大河ドラマは「江」。最近の時代劇のセリフの乱れには耳を塞ぎたくなるが、「江」もご同様である。もっとも、本格的な時代劇のセリフでは観ている側がついていけないのだろう。それにしても、この「江」を観ていて違和感を覚えるのはセリフのせいばかりではない。かつて30数年前に読んだ本書の主人公『江』との違いだ。
    永井路子は歴史上の人物(特に女性)を新しい視点で描き、高い評価を得てきた。今までの常識をくつがえすような発想も多かった。私はそこが気に入って彼女の作品をよく読んでいたものだ。
    「乱紋」は戦国時代最高の美女と言われたお市の方の三人の娘、お茶々、お初、お江のうち、三女のお江を侍女であるおちかの目を通して描いた物語である。長女のお茶々、後の淀殿は豊臣秀吉の側室となり、その子秀頼と共に大阪城落城の際に命を落とした日本史上でも有名な女性。三姉妹のうち一番美しかったという二女のお初も京極高次に嫁いだ後は、大阪方と徳川方の調停役として歴史にその姿を現している。
    浅井長政とお市の娘として生まれ、信長の姪であり、徳川に嫁いで将軍を産み、三姉妹のうちで唯一子孫を残したお江は歴史の勝利者であるはずなのに、本書が書かれた頃はその存在はほとんど知られていなかった。わずかに伝わっていたのは、嫉妬深く夫の秀忠を尻に敷いていたとか、家光より弟の忠長を偏愛したという不名誉な話ばかりである。
    永井路子はお江をそのようにヒステリックでエキセントリックな女だと思わなかった。どのような運命にも逆らわず、受け入れ、大きくなっていく底の知れない女として描いた。長姉のお茶々とは見事に対照的な女として。その寄せては返す波にも似たしたたかさは、いかにも戦国の世に生き残った女にふさわしく、私はこの『お江』が気に入っている。
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    投稿日:2012.11.02

  • mi-key

    mi-key

    織田信長の妹で天下の美女と謳われたお市。そのお市の三姉妹、お茶々は秀吉の側室となり、お初は名家の京極家へ嫁ぎ、おごうは徳川秀忠の正室となった。戦国の世に翻弄されながらそれぞれの個性で生き抜いた三姉妹の中でも、美しく賢い姉二人に比べ、愚鈍と言われたおごうが奇しくも最後に天下人の妻となれたのはなぜか…。
    常に微笑を浮かべ佇むだけで、自分では何も選びとってはいないおごうなのに、運命がおごうを上へ上へと押し上げていく。そんなおごうをいつも間近でじれったく見つめる侍女のおちかが、時たま女主人の態度にはっとさせられる、そんなシーンが印象的だ。
    お茶々を主人公とした井上靖の「淀どの日記」と読み比べるのも面白い。
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    投稿日:2012.09.21

  • diamondmoon

    diamondmoon

    織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。

    長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。

    そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。
    彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた...
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    投稿日:2011.12.13

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