【感想】時のアラベスク

服部まゆみ / 角川文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • レモン

    レモン

     著者らしい美しく幻想的な世界観で東京、ロンドン、ブリュージュ…と舞台を変え、不穏な雰囲気の中事件が起きてしまう。真相は結構複雑だったが、ミステリとして楽しむというよりこの世界観を楽しむ作品という感じ。ロンドン塔の描写などよく表現されており、脳裏に記憶が鮮やかに蘇った。慶も命を狙われているが性格に難があるのであまり同情できないし、どちらかというと主人公・亮が可哀想。続きを読む

    投稿日:2023.08.20

  • 彩花

    彩花

    このレビューはネタバレを含みます

    1987年に出版され、第7回横溝正史賞を受賞した、服部まゆみさんのデビュー作品。

    あらすじ
    東京、冬。出版記念会の席上に届けられた一本の真紅の薔薇から、惨劇の幕が開く。舞台は、ロンドン、ブリュージュ、パリを経て、再び東京の冬へ。相次いで奇怪な事件が続発し、事態は混迷の度を深めていく。

    読み終えた時私は、考え抜いて作成したプロットに、緻密な文章で丁寧に肉付けしたミステリー小説だなと思った。
    無駄がない。
    無駄な人物も無駄な舞台も無駄な出来事も・・・。
    たぶん、すべて計算されている。

    もし当時この作品を読んでいたらどれほどの衝撃を受けたことだろう。
    30年以上経った今となっては、目新しいトリックなどはないが、それでもこの独特な世界観と繊細な描写には思わずため息がでる。そして、そこにこそ、この物語のミステリーにおけるトリックがある。
    と思う。
    ただ、主人公の僕こと亮の虚無感を想像すると、切なすぎる・・・。
    そしてそれを最大限に引き出す舞台がそこであることが更に無駄のない計算された作品であることを私に印象づけた。

    「この闇と光」でファンになり、少しずつ残された作品を読み漁っているが、服部先生の原点がここなのかと思い感動した。

    うん。私はやっぱりこの世界観が好き。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.03.10

  • Tetchy

    Tetchy

    私がなぜこの作家の作品に触れたのか、そのきっかけは今となってはもはや思い出せない。『このミス』でも何度かランクインしている新本格以前のミステリ作家であり、2007年、惜しまれながら夭折した。
    本書は角川書店が開催する横溝正史賞を受賞した作品である。

    出版記念パーティに寄せられた深紅の薔薇に包まれたナイフとファンの1人と思しき糸越魁なる人物からの脅迫状。作者の深井慶は自作の映画化のために関係者とともに渡欧するが、その最中にロンドンで父が殺される。一行は一旦帰国するが、再び渡欧することになり、再び糸越魁の襲撃に出会う。

    非常に読者を選ぶ作品だと思う。少女マンガ的な登場人物と舞台設定は女性読者の方が肌にあっているのかもしれない。今にして思えばどこか『虚無への供物』に似た雰囲気を持った作品だと云えるかもしれない。
    で、終始なんとももやもやした、掴み所のない感じで物語は進むが、横溝正史賞の名に恥じないトリックも盛り込まれており、率直な感想を云えば、それだけでも本書を読む意義はあったかと救われた思いがしたものだ。

    ミステリとして読んだ私は最後の最後までこの世界観に没頭できなかった。おかげで犯人はすぐに解ったのだが。逆にこの手の作品が好きな人は雰囲気にのめり込めるだろうし、そういう人はミステリ的仕掛けにビックリするのかもしれない。そういう意味では横溝賞受賞というレッテルはもはや邪魔なのかもしれない。

    現在は長らく絶版である。私が持っている版は表紙は天野喜孝で、実に雰囲気とマッチしている。この頃はアルスラーン戦記とかけっこう文庫の表紙は天野氏のイラストが席巻していたんだなぁと関係のない事を思い出してしまった。
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    投稿日:2017.05.16

  • 【静】

    【静】

    小説・映画・美術の世界だし、ヨーロッパ各都市を股にかけるミステリーだし、登場人物は美しい人が多いし裕福そうだし、状況設定は華やかで派手で引きつけられるのだけれど、ミステリー部分は割りと平凡で、私ごときにでも途中で分かってしまった。物足りないような惜しいような…。続きを読む

    投稿日:2014.04.20

  • aki333

    aki333

    服部まゆみせんせいのデビュー作。耽美な雰囲気にどっぷりつかったミステリ。でも甘くありません。途中でうっすらと「こういうことかな?」っていうのは読めるんですが、真相はわりと意外性があって面白いです。

    投稿日:2011.08.15

  • michi

    michi

    このレビューはネタバレを含みます

    クノップフの作品をみてブルージュを舞台の作品が読みたくなり読んだが、クノップフの絵画には及ばなかった。

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    投稿日:2011.02.12

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