【感想】7月のダークライド

ルー・バーニー, 加賀山卓朗 / ハーパーコリンズ・ジャパン
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • kazha

    kazha

    CL 2024.5.15-2024.5.17
    軽快な語り口のわりにラストは切ない。
    主人公のハードリーの強い思いで進んでいくので多少現実的でない面もあるけど、この余人に理解し難い使命感がいいな。

    投稿日:2024.05.17

  • take9296

    take9296

    遊園地で働く青年ハードリーはある日、煙草の火傷痕の残る幼い姉弟を見かける。
    行きがかり上、虐待を通報するも当局に相手にされなかった彼は、証拠を掴むため素人探偵まがいの調査を開始する。
    見えてきたのは裕福なのに荒れ果てた家と、弁護士の父親の背後にちらつく麻薬組織の影。
    23年間、面倒を避け気ままに生きてきたハードリーは、幼い命を救うため人生で初めて壮大な賭けを仕掛けるが……。

    前作の印象がとても良かったので、読んでみた。若さゆえの猪突猛進はなかなかのもの。
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    投稿日:2024.05.13

  • シュン

    シュン

     久々のルー・バーニーという作家の名前だけで、冒険小説好きの好奇心が全面反応してしまう。ちなみに若かりし頃、冒険小説のフォーラムを主宰していたとは言え、ぼくは軍事オタクでもスパイオタクでもない。冒険小説とは日常生活の中から逸脱してあるアクションをやむを得ず選択してゆく勇気や意志を描くもの。ぼくはそう理解している。題材ではない。あくまでそこに介在する人間とその魂を描くフィクションのことを冒険小説と呼ぶのだ。

     さてルー・バーニーだ。何年ぶり? 何と5年ぶり。しかも第三長編。何とも寡作である。でも書けばただじゃおかないとばかりに骨のある作品を提供し、ミステリー界をどよめかせる作家である。その理由は何だろう? 騒がれたのは『11月に去りし者』だけだから、データは少なすぎる。しかし『ガット・ショット・ストレート』と併せて過去二作品を見る限り、何と言っても登場人物の人間の魅力、そしてその心の魅力であり、それらを束ねたクライム小説としての語り口だろう。

     出版社も自信があるのだろう、昨年のベストをかっさらったS・A・コスビー「ルー・バー二ーの最高傑作」、巨匠ドン・ウィンズロウ「心を摑んで離さない」と、わくわくするような言葉が並ぶ。これではずるいではないか、と思いながら期待感たっぷりで読み始めた本書。それは危険な導火線に火をつけたようなものだった。

     何と本書の主人公は、ルー・バーニーとしては珍しいくらい若年、一人前にさえなっていないと言える平凡な23歳の青年である。働く場所がなんと<呪われた西部開拓地>と奇抜である。西部開拓時代を背景とした体験型スリラー施設なのだ。ゾンビのならず者、食屍鬼の住民、ブート昼墓場の幽霊たち。そこを巡る恐怖の時間と、主人公がこの作品で図らずも出会ってしまう現実世界の幼児虐待犯罪が、どちらもタイトルの<ダークライド>にかかってくるという構図なのだ。

     主人公ハーディは、幼い姉弟と運命的に出会ってしまう。それは、両親に連れられた小さな姉弟だったが、彼らの胸に刻まれていたのは、煙草と見られる複数の火傷痕だった。彼らは親たちから虐待を受けているに違いないとハーディは確信する。以来、ハーディは幼い姉弟を放っておくことができず、思い悩むと同時に、あらゆる解決策を模索する。本書の真のスリルがスタートし、そして徐々に闇は色濃く彼を脅かすようになる。それは、両親に連れられた小さな二人の男女の幼児の胸に刻まれた煙草と見られる複数の火傷痕だった。ハーディはその子供たちが親たちから虐待を受けているのではないかと想像する。

     彼らを救い出す手はないだろうか? また子供たちを虐待する見も知らぬ親たちの罪を何とかして暴くことはできないのだろうか? 子どもたちを救い出すとしても、少年以外の誰一人としてそれを知らないし、救い出そうとも思っていない。では自分がそれをやらねばならないのだ。ハーディはそのように心の絶対絶命状況を自覚してゆく。

     相談相手の伝手を辿りつつ、専門家などにも意見を聴くものの、証拠も正体もわからない子供たちを救う手立てがなく、ハーディは悶々とする。闇を行く日々。ダークライドがスタートしたのだ。手を貸してくれる者もいれば、相談を聴いてくれる専門家も何とか接触するが、具体的な解決策には至らない。ハーディの冒険はこうしてスタートする。探り、対策を練り、実行する。そう、これぞ冒険小説の基本構造。久々に血が沸き立つような興奮を覚えた。

     結末は書けない。ハーディは仲間を得て救出作戦を実行する。結末は書けない。それはあなた自身がこの本を通じてダークライドを体験すべきだから。この春、ぼくが最も興奮した作品なんだ。結末を書けるわけなんてないじゃないか。
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    投稿日:2024.05.02

  • Agasawa

    Agasawa

    展開を想像させてくれるところが、有るにはあった。が、やっぱりそうなるか、と思わせておいてそうなっていかない。
    陳腐な展開という部分もあるのに、最後まで、ハラハラさせて飽きさせない。
    計算され尽くしているだろう最後の最後に、で「どうなるの」と読者の想像に任せられない部分を残したままにする。
    あとを引きまた行きたくなるダークライドでした。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • あさみちゃん

    あさみちゃん

    説明されてはいるものの、なぜこの子たちを助けたいのかそもそもの動機が理解しにくいため、彼がなぜここまでするのか、最後まで歩み寄れず。甘々でまるでファンタジー。うまく行きすぎるし、カタキ役も中途半端だし。フェリスとの関係含め青少年の憧れを詰めこんだのか?と思えるほど。ラストは思い通りになってよかったね、と言ってあげたいくらい。大谷さんが語られるくだりのみ、ほんわかしました。続きを読む

    投稿日:2024.04.21

  • ぼじょまる

    ぼじょまる

    このレビューはネタバレを含みます

    ・あらすじ
    「呪われた西武開拓地」という寂れた遊園地で働くハーディは、市庁舎で幼い姉弟を見かける。
    その姉弟は痩せ細り、無表情で首には火傷痕があった。
     虐待を疑い通報するも担当局には剣もほろろに突き放されたため、独自で調査を行うことを決心する。
     薬に溺れ、無気力無目的に日々を過ごしていた己の人生を変えるために幼い姉弟を救うためにハーディは奮闘する。

    ・感想
     犯罪小説だけどハラハラ感よりハーディの焦燥感とか使命感などの心情が丁寧に描写されてた。
     でも、読んでてもどこかで「いや専門機関に任せようよ…」という思考が邪魔してあんまりピンと来なかったかも。
     幼い姉弟を救うことが自堕落に人生を消化している己を救うことになるからこそあれほど必死になっていたのはわかるんだけど。
     最後は予想通りだったけど切なかった。

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    投稿日:2024.04.01

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