【感想】人間関係ってどういう関係?

平尾昌宏 / ちくまプリマー新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • unknown

    unknown

    もしあなたがこの本のキャッチコピーを書くとしたらなんと書く?(質問はアプリのガイドによるものです。)
    「本当に人間関係について知りたい人だけ読んでください」

    ベタかもしれないけど、私にはこのキャッチコピーが一番しっくりきています。
    人間関係に悩んでいる人やあるいはこれからの人間関係をどうするか考えたい人がそのヒントをもらう本ではありません。

    でも論理的かつ哲学的に人間関係を読み解いていくことで自身の人間関係の問題点や解決法につながる可能性はあります。

    印象的なのは何度も何度も前提を覆すような記述をし、元も子もないようなことまで丁寧に書かれていることです。
    少々読むのに疲れた部分もありましたがなんとか読めました。これまで分類してきた名前は仮もので偽物だという主張には深く同意します。
    便宜上つけているに過ぎず根拠に欠けるからです。

    このことを知ると自身の勘違いに気づくこともあるかもしれませんが、それがこの本の良さだと思います。
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    投稿日:2024.04.15

  • agjmd

    agjmd

    友達、親子、カップル、師弟……、そういった人間関係が、何によって成り立っているのかを原理的に考える本。「こうすると友達関係はうまくいく」とか、「現代の親子関係はこんな風になっている」とか分かりやすい答えを示してくれるわけではない。そもそも、自分の身の周りに人間関係は、どうなっていて、どうして上手くいったり、いかなかったりしているのだろうか? それを考えるための道具をくれる本である。
    内容もそうだけれども、本当にこれは言い切っていいのかなあ……、でもここの部分は間違いないなあ、という迷いのある文体に、すごく親近感が湧いた。

    議論の組み立て方は、とても哲学的。そもそも、人間には、「個人」「社会」、そして「身近な関係」という三つのあり方がある。「身近な関係」には、「相互性」と「持続性」という特徴がある点で、「感情や気持ち」で成り立つ「個人」と、「制度や仕組み」で成り立つ「社会」とは異なっている。
    このように議論の前提を、具体例を示しつつも、あくまで抽象的、原理的にコツコツと積み上げていく。その上で、「身近な関係」には、「タテとヨコ」の関係と、「共同性と相補性」の二つの関係のあり方があることを示す。具体的な人間関係を挙げて、この枠組みが、どれだけ現実の人間関係を捉える上で便利であるのかを説明するところも面白かった。

    著者自身も言う通り、「タテとヨコ」「共同性と相補性」といった分類で人間関係を考えることは、そこそこうまくいってはいるものの、もちろんうまくいかないこともある。例として、「自然にできる関係と人工的に作る関係」というものが挙げられていた。そういった意味では、この本で出された枠組みで、自分の人間関係を見直すことも大切だけれども、こういった手順を踏んで、人間関係を考えていくことが大切だとも思った。
    自分の身の周りの関係について考え直したい人はもちろん、哲学的に手順を踏んで考えるということについて知りたい人にも、ぜひ読んでほしい本だった。
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    投稿日:2024.04.13

  • pean1269

    pean1269

    読み始めてから「ふだんづかいの倫理学」に書かれていたことと似ているな、と思ったら、作者が同じであることに気がついた。共同性と相補性、この二つを頭に入れながら、今の人間関係を考えていきたい。

    投稿日:2024.04.05

  • fer

    fer

    今日新宿の美術館に足を運んだ。しかし休館中という看板と次の展示会の案内だけがそこにはあった。どおりで道中人が閑散としていたわけだ。

    己の調査不足を呪いつつせっかくだから渋谷まで歩いてみることにした。
    奥渋まで1時間、明治神宮と代々木公園の圧倒的自然に癒されながら歩いていくと、個人経営の本屋さんを見つけた。いつも流行りの本とカテゴリ毎に規則正しく並べられた、辞書みたいな本屋と違い、雑多ながらも店主の想いが感じられる本屋さんだった。

    「愛するということ」「茶の本」など思想として好きな本が500冊規模の中にあり、直感的にこの本屋が好きになった。


    私の今のテーマは、「友人と恋人あるいは結婚相手の違い」だ。
    2年半付き合った彼女と別れてしばらく経ち、感情も安定を取り戻した私は考えている。
    好きになる人はどんな人だろうか?今までは直感的に捉えていて、その直感に従っていた。
    だが、別れてみて私の周りには素敵な人で溢れていると再認識した。1人に向いていたベクトルが分散して、素敵な皆、あるいは世界を見つめられるようになった。
    1人にベクトルが向いた恋愛はまさしく花束のような恋だった。後悔も全くない。全てが幸せな時だった。
    しかし今は、みんながいる。1人ではないと感じさせてくれる「友人」がいる。
    ならば今の私は「彼女」に何を求めるのか?まだ名前も知らない「彼女」に何を与えたいのだろうか?

    そういう訳で新たに人間関係を今の自分に即した形に再定義したいと思い、本書を手に取った。

    あらすじはここまで。感想はまた読後に。

    感想ここから

    「友人」「恋人」「夫婦」、、、これらの関係は嘘の名前だ。筆者は言う。
    嘘の名前というかは、これらの名前は当人同士にとっては関係ない、というのが適切かな。
    当人以外の社会に向けて、我々はこういう関係です。というために存在するもの。

    では、当人同士はどう使い分けているのか?
    それは上下関係の有無の軸、補い合うか共通点があるかの軸の2つで関係を区別できるのではないかと。

    この四象限を全て説明してもよいのだが、私の関心は親友と恋人をどう使い分けているのか?だった。この本によれば同じ象限の、上下関係はなく、相補的な関係だという。

    私はその定義には納得するが、これでは使い分けられない。私が恋人に求めるものはやはり親友で代替出来てしまうことになる。

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    投稿日:2024.01.28

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