【感想】虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

森達也 / ちくま文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • meicrane

    meicrane

    個々では善良な人々が集団化するとなぜ虐殺者になれるのか・・ 危機にさらされた人々の間で過剰な忖度が働くとシステムの暴走が始まる。
    難しい問題ですね。民主主義が機能するためには参加者がそれぞれ良質な共同体に支えられていることが重要ですが、それが虐殺に至る集団に変化するとすれば何を頼ればいいのでしょう。考えさせられるテーマです。続きを読む

    投稿日:2024.02.26

  • すな

    すな

    超おもしろい本わず。
    本屋で目に入り、クメールルージュについて読みたくて買ったんだけどパレスチナ問題の大まかな概要を初めて知れた。名前は聞くけど分かってないことばかりだ。

    「私たちはもっともっと考えて、もだえ苦しんだ方がいい。」

    共感できるしスッと読めるけど一読して理解しきれるものではないなぁ。難しい。読んで良かった。読みたい本と映画が増えた。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.06

  • Kazuko Ohta

    Kazuko Ohta

    ロングラン上映中の映画『福田村事件』の森達也監督。私が彼の名前を知ったのは20年以上前のこと、映画監督としてではなく、『放送禁止歌』の著者としてでした。小学校時代は何も知らずに過ごしていましたが、中学校に入って初めて同和地区の存在を知り、驚いたものです。そして大人になって『放送禁止歌』を読み、また衝撃を受けました。本作もその衝撃再び。

    映画『シティ・オブ・ゴッド』のことも思い出す。平然と殺戮を繰り返す少年たちには、自分が生きるためなら良い悪いもない。誰かの指示がなくても虐殺は起きる。ひとりひとりは優しいはずなのに。

    映画『福田村事件』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/3187d9b6728d739fe4c1b7d72d7071c4
    映画『シティ・オブ・ゴッド』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/eafdc78c8511a29e28d267849c87793d
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    投稿日:2023.12.26

  • しましま

    しましま

    決して森の独創というわけではない
    多くの知識人が考えてきたことを紹介し日本にわかりやすく当てはめてくれている本という気がする

    グレゴリースタントンの良識ある人々が虐殺に手を染めるまでの過程を書いた8項目
    我々と彼らを分け、彼らを人間ではない存在に位置づけ、交わりを断ち、「攻撃に備え」、絶滅させる

    中枢が空虚であるほど群れの暴走は激しくなる

    現代は人類史上、最も暴力が少ない時代だとするスティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』も読んでみたい

    ときどき再読し、日々のニュースを振り返ってみたい一冊
    続きを読む

    投稿日:2023.12.22

  • 踊る猫

    踊る猫

    違うだろう。「一人すら殺せない人」は集団になることによって「多くの人を殺せる」主体へと変貌する。少なくともぼくはこの本をそのように読む……とはいえ、凡庸な「集団ヒステリーの恐怖を語った本」と早合点せずにぜひこの本に誘われてほしいとも思う。森の作品(『A』くらいしか観たことないのだけれど)ににじみ出るユーモアと真面目さはこの本でも臭みを感じさせずきわめて上品に(とはいえ、どこか野暮ったさをも醸し出しつつ)漂う。そこから倫理・哲学的な問いや歴史を学ぶ作法、あるいは自力で考え抜く知恵や作法を体得することができる続きを読む

    投稿日:2023.12.13

  • 魚雷屋阿須倫

    魚雷屋阿須倫

     タイトルからSF作家伊藤計劃の「虐殺器官」を連想し、手に取ってみた。作者は映画監督・作家の森達也。関東大震災直後に朝鮮人と間違えられた行商人らの虐殺事件を描いた「福田村事件」が、今年公開されている。

     善良な人々が善良な人々を殺す。虐殺を司る器官 (強いて言えば脳)が人間に備わっているわけではないだろう。何故、どうやってそうなってしまうのか。我々は考え続けなければならない。

     大量虐殺の防止を目的とするNPOの創設者が、良識ある人々が虐殺に手を染めるまでを8段階の過程で示してる。

    1. 人々を「我々」と「彼ら」に二分する
    2. 「我々」と「彼ら」に「こちら側」と「あちら側」に相当する名前を付与する。
    3. 「彼ら」を人間ではない存在(例えば動物や害虫、病気など)に位置付ける。
    4. 自分たちを組織化する。
    5. 「我々」と「彼ら」のあいだの交わりを断つ。
    6. 攻撃に備える。
    7. 「彼ら」を絶滅させる。
    8. 証拠を隠蔽して事実を否定する。
     
     この中で1と2は普通にある。さらに3~5は、ネット社会ではムーブメントを起しやすい。それ以降はもう「ヤバい」状況である。

     虐殺のカギは「権威」からの指示と集団からの「同調圧力」だという。そして、虐殺のスイッチは、人が「個」を失くした時には、たやすく"ON"になってしまう。暴走が始まる。本当に恐ろしいことである。
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    投稿日:2023.11.11

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