【感想】母を失うこと

サイディヤ・ハートマン, 榎本空 / 晶文社
(4件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • 魚の目にも泪

    魚の目にも泪

    わかりにくくて50ページほどで挫折しました。翻訳の日本語が普段使わないような単語が多くて、読みにくかったです。

    投稿日:2024.04.01

  • 千葉経済大学総合図書館

    千葉経済大学総合図書館

    配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426873

    投稿日:2024.03.04

  • seihuu

    seihuu

    アフリカ系アメリカ人の研究者が奴隷制度を研究するために、ガーナにわたり旅をする資産の物語奴隷になるとはいかなることか?霊性の後を生きるとはいかなることか?奴隷貿易の悲惨な記録から歴史をはぎ取られ、母を失った人々の声を時越えて蘇らせる紀行文学の傑作。
    アフリカ系アメリカ人は合衆国の人種差別から逃げようとしていた。ガーナ人は現在の貧窮から逃避を望んだ。そのために思い描いた自由に至る。道とは合衆国への移住だった。アフリカ系アメリカ人は期間と言う空想にしたり、ガーナ人にとってはそれは出発だった。互いに立っている地点からは、同じ過去が見えず、約束の地についての理想もまた異なっていた。奴隷貿易とヨーロッパ諸国の植民地主義、アフリカの酋長が奴隷狩りをして、ヨーロッパ人に奴隷を売り渡す、その見返りが宝貝なるモルジブ諸島で最終される宝貝がヨーロッパ人にとってはガラクタ、アフリカ人にとっては王様の宝物として交換貨幣になっていった。
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    投稿日:2023.12.22

  • 塩澤 裕介

    塩澤 裕介

    本書は、アフリカン・アメリカン研究の作家・研究者であるサイディヤ・ハートマンが、かつて奴隷が運ばれた大西洋奴隷航路を遡り、ガーナを旅する紀行文学である。

    私たちが奴隷制をイメージするとき、アフリカが被害者、欧米が加害者、という構図で考えることが多いのではないか。しかし、実際はそんなに単純ではない。奴隷にするために人々を捉えたのは誰だったのか?それは、アフリカでかつて栄えた国々の王侯貴族や戦士たちである。これに奴隷商人が加わり、「人間」を売り物にすることで富を得ていった。では、奴隷にされたのはどんな人だったのか?まず、共同体からつまはじきにされた人が優先的に奴隷にされたことは想像に難くない。加えて、借金を返せなかった人、経済的に困窮した人々。親族内の争いの結果、売られてしまった人。親が亡くなって預けられた先で売られた人。例を挙げればきりがないが、社会的に弱い立場にあった人たちが奴隷にされていった。一口に「アフリカ」といっても、それは一面的なものではない。そもそも、当時アフリカ大陸で暮らしていた人たちに、「アフリカ人」としての自覚はなかっただろう。支配者と被抑圧者、売るものと売られるものがいたのだ。

    アフリカ系アメリカ人は、奴隷制が少なくとも法的には廃止された現在も、自国で虐げられている。平均余命は短く、乳幼児死亡率や逮捕率も高い。そんな彼らの心のうちに、アフリカのことを「故郷」とする思慕が芽生えたとしても不思議はない。マルコムXをはじめ、公民権運動で中心的な役割を果たした人たちの中にも、パンアフリカ主義を唱えるものがいた。では、アフリカの人たちはアフリカ系アメリカ人をどう見ているだろうか?アフリカ系アメリカ人は「売られたもの」の末裔、アフリカの人たちは「売られなかったもの」、もしかすると「売ったもの」の子孫である。アフリカ系アメリカ人と相対するとき、彼らは自分たちが責められているように感じるようだ。一方、経済的な観点にたつと、困窮する多くのアフリカ人よりもアフリカ系アメリカ人の方が裕福だ。このことが、アフリカの人たちには受け入れがたい。こうした事情から、アフリカ系アメリカ人がアフリカを訪れても、「故郷に帰還した」という感覚を得られることはない。故郷だと思っていた場所は、自分たちを「よそもの」扱いするところだった。彼らの孤独は深まるばかりである。

    捉えられた奴隷は、故郷や家族・共同体から引き離されたばかりか、記憶をなくすような薬草を投与されたり、儀式を施されたりしたようだ。それで実際にすべてを忘れたのかどうかはさておき、彼らが「母を失い」「母国を失った」ことだけは間違いない。奴隷制とは、知れば知るほど救いがない。

    本書を通して、自分がこれまで抱いていた奴隷制のイメージがいかに一面的で、単純なものであったかを痛感した。そして、「アフリカ」の人々と社会がいかに複雑であるか、その解像度も高まった。アフリカの人たちが「アフリカ人」として連帯することは可能なのか?想像以上に罪深い奴隷制の歴史と向き合った作者が最後に見いだす将来への希望はなにか。これも、本書の見所の一つである。
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    投稿日:2023.12.14

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