【感想】ぼっちな食卓 限界家族と「個」の風景

岩村暢子 / 中央公論新社
(13件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • けろろ

    けろろ

    ドキュメンタリータッチで淡々と食卓の変遷が記述されており、自説を押し付けることもない。
    非常に好感が持てる。
    下記、本文より抜粋。
    「共食」では、自分以外の人の好みや体調を気にかけて用意したり、自分以外の人に合わせて好みではないものも食べたりする。そうして誰もが、意図せぬうちに個々の好みや癖、習慣さえ超えて、結果として個々の健康を守り維持する内容になっていたのではないだろうか。
    いわば「共食」は、他者の存在による(他者を思いやることによる)健康な食生活の安全装置
    のようだ。
    非常に大胆な仮説で、検証を試みて欲しい。
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    投稿日:2024.05.20

  • 山野マリア

    山野マリア

     この本を読み終えて、私は、背筋が寒くなる思いをした。これは、食事の記録の書というよりは、家族の崩壊を記した書ではないか?
     著者は、1998年から、家族の食卓風景を調査している。今回、同じ家庭の10年後、20年後を調査して考察している。調査地域、サンプル数など少ないし、著者のバイアスのかかったような見方により、こんな家庭ばかりでは無いだろうと思う部分もあるが、ショッキングな内容であった。
     食事も「個」が優先。一人一人が食べたいものを、食べたい時に食べる、そういう家庭が増えているという。まるで家族バラバラ。「家族で食卓を囲む」なんて死語になっているかのようだ。
     そのような家庭で育った子供達は、社会性を身につけられるのだろうか?日本の未来が心配になる。
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    投稿日:2024.05.15

  • tarupon

    tarupon

    食卓を定点観測の場として、1998年〜2009年にかけての第1回、その10年後の2回目、さらにその10年後の3回目と同一対象家庭に、アンケート、写真入りの日記調査、詳細インタビューなどを行った結果の分析、考察をまとめた本。
    この調査結果自体見れたら興味深いだろうなと感じたし、分析、考察をまとめた本書も非常にインパクトが強いものだった。

    家族内であっても、「個人の意思を尊重する(自分のやりたいこと、自由、好みを優先する)」という親の気持ちのもとで、結果それが食卓に反映し、親子関係(対象者の子どもだけでなく、親、義親含め)、夫婦関係などにどう反映していたのか。

    自分自身まさにこの調査対象年代にあたることもあり、え〜!?と思うこと、まあ我が身を考えても思いあたること等様々。
    そして、自分は、果たしてどうしていただろうか?(本文中にもあったが、記憶は自分の都合で塗り替えられる、だから自分の記憶に自信が持てない)、子どもがまあ無事に育ってくれてよかったと思う一方、独立した彼等の今の食生活、考え方はどうなのだろうかと若干の不安も感じる。
    こんな半端ない当事者意識に苦笑。

    しかし、個を大切に自分中心に考える流れは、自分の中にもあるし世の流れとしても止めようが無い。しかし、大人と子どもとでは対応は違って然るべきだし、本来的な意味で自律的な人間を育てるのは、小さい頃から自主性尊重の名の下に放置することとは違う。
    人が生きること、育つこと、育てることはそもそも手間がかかり、手をかけることにより得られる価値が大きいと今なら思えるが、若い時はわからなかったなと反省をこめて思う。
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    投稿日:2024.05.02

  • ともかさま

    ともかさま

    いろいろびっくりだった。個を尊重しすぎるあまりに、子育て、親育てを放棄しているに過ぎない状況だった。なので最近は非常識が多いのか…と思ってしまう…

    投稿日:2024.02.21

  • フリージア

    フリージア

    自分を大切にして、自由で好きな時間を過ごすことは、必要なことだと思う。外に目を向けることも大切だ。が、この本を読んでとても怖くなった。家庭の食事にもこの考え方をもちこみ、食事は時間も内容も個別、自分の子どもの食事に対しても、面倒くさいから自己責任の道筋を作っていく。嫌いなものを与えると機嫌が悪くなるからとか、残されると嫌だからとか。それを言ったらおしまいと思うようなことが、多くの家庭で見られた。1998年から2009年まで、食卓を定点観測の場として、同一家庭の10年後、20年後の変化を追跡調査した結果だ。ちなみに、初回は240家庭、10年後は89家庭、20年後は8家庭の有効サンプルの結果だそうだ。
    個人を尊重することは大切なことだけれど、家族と関わらない食事時間と、帰宅時間を親離れと自立というきれいな言葉で片付けることは、もう仕方がないことなのだろうか。働き方や深夜までの塾や習い事で仕方がないのかもしれない。外に対しては食事や子育てのアドバイザーの立ち位置の人でも家ではきちんとした食生活や子どもへの接し方ができていないというのも、見映えだけを気にしているように思える。でも自分ファーストで子どもを育て、親と接して、自分が老いたときに同じように自己責任として片付けられても納得できる強い人が、そんなに多いのだろうか。
    最後に、10年たっても食事を大切にし、皆が家事に当たり前に参加してお互いを気にかけあい、円満に暮らしている家族があることにほっとした。これが大多数の人にとっては、鬱陶しい関係であることは、もうどうすることもできないのかもしれないが、ひょっとするとコロナ禍でなにかが変わったかもしれないとも思った。
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    投稿日:2024.02.05

  • かな

    かな

     なんとなく、図書館で気になった作品を読んでみました。「ぼっちな食卓」…なんとも、ショッキングなタイトルですよね!!

     この作品は、家族の食事に特化した内容になっています。同じ家族の現在、10年前、20年前の食事について追跡し、その家族がどんな風に変化をしていったかということを調査し分析している内容です。この作品の大部分は、食事に無頓着な家庭について触れられている感じです。母親は家族のために食事を作りたくないし家族のためにというよりは、自分のために自由な時間を確保したい…家族の自主性に任せるという大義名分を掲げ、それぞれが個々に買ってすませるとかです。そんな家族の現在の姿は、バラバラで親は子供に何も言えず、引きこもりになってしまっていたり、家に寄り付かなくなっていたり…そんな怖いものが多かったです。最後の最後で、家庭不和もなく穏やかな関係を築けているという結果になった家庭もあったのが救いでした。

     ウチはどうなんだろう??ウチは毎食、子供は子供で、夫は夫でという食事はしていないけれど…手の込んだ食事は作れていないなぁ…でも、子供たちとは別で生活するようになったら、どうなっちゃうんだろう??いやいや、それでも毎食作らない選択肢はないかなぁ…。この作品で扱った調査は、少し偏りがあるんじゃないかなぁ…とも感じましたが、でも食事は大事だということは実感できました。
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    投稿日:2024.01.07

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