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桜庭一樹 / 河出書房新社 (31件のレビュー)
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さいち
このレビューはネタバレを含みます
治療を続けながら自分の生活をゆっくり立て直していく数年間の間に、主人公の気持ちが目まぐるしく複雑に変化していく。 元気で明るくて前向きな病人という面だけを見せ続ける社会的な義務 少数派が社会に受け入れていただくため、説明し、努力を重ね、理解してもらわなければならないような義務 そんな謎の義務感にかられたり。 そういうのもういいかなと思ったり。 でも、心が疲れて抗わなくなったり。 自分の言葉が、暴力的に誰かの心を打撃してしまう可能性を考え出して沈黙するしかなくなったり。 複雑なままに終わった。 特に理由はないが、しばらく桜庭一樹から離れていただけに、このNEW桜庭ワールドは、本当にNEWだった。
投稿日:2024.04.18
ちこ(´・ω・)
「彼女が言ったすべてのこと」 再会は叶うことなく。 唯一連絡の取ることができるSNSを通じて知る世界は、色んな意味で面白く話題は尽きることはなさそうだよな。 「The end of the ant …world.」 終わりゆく世界には。 うっかり誰かに話してしまったとしても、こんなことが普通ならば有り得ないからこそ聞き流されてしまうのだろ。 「Our new normal.」 忘れ物を取りに行く。 戻って来て欲しいと頼むのであれば、病名を聞いて治療方針なども少しは知識として知っておくべきだったのでは。 「TOKYO 2020 Olympic」 変わりゆく時の流れ。 いつまでも繋がり続けることはないと分かっていても、これだけ毎日話をしていたら居なくなるなんて想定外だろ。 「Survivor's guilt」 途切れ途切れの映像。 どれだけ察しが悪かったとしても、生きている姿を見ただけで大袈裟なぐらい反応されたら何となく想像するよな。 「War」 ヒーロは存在してる。 有名人が病名をカミングアウトすると、皆に知れ渡るメリットはあるが言い訳に使われたら最悪の形になるだろう。 「波間のふたり」 数年ぶりの連絡には。 根掘り葉掘り聞かれるのは気分も良くないだろうし、他人にわざわざ丁寧に説明する理由なんて特にないだろうに。続きを読む
投稿日:2024.04.12
なぎこ
タイトルの「彼女が言わなかったすべてのこと」、どういうことなのかなーってずっと考えながら読んでて、読了後に「あぁっ!」という感覚に陥った。なるほど、そういうことだったのか、と。 最終章からの怒涛のタイ…トルの回収が実に上手い。続きを読む
投稿日:2024.03.11
pedarun
【更新されていく自分と自分の境界】 人からの影響、社会の出来事、環境の変化、 見たり聞いたり知ったことを自分なりに理解、想像して、自分なりの世界観ができている。自分の持つ認識の多くは無意識にも更新され…ていく。そして自分を動かしている。 普段は何気なく変わっていってて 忘れていってて 記憶から選択していってて 結局自分の境界はどこにあるのか 自分でもコントロールできないままに変わっていく、適応していく自分。自分と周りの関係性の不思議。 私も私たちも実は常にニューノーマルにいる、のかもしれない。 時にうまく言語化できない、自分との関係性とか周りとの関係性についての思いが綴られる。 あともうひとつ、 母親はどうしても心配する生き物なのか。 母と子、親と子の関係性も変わっていくものなのか。続きを読む
投稿日:2024.03.03
milo
ある日、奇跡のように重なった別の世界線に生きる中川くんとの繋がりが、徐々に途切れていき、もう二度と会えないのかと切ない気持ちで読み進めた。パラレルワールドといっても、中川くんからの通話とメッセージの情報として描かれるだけなので、パラレル要素は薄い。 むしろ同じ世界に生きる他者との価値観の相違や多様性のほうがパラレルのようだと、主人公の波間の視点で取りとめもなく語られる。 最終的にどう着地させるのだろうと思っていたら、結局中川くんとは数年のタイムラグを経てかろうじてLINEが入る程度の関係で終わってしまい、なんとも消化不良な結末。 抗がん剤治療に苦しむ波間を支える、お兄ちゃんのぶっきらぼうな優しさや、幼馴染の楓ちゃんの淡々としたヲタ風味がいい感じに和ませる。
投稿日:2024.02.01
ゆい
ほんタメで紹介されていた本。ある事件をきっかけに主人公の波間が学生時代の友人である中川くんと再会し、連絡先を交換するが、2人は実はパラレルワールドのあちら側とこちら側にいて、、というお話。 2人(メインは波間)こ数年間が描かれるのだけど、中川くんの世界ではコロナが流行して緊急事態宣言が出たり、オリンピックが延期されたり、有名人が亡くなったり、読者の現実とリンクしていて面白い。最後には波間の世界では2024になり追い越されているのも。 波間の考えていることが、思ったままの口調で書かれるのでこちらに直接語りかけてきているように感じた。大きなドラマがなくても、淡々と続く日常でも、私たちはここに存在している、という波間の言葉がよかったな。この物語自体も、波間は病気のサバイバーであるけれど、ドラマチックな起伏はなく、まさに"波間"のような時間のまま最後まで決定的な結末で終わるのでなくてよかった。読後も色々考える余韻が残る作品でした。
投稿日:2023.12.30
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