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響蒼華, 七原しえ / アルファポリス文庫 (1件のレビュー)
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いこ
このレビューはネタバレを含みます
「まとも」な「人間」はほぼいなかったなという印象。 主人公も含めて皆大なり小なり狂っていたなと。 そもそも人ならざる存在が多いし、そうじゃない人間も「まとも」ではないし、何なら人間たちは惨たらしい状態で途中退場するし。 恋愛を謳った物語ではあるが、惨状描写が割と多い。 殺され方が無残で無残で。 特に終盤の皆殺しシーンは、実行犯の真実も含めて惨すぎた。 そんな中で「私を巡って争わないで」的なヒロインを巡ってヒーローたちが争いしても戸惑うばかり。 ヒロインを巡って男性二人が争うことになるのは前述通り、ただどちらのヒーローも難ありすぎて、正直好きになれず。 氷桜は初手が酷すぎた。 他者の記憶への改竄や介入が過ぎるし、何だかんだでヒロインの言うことを聞かない。 あやかしだから人の理の外にいる存在だと言われてしまえばそれまでだが、途中の行動もイラっとさせられることが多く、初手の最悪の印象が最後まで拭えず。 菫子も、何故彼に惹かれたのだか、読んでいてもよく分からなかった。 まだ元婚約者の彼の方が狂ってはいたけれど分かりやすかったし、何だったらある部分では氷桜に勝ったと思う。 菫子の消えない傷として存在を確かにしたのだから。 だからと言って好きにはなれないけれども。 個人的には沙夜が推しだったし、彼女とのエンディングの方が美しかった気がする。 もしくは、願ったとおりに氷桜に殺されるエンディングの方が、美しく散る感じでよかったのになあ。 結局、殺してという菫子の願いも聞き入れない氷桜……うーん……そりゃ生きている方が幸せかもしれないけれど、そうは思えない関係性だし世界観だったかなと。
投稿日:2023.04.22
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