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メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ, 柴田裕之, 成田悠輔 / 晶文社 (10件のレビュー)
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総合評価:
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rafmon
「これは、男性器。これは、親指」 パソコンの前で画像を識別する。手軽に好きな時に行えて、ネットに猥褻画像が氾濫するのを防ぐ重要な仕事。そんな仕事のことをゴーストワークと呼ぶ。他にも、翻訳や文書校正、デ…ータベース作成など。アマゾン・メカニカルターク、通称Mタークのようなプラットフォームを通じてインスタントな契約で職探し。ウーバーイーツに象徴されるようなギグワークに近いが、ここでは、労働者の顔は見えず、必要以上の情報も隠される。つまり、ゴーストだ。 自動化のラストマイルのパラドックスという概念があるらしい。大部分の仕事を機械やAIに任せても、やはり人間の手や頭が必要になる。人間の方が適切な判断が可能な分野があるというのは、今の生成AIが作る画像の微妙な"惜しさ”を見ると良くわかる。しかし、好きな時間に「ながら作業」も可能とは言え、親指を見続けるというのも、中々の仕事だ。卑猥な表現なんていうのも、詩的な官能表現と区別が難しい場合があるだろう。 こうしたAIの隙間や手軽さが仕事を生み出した事で「労働力のアービトラージ」が進んでいくというのだ。アービトラージ、つまり、時期や場所によって得られる最低価格を知る事ができれば、それを取得して、より高額な場所に転売する。労働力もインターネットにより、世界規模でたたき売りされていくという事だ。 こうしたゴーストワークの現状、働き方、課題について、本書が解説する。これをもって、AIや自動化は手動作業と二項対立にならない、AIは我々の仕事は奪わないというのだが、しかし、やはりただの過渡期という気がする。もう既に、AIは間違えずに親指を見抜く事ができているだろう。親指を仕分ける仕事はなくなるのだ。しかし、暇な変態さんが親指をアップし続けるならば、一体人間とは何なのだろうか。続きを読む
投稿日:2024.02.15
aya00226
このレビューはネタバレを含みます
今日のAIは、人間の助けなしには仕事はできない。 その仕事を請け負い仕事してゴーストワーカーにやらせる仕組みがAmazonのMターク。 フリーランスまたはギグワーカーが行う。実社会は囲碁よりも複雑。 自動化のラストマイルのパラドックス。 従来の労働者保護からは漏れる仕事=ゴーストワーク。脆弱で不安定な雇用。だが自由はある。 Amazonの書籍名などのデータ化から始まった。 多数の画像の学習データをつくったのもそういった仕事。 ワグナー法(週末を発明した)の範疇外。 以前は、フルタイムの社員はスキルのある貴重な労働力だった。1970年以降はフルタイムの従業員は負債、なんでもアウトソーシングするようになった。 自動化が進むと、臨時労働の需要が急増した。スキルがいらない仕事ばかりになったため。 Microsoftは、契約社員を正社員に分類すべきと指摘されると、人材紹介会社の社員に変動させた。 ゴーストワークに頼れば、取引コストを削減できる。 テクノロジーの進歩は、いつでも使い捨てできる労働力のプールをたよってきた。 労働組合が頑張っていれば、このような事態にはならなかった可能性がある。労働組合は独立業務請負業者を排除していた。 副業ブームがゴーストワークを促進している。 プランAは、20世紀型の出世コース、プランBは未経験者向けの請負業務、プランCはゴーストワーク。直ちに業務ができて、それなりの意欲と能力が必要、評価もされるが振り回される可能性もある。プランBより賃金は高くはないが、働き手の自由はある。オンラインで業務ができる。 ゴスとワーカーは、お試しワーカー、常連ワーカー、常時稼働ワーカーに分かれる。常連ワーカーはゴーストワークが主な収入源ではない。常時稼働ワーカーは、さまざまな事情でほかの仕事に就けない人たち。80%の仕事をする20%の人たち。 ギグエコノミーは、ゴーストワークのプラットホームに移行しつつある。多くの人がオンラインでギグワークを請け負う。非典型型労働。性別や宗教などで差別を受けない環境。そのために個々に留まる人たちがいる。 自動化のラストワンマイルのパラドックス。自動化すれば新種の労働が生まれる。 ゴーストワーカーの組織化、協同組合化ができないか。セーフティネットはできないか。 自動化vs人間の労働、の対立は誤り。 AI化や自動化は、実態は新しい機械と人間のコラボレーション。 敵は、このような仕事の存在を覆い隠している人間。
投稿日:2024.01.11
K4D
編集中 本書に関しては成田先生のTwitterで紹介されていたのを見て、購読するに至った。 私自身システムエンジニアとして働いている身でAIについては一般の方よりは多少詳しいと自負していたが、アメリカやインドでの実像については本書でかなり勉強になった。 思想としては社会学的な要素が多く、解決策として協同することの意義を推している印象を感じた。 私個人としてはオンデマンドワークの良いところには目がいっていたが、生活基盤的な補償の観点は大きく見過ごしていたと理解した。 これからの働き方にはオンデマンドワークは必要になってくることは世の中の少子高齢化や格差社会などの流れ的にも想像できそうだと感じた。 本書で提示された解決策はその前に語られているフィールドワークによるワーカーの事例に基づいて提案されており、現在の課題の洗い出しとその対応策としての理想として面白く感じる。 本書でも事実として解決策のような手を打つプラットフォーム企業や人はいないといっており、本当にこれからの課題なのがわかる。 そういう意味では、日本も何年か後にぶち当たる課題かもしれないし、日本的文化がそれを阻むのかもしれないと考えさせられた。 この本で成田先生が書いている解説の通り、AIは人と共同でき、AIが仕事を奪うという勘違いをする人間こそ真の敵であるという考えには同意する。 そして、暗黒面への課題を一般化する意味でも本書は良書であると私は感じました。 ただ、読む人を選ぶ気もするし、好みも分かれそうな気がする…
投稿日:2023.12.22
ぽんきち
「ゴースト・ワーク」とは、スマホのアプリやウェブサイト、人工知能(AI)システムが正常に運用される陰で行われている、人間の手による細かな作業を指す。 一見、自動で行われているように見えるオンライン操作…にも、実は人の手が介在していることが多い。 検索をしたときに、過度に暴力的だったりアダルトコンテンツに属したりする画像を表示しない。あるいは、ややこしくカスタマイズされた注文を滞りなく受ける。 こうした場合、AIが自動的に処理しているわけではない。不足を補い、躓きを正している「見えざる手」がある。急速に進展・変化していくこの業界で、やはり最終的に微調整を行えるのは「人」なのである。 そうした仕事をどういう人たちが行っているかというと、「ギグ・ワーカー」と呼ばれる単発・短時間の仕事に従事する人たちである(「ギグgig」の語源は諸説あるようだが、音楽などでのライブセッションを指す。転じて、1回限りの仕事に用いられるようになっている)。 本書では、ウェブ関連のこうした仕事のことを「ゴースト・ワーク」と呼んでいる。なかなか人目に触れない仕事であるためだ。とはいえ、アメリカでは推定8パーセントがこうした仕事の経験があるというから、相当である。 実際、こうした単発の仕事は、介護や子育て、就学中など、さまざまな事情を抱える生活スタイルの人にも受け入れられやすい。企業の側からすると、正社員として雇用するよりコストが抑えられ、また必要な仕事が発生した際に身軽に対処できるというメリットがある。 問題は、これらの仕事が正当に評価されないまま、その市場を大きくしていること。そのために生じる歪みが、得てしてワーカー側に押し付けられていることだ。 ではどうしたらよいのか、というのが本書の主眼。 著者らはマイクロソフトリサーチの上級主任研究員。 調査対象としたのはアメリカとインドのゴースト・ワークの状況である。 ゴースト・ワーカーの多くがMターク(アマゾン・メカニカルターク)やユニヴァーサル・ヒューマン・レリヴァンス・システム(UHRS:マイクロソフトの社内プラットフォーム)といったプラットフォームを使用し、働いている。 まずはプラットフォームに登録し、掲載された仕事が自分に適したものだと思えばアプライし、作業を進め、収入を得るという仕組みである。 ただ、実入りのよい仕事は競争も激しく、すぐに枠が埋まる。四六時中パソコンを眺めていないと、よい仕事にはありつけないということになりがちである。 また、何かトラブルが生じたときに、すぐ誰かに相談できるかというとなかなかそうもいかないことが多い。システムのトラブルなのに、納期に間に合わないと、ワーカー側のミスとしてカウントされることもある。ここではワーカーは番号を振られた匿名の存在であり、一度評価付けされると背景まで考慮されることはない。 全体に、発注側に有利な仕組みとなっており、ワーカーの立場は弱い。 著者らは最終章で解決策を提示している。 協同を進めること、評価システムを改善すること、責任の所在を明確にすること等、大筋では妥当な案と思われる。 但し、企業が営利を追求するうえで、常にこうした方向に舵取りすることはなかなか困難なのではないか(そこに労力や資金を振り向ける気があるのなら、そもそもギグワーカーを使うという発想にはならないのでは、という気もする)。 その際に、企業の「良心」に頼るのか、国家や政府機関の法的な介入を求めるのか、あるいは企業にも労働者にもウィン-ウィンになるような何らかの方策を探すのか、そのあたりが肝になりそうに思う。 全般にアメリカ主体の話で、日本にもゴースト・ワーカーは一定数いるのだろうが、完全には当てはまらなそうな話も多い。 とはいえ、少し話を広げれば、フリーランス全般に言えそうな部分も多い。自由度の高い働き方を求める人は今後、さらに増えていくだろうし、本書の考察が参考になる人も多いのではないだろうか。 経済学者・起業家の成田悠輔が監修・解説。続きを読む
投稿日:2023.12.04
Taichi Okamoto
アマゾンを含めたAIを活用したシステムのウラには 多数のゴーストワーカー=オンデマンドワーカーが 存在し、今後もAIの加速化でそういった仕事が増える、 という世界のお話。 まったく知らない世界でした。 「Mターク」で検索すると未知の世界が広がります。 今後、そういった労働環境に対する解決策も明示されており 非常に興味深く読みました。 「週末の発明」「週40時間以上は1.5倍の時給」は 1930年代のワグナー法に基づく、という歴史解説もあり。
投稿日:2023.11.07
随你行
いわゆるギグワーカーの実態を書いた本。自動化のラストマイルのパラドックスという提唱が印象的。テック企業のギグワーカーの取材が多めだが、他の業界にも通ずるとろこがあり、現代のテックがもたらす深刻な格差社…会の拡大の一因となっているギグワーカーへの関心を集めるという点では素晴らしい本だ。続きを読む
投稿日:2023.09.14
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