【感想】快楽としてのミステリー

丸谷才一 / ちくま文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • cats-paw

    cats-paw

    ミステリーへの造詣が深いことは、毎日新聞の書評で確認していたが、軽快な語り口が重なると、余計に熱が高くなってくる。
    「丸谷ワールド」リターン。
    ミステリー(探偵小説)をがっつり読める余裕(時間と心理面)が欲しいです。続きを読む

    投稿日:2022.12.05

  • passacaglia582

    passacaglia582

    図書館でこないだ、まとめ借り(そんな言葉あるか?)したうちの一冊。特に予備知識もなく、適当に借りてみたが、佐渡さんの本と同様大当たり。
    最近、こりゃ大当たりしそう…という本は、だいたい最初の方で分かる気がする。むしょうにワクワクしてくるのだ。
    しかし、マンガとなると外れることが多く、そんなに当てにはならないが^ ^;

    古今東西の名作ミステリーの評論なのだが、これほどおもしろい評論を読んだことない‼︎
    もしかしたらその本を読むより、楽しかったりして…。
    古き良き英米ミステリーがお好きだけあって、評論も洒脱でユーモアに満ちている。いいなあ、こんな風に本を紹介してみたい。

    読むのがとっても楽しい一冊。
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    投稿日:2015.01.06

  • sankakuyaro

    sankakuyaro

    一冊のミステリ本をここまで深く読み解いたガイドブックはない。一般読者とは読書量も知識もレベルが違う。

    投稿日:2014.10.04

  • nur1202

    nur1202

    全般的に紹介されている本がちょっと古い感じかな?
    中途半端に読んだことのある時代の作品なので、ある程度内容のわかる本が多いんだけれど、なにせ、文語体なのでもっとクラシカルな本を紹介されてるのでは、と勘違いしそうな。(^^;
    読書案内的にはちょっと入手が難しそうな本が多いのが難点ですかね。
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    投稿日:2013.10.05

  • toca

    toca

    ミステリ関連のエッセイと書評を集めたもの。
    ドイルやクリスティーといった古典から、現代の作家まで、『快楽としての読書』と同じく幅広く扱われている。『海外篇』と一部が重複していたのは残念だったが……。

    目次を開いて、『エヴァ・ライカーの記憶』が載っていたのには驚いた。
    松本清張論、『薔薇の名前』評などは読み応えがある。しかし、『新宿鮫』シリーズまで登場するとは思わなかったw 暫く読んでないな、『新宿鮫』……。
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    投稿日:2013.10.05

  • abraxas

    abraxas

    帯に「追悼」の二文字が入った、これも文庫オリジナル編集の「追悼」本。早川書房の「エラリー・クィーンズ・ミステリ・マガジン」をはじめ各社の雑誌等に寄稿したミステリ関係の書評・評論を時代、内容ごとに改めて編集したものである。その多才さは知っていたものの、こうして集められたものを読むと、ミステリー愛好家としての丸谷才一の一面が、他の顔にも増して強く浮かび上がってくる。

    冒頭に「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」シリーズを語った鼎談を収める。これも今は亡き瀬戸川猛資と向井敏を相手に、趣味を同じくする者同士が座談に興じる様子が伝わってくる好い企画である。

    鼎談を別にすると、他は五つの章に分かれる。初期の書評を集めたⅡ「深夜の散歩」とⅤ「ミステリー書評29選」が書評、Ⅲ「女のミステリー」、Ⅳ「ミステリーの愉しみ」、Ⅵ「文学、そしてミステリー」が評論ということになろうか。

    書評は英米のミステリーが中心になるが、評論においては日本の推理小説界の動向にも批評、提言を惜しまない。タイトルに「ミステリー」とついているが、エリック・アンブラーやイアン・フレミングといったスパイ小説作家にも扉は開かれている。もともとミステリーと純文学、大衆小説、中間小説といった類のジャンル上の垣根は丸谷にとって、どうでもいい区別であった。

    好きな作家については重複をいとわないのが、大作家であってもファン心理というのは変わらないことがうかがえて微笑ましい。特にチャンドラーについては何度も触れ、「これが文学でなくて何が文学か」と、その文学の魅力を称揚し、村上春樹を筆頭とする日本の作家への影響力の強さを語る姿には力が入っている。

    丸谷がミステリーを愛するのは、読んでいて愉しいからであって、そもそも読んでいて面白くないものは文学としての価値がない。鹿爪らしい顔をして、つまらない文士の日常の瑣末な身辺雑事をみじめったらしい筆使いで書き綴った「私小説」が、日本の文学を生きる上での色あいや潤いの乏しい、狭量な世界に閉じ込めてしまったことに対する不満が、この人にはある。

    それに比べ、食事や酒、社交の席上での会話、音楽等々、人をして人生を愉しませてくれる種々の薀蓄を存分に語ることのできるミステリーは、何をおいても外すことのできない文学ジャンルである。ハヤカワ・ポケット・ミステリが、アメリカについて知る上での最も手軽な参考書であった時代を語り、日本推理小説界の大御所である松本清張と横溝正史を分けるのが、ハヤカワ・ポケミスに代表されるアメリカもののミステリ受容の有無であることを論じてみせる弁舌の爽やかさは、酒杯片手の上機嫌さにだけよるのではない。

    この本、タイトルにつられて、ミステリ小説の解説本と思ってしまうと、ちょっともったいない。特に最終章「文学、そしてミステリー」は、グリーン、チェスタトンあたりはミステリーに分類されるだろうが、エーコ、清張、大岡昇平に至ると、いわゆる文学というものを読み解く作業に、「ミステリー」という「解読格子(グリッド)」を用いたとき、どんな読みが可能になるかという、その実例を奔放華麗に見せてくれる。松本清張をかつて人気を呼んだ社会派推理小説の重鎮などと括って済ませているのが、いかにつまらないことかを教えてくれる「父と子」など、ミステリ嫌い、純文学好きの読者必読といえよう。
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    投稿日:2013.03.22

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